
【Leica】ライカ SL3-Pの魅力に迫る「『ライカ SL システム』Workshop in Tokyo」 レポート
2026年07月10日
ライカカメラジャパンが主催する「【Leica.Connect】『ライカ SL システム』Workshop in Tokyo」に参加してまいりました。
2026年6月26日に新しく発売されたライカ SL3-Pを中心に解説いただき、実際に実機で撮影することでその魅力をたっぷりと堪能いたしました。
ライカ SL3-Pは4400万の画素数を持つ裏面照射型(BSI)の新型センサーに変わり、最大40コマ/秒の高速連写機能が搭載されたのが大きな特徴のモデルです。
既にライカ SL3、SL3-Sと二種類のモデルが出ている中で、SLシリーズでは初のPのラインナップとして登場しました。Pのモデルらしく外観は赤バッジが排され、Leicaのロゴが入るのみになっています。
では、どこが進化したのか、今回のワークショップを通して感じたライカ SL3-Pの魅力をブログを通してお伝えできればと思います。

まずお話しいただいたのは、ドイツ本国にてSL-SystemのプロダクトマネージャーをされているGerrit Gissel氏。
今回のワークショップに合わせて特別に来日していただきました。
特に印象的だったのは、ライカ SL3-Pに付けられた「All that matters」というコンセプト。
ライカでは製品を開発する際にそれぞれコンセプトとなるようなスローガンが付けられているそうです。
今回の「All that matters」という言葉は、日本語では「それさえあればいい」というような意味を持ち、バランス型のライカ SL3-Pをまさに象徴しています。
現在の国産メーカーのボディと比較して、スペック上の数値だけ見ると連写速度や画素数などが突出して優れているとは言えない本機ですが、ユーザーを撮影に没頭させ、出てくる写真のクオリティを一番に考えて開発されているところにLeicaの美学を感じました。
また、本機にはライカ SL3-Sに続きコンテンツクレデンシャル機能も搭載されています。
ライカ M11-Pから搭載され始めたこの機能ですが、AI機能が日々向上しており、生成された画像と実際に撮影した画像の見分けがつきにくくなってきている中で、撮影する側と写真を鑑賞する側、どちらに対しても信頼性を高める上で欠かせない機能であり、今後はより重要視されていくことと思います。

続いて、今回のワークショップで講師を務めていただく南雲暁彦先生からもライカ SL3-Pについてお話を伺います。
日常的にお仕事としてライカ SL3とSL3-Sを使い分けながら撮影されていて、SLボディに造詣が深い南雲先生からはプロフェッショナルとして使っているからこそ見えてくる視点が盛り込まれており、大変興味深い内容となっておりました。
▼南雲暁彦先生について▼
TOPPAN(株)エクスペリエンスデザイン本部
チーフフォトグラファー 「匠」
知的財産管理技能士 / 日本広告写真家協会(APA)会員 / 多摩美術大学統合デザイン学会非常勤
世界遺産を中心に世界約300都市での撮影実績をもつ。
1970 年 神奈川県生まれ。幼少期をブラジル・サンパウロで過ごす。
1993 年 日本大学芸術学部写真学科卒 コマーシャルフォトを中心に映像制作、セミナー、大学講師も行う。
近著:「ライカで紡ぐ十七の物語」玄光社
▼ 南雲暁彦先生にご協力いただいた記事はこちら ▼
【特別企画】フォトグラファー:南雲暁彦インタビュー | ライカムービーの世界 「SL2-S・動画機としての真価を紐解く」

Leica SL3-P + バリオ・エルマリート SL24-90mm F2.8-4.0 ASPH.
model:あるまさん(@almalmal.ma)
その後はSLボディを一人一台ずつ貸していただき、白を基調とした大きな窓のあるスタジオで撮影セッションへと移ります。
ライカ SL3やSL3-Sも選ぶことはできましたがたくさんのSL3-Pの魅力的なお話をお聞きした後だったため、もちろん最新のSL3-Pを選択いたしました。
モデルの方を被写体にポートレート撮影を行います。

Leica SL3-P + バリオ・エルマリート SL24-90mm F2.8-4.0 ASPH.
実際に撮影してみて一番驚いたのはダイナミックレンジの広さです。
背景のカーテンとワンピースはどちらも白く、ハイライト部分は飛んで同化してしまいそうな場面でも細かな色調の違いや素材の質感をしっかりと写してくれました。
いつもなら少しアンダーめに露出を設定して後から編集で持ち上げるようなシーンでも、ライカ SL3-Pでは最初からハイキーで撮影しても十分に情報が残っているため、少し攻めた設定も試してみたくなります。
南雲先生曰く、4000万画素という高画素帯の画素数を持っているため、しっかりと解像感がありながらもアンダーにもハイライトにも耐性が強いとのこと。
また、ノイズの出方も綺麗なので、高感度でも嫌なざらつきは無くしっかりと鑑賞に堪えうる画作りです。

Leica SL3-P + バリオ・エルマリート SL24-90mm F2.8-4.0 ASPH.
新たに搭載されたハイブリッドオートフォーカスシステムは、位相差検出(PDAF)、デプスマップ(物体認識AF)、コントラスト検出(コントラスト検出AF)の3つのフォーカス技術の強みを組み合わせ、素早く、正確かつ確実にピントを合わせることを可能にしています。
819のAFポイントがトラッキングをサポートし、モデルの方が素早く動き回ってもしっかりとピントが被写体を追従していました。
数々のレンズをご用意していただいておりましたが、「Leica バリオ・エルマリート SL24-90mm F2.8-4.0 ASPH.」で撮影していきます。
2015年にSLマウントで最初のレンズとして発売されたmade in Germanyのレンズで、大きくて重さもありますがその代わりにズームレンズとは思えないほどの高い描写力を持っています。
ボケは控えめで自然な印象をもちますが、被写体にしっかりと立体感を生んでいます。

Leica SL3-P + SIGMA Art 105mm F2.8 DG DN MACRO (ライカSL/TL用)

Leica SL3-P + ノクティルックス M50mm F0.95 ASPH.
もちろんLeicaのSLボディに純正のSLレンズを付けるのが本来の性能を引き出すための最適な方法にはなりますが、PanasonicやSIGMAなども「Lマウントアライアンス」に参画しているので、レンズの価格を抑えてSLボディを使うことができるのも魅力の1つです。
ライカ SL3-Pに限った話ではありませんが、同じLeicaのMマウントレンズとも相性が良いのもSLボディの特徴になります。
レンジファインダーではピント合わせのしにくい中望遠レンズやノクティルックスなどの大口径レンズをアダプターを介して使用することで、EVFでピントを拡大しながら撮影ができるようになります。
一見SLレンズのバリエーションはあまり多くないように感じますが、LマウントアライアンスのレンズやMレンズまで視野を広げると一気にレンズの選択肢が広がっていきます。


6月26日に発表された新レンズ「アポ・マクロ・エルマリート SL100mm F2.8」と「ズミルックスSL50mm F1.4 ASPH.」の2本もご紹介いただきました。
まだプロトタイプとのことですが、Gerrit Gissel氏の来日時に特別に持ってきていただいた実物を触ることができました。

まずは「アポ・マクロ・エルマリート SL100mm F2.8」。
LマウントのマクロレンズではSIGMA からArt 105mm F2.8 DG DN MACRO (ライカSL/TL用)というレンズが存在しますが、純正のSLレンズでは初の、ライカ全体を通しても久しぶりのマクロレンズの発表となりました。
100mmという望遠域、800gを超える重量ということでかなり大きいレンズを想像しておりましたが、実際にボディに付けてみると思いのほかバランスが良く、SLボディの高いグリップ性も相まって使いやすい一本です。

Leica SL3-P + アポ・マクロ・エルマリートSL100mm F2.8(プロトタイプ)

Leica SL3-P + アポ・マクロ・エルマリートSL100mm F2.8(プロトタイプ)
物撮りの被写体としてご用意いただいていたのはライカ Watch。
MAPCAMERAではLeicaの時計を扱ってはいないため、間近で見るのは初めてでしたが高級感溢れるデザインの時計を発売前のレンズを使って撮影するという非常に贅沢な時間を過ごします。
等倍で撮影可能で、ピント面は非常にシャープ。最短で撮影しても文字盤や金属のツヤのある質感をよく再現しており、Rマウントのアポマクロレンズにも通じるような高い描写性能を感じました。背景が大きく滑らかにボケることで被写体を分離し、ピント面をより際立たせてくれます。
今まではLeica純正のレンズでマクロ撮影をしようとすると、どうしてもアダプターが必要な上にMFだったので、SLマウントに直接取り付けができて、なおかつAFも使用できるようになるのは商品の撮影などを行う方にとっては待望の一本だと思います。

続いて「ズミルックスSL50mm F1.4 ASPH.」。
開放F値 f1.4 の大口径レンズとは思えないコンパクトさです。
以前にも「ズミルックスSL f1.4/50 ASPH.」は別のモデルが生産されていましたが、そちらは大きく重たいレンズであったため、従来製品と比較してもかなり持ち出しやすいレンズへと変貌しておりました。
実際に試写をすることは叶いませんでしたが、アポズミクロンのような鋭さを前面に出した描写というよりはズミルックスらしい自然な柔らかさも残した描写が魅力とのことです。
また、AFが効く50mm F1.4 のレンズの中では最小のものになります。

短い時間ではありましたが、今回のワークショップではSLの魅力を知識と撮影体験の両面から実感することができました。
ライカ SL3とSL3-Sの両者の長所をバランスをとって活かした痒い所に手が届くカメラ、それがSL3-Pだと感じました。
同じ「ライカSL3」と名の付く3機種でもそれぞれがしっかりと個性を持って差別化されており、SL3を持っているから、SL3-Sを持っているから、と言ってSL3-Pに目を向けないのは勿体ないと言えます。
ライカ SL3-Pを使えば、SL3とSL3-Sのそれぞれが苦手としていた環境においてもLeicaらしい高い描写をこの一台で撮影をすることが可能です。
スタジオ撮影、作品撮り、スナップなどマルチに活躍するのが容易に想像できるため、「P」の名が付くのも納得の製品となっています。
新たにフルサイズボディを検討している方、ライカ SL2などの以前のモデルから買い替えをご検討されている方にはぜひ一度手に取っていただきたい一台です。
また、新たに発表されたレンズについても、今までのSLレンズには無かったラインナップとなるので注目を集めることとなるでしょう。
実際に発売されるのが待ち遠しい、SLの可能性を大いに広げてくれる2本です。
モデル:あるまさん(@almalmal.ma)
取材協力:ライカカメラジャパン株式会社
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