
Leica VARIO ELMARIT SL28-70mm F2.8 ASPH.
2025年06月21日
ライカより28~70mmの焦点距離域をカバーし、広角から中望遠まで幅広い撮影シーンに対応するズームレンズ『バリオ・エルマリート SL 28-70mm F2.8 ASPH.』が登場しました。防塵・防滴に配慮した金属製ボディでありながらも、SLシステム最軽量クラスにコンパクトで重量はわずか572g。レンズ交換の手間なく、さまざまなシーンで素早く柔軟に対応できる一本です。12群16枚のレンズには最先端のコーティングが施され、3枚の非球面レンズを採用。これにより高い解像力と収差の抑制を両立し、優れた描写性能を発揮します。今回は、高画素機「SL3」との組み合わせで撮影を行いました。Leica FOTOSを通じて簡単にインストール可能な「Leica Looks」も活用してきましたので、ぜひご覧ください。

強い日差しに照らされ、きらきらと輝きを放つ水面や階段の金属柵がつくる影のラインが印象的です。絞り込んだことで前ボケの手すりがやや硬めの描写となっており、個人的にはその質感の出方がとても好ましく感じられました。今回は撮影の中で「Leica Looks」を使用しており、このカットは鮮やかなコントラストと高彩度が特徴の「Leica Eternal」で撮影したものです。赤い救命具も非常に高彩度で写っていますが、色が破綻することなく、画面全体の中で良いアクセントとして機能しています。

引き続き「Leica Eternal」で撮影したカットですが、一目で印象に残る鮮やかな仕上がりでありながら、色が過度に飽和することなく、自然な彩度に収まっているバランスの良さに驚かされます。また、階段のザラついたテクスチャーもしっかりと描写されており、『バリオ・エルマリート SL 28-70mm F2.8 ASPH.』の優れた解像性能が感じられる一枚です。

ガラス越しに映り込む外の景色と店内の空間が重なり合い、まるで二重露光のような幻想的な世界観を描き出してくれました。反射と透過が複雑に混在するシーンでありながら、細部までしっかりと描写されている点にも驚かされます。このカットではLeicaLook「Leica Chrome」を使用しました。落ち着いたトーンが、微妙なコントラストを上品に引き立て、画全体に深みをもたらしてくれました。

こちらも「Leica Chrome」で撮影したカットです。実はこの写真、客室のドアにあるガラス越しに撮影したものなのですが、ガラスを一枚挟んでいるとは思えないほどクリアで透明感のある描写が印象的です。やわらかな逆光を受けて、ふわりと浮かび上がる花の輪郭。窓から差し込む光の柔らかい滲みや、室内全体を包み込むようなトーンもとても素晴らしいです。

テレ端・開放絞りで撮影した一枚です。水滴がまるで空中で静止しているかのような一瞬を捉えたくて連写した中から、ひときわ光を受けてキラリと輝いた水滴が印象的なカットを選びました。背景には大小さまざまな玉ボケが広がり、中央部は理想的な丸ボケです。

空に向かってすっと伸びる一本の薄紫色の花が、青空に心地よく映えています。画面手前には低木を前ボケとして取り入れましたが、その柔らかなボケ味が主題である花の存在感を一層引き立ててくれました。前ボケ・後ボケともに自然で美しく、描写表現の幅をしっかりと支えてくれる一本です。なお、このカットも「Leica Eternal」で撮影しています。カラッと晴れた青空と相性抜群で、これから迎える夏の季節にぴったりのルックだと感じました。

テレ端・開放絞りでもう一枚。光が差し込むことで、葉の表面が艶やかに際立ち、心地よい立体感が生まれました。前景から背景へと続く柔らかなボケのグラデーションが、ピント面の存在感をより一層引き立ててくれています。このカットでは、英国の写真家グレッグ・ウィリアムズ氏との共同開発によって生まれたLeica Looks「Greg Williams」を使用。モノクロフィルム「Kodak Tri-X 400」の風合いを楽しめるルックで、独特の深みを加えてくれました。

続いてLeica Looks「Greg Williams」を使用。経年変化によって風合いを深めた木製の窓枠や、壁面の細やかな凹凸までもが精緻に描写されており、このレンズの高い解像力がよくわかります。手前の葉はかなり前景にあったため、被写界深度の制約から完全には絞りきれませんでしたが、それを差し引いても全体として非常にシャープな描写が得られています。ボケを活かした柔らかな表現と、絞り込んだ際のキレのある描写、その両方を楽しめる一本です。


最短撮影距離は70mm使用時:0.38m(28mm使用時:0.19m)と高い近接性能を備えており、被写体にぐっと寄った撮影を楽しむことができます。開放絞りからでも描写は非常に繊細で、ガラスの質感や彫り込まれた花模様までしっかりと描き出されています。背景のやわらかなボケも自然で、主題をより引き立ててくれる仕上がりになっています。このカットではフィルムモード「標準」で撮影をしています。どんなシチュエーションでも使えるオールマイティーな仕上がりです。



日が沈み、街に明かりが灯りはじめるブルーアワーの時間帯。ライトアップされた帆船を中心に構図を組んで撮影しました。Leica Looks「Leica Chrome」との色の相性もとても良いです。改めて写真を見返してみると、開放絞りにもかかわらず周辺光量の低下がほとんどないことに驚きました。小さな文字まではっきりと読み取れる精細さもさすがのひと言です。レンズ装着時に自動でプロファイルが適用されるため、安心して撮影を楽しめます。
ライカSLシステムで最もコンパクトなズームレンズ
ライカSLシステム史上、最も軽量かつコンパクトな標準ズームレンズ『Leica VARIO ELMARIT SL28-70mm F2.8 ASPH.』。旅行や風景、ポートレート、さらには動画撮影まで幅広く対応できる万能さを備えつつ、「SL3」の高画素にも十分応えられる確かな描写性能を持ち合わせています。とっさのシャッターチャンスにも俊敏に対応できるため、日常使いのレンズとしてもオススメです。「SL3-S」とのセットとして発売されるということもあり、これからライカSLシステムを始めたい方にとっての最初の一本として理想的な選択肢の一つになるはず。お好みのLeica Looksと組み合わせて、ぜひ撮影を楽しんでください。
Photo by MAP CAMERA Staff