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LEICA Elmarit M28mm F2.8 1st
 

Leica Boutique MapCamera Shinjuku はおかげさまで2025年2月20日に12周年を迎えます。これを記念して期間中は希少価値の高い「PREMIUM COLLECTION」の掲載を行います。今回の「Kasyapa for LEICA」では特別編として掲載商品の中からピックアップしたものをご紹介。年月とともに進化を続けるカメラボディと往年の銘レンズとの組み合わせはその度に私たちに新しい景色を見せてくれます。ぜひお楽しみください。

ライカMマウントにおける広角レンズの代名詞はなにか。これは50ミリや35ミリといった標準域と比較して答えの出にくい問です。それは技術の発展とともに個性的なレンズが各年代で生まれているということに由来するもの。現代のライカにおける広角レンズ群の最大派閥は28mm、今回はその歴史の中で燦然と輝く「エルマリート M28mm F2.8 1st」通称9枚玉のご紹介です。今回使用した個体は非レトロフォーカス、カナダ製。古いレンズだと侮ってはいけません。本記事を通してこのレンズの魅力をお伝えします。

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/640秒 / ISO:64 / 使用機材:Leica M11-P + Leica ELMARIT M28mm F2.8 1st

 

絞り開放最短付近の描写をまずは1枚。個人的にエルマリート28mmは1st以外の全世代を試写したことがありますが、特に周辺に癖が強く出る2ndと比較してもかなり良好な描写であるように感じます。生産後、数十年を経たレンズですから多少の経年変化や個体による個性はあれど、ここまで素直に、すっきりと写してくれるとは予想外でした。心地よい裏切りを見せてくれ、様々な被写体へレンズを向けます。

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/1250秒 / ISO:64 / 使用機材:Leica M11-P + Leica ELMARIT M28mm F2.8 1st

 

開放無限遠で水平だけ気にして撮影した1枚。描写のディティールに焦点を当てたかったのでモノクロで。
ご覧の通りです。四隅の減光が心地よく、さらに信じがたいほどに中心部の描写は良好。写真の左右に写る街並みに目を向けると諸々の収差によるにじみはある程度感じられますが、先述した通りこの程度で収まっているのが凄いところ。感服です。

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/1250秒 / ISO:64 / 使用機材:Leica M11-P + Leica ELMARIT M28mm F2.8 1st

 

5m弱離れた地面にピントを合わせて強風が吹きすさぶ海上を望みます。半逆光の角度かつ日差しの強い環境であるためピントが合っている岩場もやや緩い写り。しかし開放ならではの背景ボケと周辺光量落ちによって全体がある程度締まって見えるほか、更にやや青さを強調するM11のセンサーが手助けをして表現をより豊かにしてくれました。

 

絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/160秒 / ISO:1600 / 使用機材:Leica M11-P + Leica ELMARIT M28mm F2.8 1st

 

F5.6の時点で収差が目立たなくなりました。

 

絞り:F8 / シャッタースピード:1/320秒 / ISO:160 / 使用機材:Leica M11-P + Leica ELMARIT M28mm F2.8 1st

 

歪みはわずかに感じますが目立たない程度。F8まで絞れば50年近く経過したレンズだとは思えぬ仕上がりに。

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/750秒 / ISO:64 / 使用機材:Leica M11-P + Leica ELMARIT M28mm F2.8 1st

 

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:64 / 使用機材:Leica M11-P + Leica ELMARIT M28mm F2.8 1st

 

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/1250秒 / ISO:64 / 使用機材:Leica M11-P + Leica ELMARIT M28mm F2.8 1st

 

近距離にピントを合わせた描写が特に魅力であると感じます。28mm、広角レンズならではのインパクトはもちろんですが、優しくなだらかにボケ始める風合いと周辺の収差が喧嘩をしていません。そのどちらもがメインの被写体から外れるにつれ徐々に強まり全体のバランスを整えているからである、絶妙なニュアンスなので敢えて口にするならばこのような言葉を選びます。

 

絞り:F8 / シャッタースピード:1/320秒 / ISO:800 / 使用機材:Leica M11-P + Leica ELMARIT M28mm F2.8 1st

 

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/2500秒 / ISO:64 / 使用機材:Leica M11-P + Leica ELMARIT M28mm F2.8 1st

 

硬質な表現もお手の物。絞り込むことで理想的ともいえるシャープネスを獲得できることはここまでお伝えしてきた中でご理解いただけることかと思います。翻って開放でもこの描写。非常にコントラストを高く保つことのできた環境であるのも要因の一つではあります。しかしここまで綺麗に写してくれるとは。さらに驚くべきは特に2枚目の中央の建物とそのすぐ後ろの建物の間で明確に被写界深度の描き分けができている事です。20m以上離れていた為無限遠からほんのわずかに動かしたにすぎません。実に素直かつ当時の完璧に近いレンズであったことが伺えます。

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/320秒 / ISO:400 / 使用機材:Leica M11-P + Leica ELMARIT M28mm F2.8 1st

 

このレンズが世に出る直前の広角レンズラインナップは「スーパーアンギュロンM21mmF3.4」と「ズマロンM28mmF5.6」でした。いずれのレンズも今なお人気のある銘レンズです。ただし開放F2.8を誇るエルマリートの登場は当時衝撃的であったと想像に難くありません。

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/320秒 / ISO:320 / 使用機材:Leica M11-P + Leica ELMARIT M28mm F2.8 1st

 

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:64 / 使用機材:Leica M11-P + Leica ELMARIT M28mm F2.8 1st

 

 

絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/6500秒 / ISO:64 / 使用機材:Leica M11-P + Leica ELMARIT M28mm F2.8 1st

 

 



 

地平に大きく眼をひらく。

広角レンズの役割。それをシンプルに言えば、できるだけ広く目の前の景色を情報として獲得し記録に残すことです。その目標を達成することにのみ重きを置くのであれば被写界深度は深い方が良いとは言わずとも、必ずしも極端に浅い必要はありません。エルマリートはF2.8という直前のズマロン28mmF5.6からすれば1段飛ばしの技術によって、これまでよりもいっそう明るく、いっそうボケを作る。そういった広角レンズのもう一歩先にある目標、需要に踏み込むことができた最初のライカMレンズです。本撮影を通し、鑑賞する者を驚かせる描写力からは作り手の真剣さが伺え、その後の未来を知る私たちからすれば、ここから更にラインナップを拡充していくことになるライカの野望すら読み取ることができるように思いました。様々なレンズが歴史に浮かび、沈み、そして現代に続く現行レンズの数々。2025年2月現在、その中にエルマリート28mmが存在しています。ズミクロンの登場、ズミルックスの活躍、ズマロンの復刻、それらを乗り越えてなおこのレンズが造り続けられる理由の一端を垣間見て頂ければ幸いです。

 

Photo by MAP CAMERA Staff

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