暑かった夏も過ぎさり、季節は本格的に秋を迎えようとしている。フォトキナ開催という写真を愛する者達のビッグイベントもあり、 各メーカーから錚々たる新製品が発表される中、LEICA社からも実に多くの新製品が発表された。プロユースの中判デジタルからコンパクトデジタルカメラまで、まさに実りの秋といった様相だが、 今回はその中からハイエンド・コンパクトラインの末子ともいえる「X-E」に焦点を当てたい。
大型のAPS-CサイズCMOSセンサー(有効画素数1,620万画素)と、「Elmarit f2.8/24mm ASPH.(35mm判換算で35mm相当)」というクセの少ない高性能レンズを纏いながらも、 質量はバッテリー装填時で345gという軽量な体躯を保持している本機は、街中のスナップ撮影にはまさに打ってつけと言えるだろう。
こちらは絞り開放での一枚だが、点光源の多くがしっかりと玉ボケになってくれていた。しっかりと創り込まれたライカレンズならではの恩恵だ。
こちらも開放で。今回撮影した写真の多くに共通して言えることだが、絞らずともシャープネスが高い印象を受ける。国内メーカーのコンパクトデジタルカメラとはまた違ったベクトルで進化を遂げたライカならではの画作りが伺える。 絞り込まずに撮るとどうなるのか。少々意地悪な気持ちで開放での撮影に臨んだのだが、実に嬉しい誤算だった。
暗所での高感度撮影にも強い。大きなセンサーを積むことで低ノイズ化を実現しており、夜間の撮影にも気軽に持ち出すことが出来る。スナップに特化したカメラとしてはまさに鬼に金棒だ。
葉や、幹の質感を瑞々しく描き出してくれた。逆光に近い状態での撮影だったが、コントラストが失われた感はないように思う。
穏やかな天高い秋空の中で静かに主張する、朱塗りの鉄骨やリベットの堅固な質感をしっかりと残してくれた一枚。 複雑ながらも無駄のない組み合わせがもつ立体感も、しっかりと表現してくれた。
正面から眺めた様相は、X1から続く丸みを帯びたデザインを踏襲している。 バルナック型ライカを彷彿とさせる佇まいと、チタンカラーのボディにメタリックカラーのレザーの融合は、非常にエレガントだ。
ライカが守りぬいてきた伝統と前衛的なスタンスが結びついたXシリーズの末弟。昼夜を問わずスナップカメラとして無類の強さを発揮してくれることだろう。
Photo by MAP CAMERA Staff