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M Monochrom (Typ246) & M Monochrom (CCD model)、オールドレンズでの描写に迫る。

2015年06月05日

2012年8月の発売から2年半の月日が流れた「Leica M Monochrom」――世界初の35mm判フルサイズ・モノクローム撮影専用設計の尖ったカメラ。1800万画素というスペックは仮の姿で、カラーフィルターおよびローパスフィルターを搭載しない特殊な構造により、実際の解像感は中判デジタルカメラをも凌ぐ程度の実力を持っています。それ故に、装着するレンズの世代にかかわらず、各々の個性を最もよく引き出してくれるボディと評されてきました。特にヴィンテージレンズとの相性は抜群で、頑なにフィルムで撮影してきた写真作家達も作品作りに用いる程。 このレポートをご覧のお客様の中にも、そういった楽しみ方をされている方も多いのではないでしょうか。

そして遂に迎えた、CMOSセンサーへと一新された後継機「M Monochrom(Typ246)」の登場。CCDセンサーとCMOSセンサー。新旧の「M Monochrom」で如何に写真が変わるものなのか。ヴィンテージレンズの個性は変わらず引き出してくれるのか、否か。試さないわけにはいきません。

そこで「Summilux 35mm F1.4 2nd」と「Summicron 50mm F2 1st」 2本の銘玉を用意。 同一条件(ピント位置/シャッタースピード/絞り)にて撮り比べてみました。 個体差を考慮し、同一レンズを付け替えて使用しています。 手持ち撮影の為、構図の差異については予めご了承下さい。

LEICA M Monochrom (Typ246) LEICA M Monochrom (CCD model) LEICA M Monochrom (Typ246) 絞り:F1.4/ シャッタースピード:1/750秒 / ISO:320 / 使用レンズ:Leica Summilux M35mm F1.4 2nd

先ずは「Summilux 35mm F1.4 2nd」からご覧頂きましょう。DNGデータをストレートにJpegへ現像したものを左右に並べています。等倍で確認してみても、ピント面の解像感はどちらも同程度。流石はカラーセンサーを廃した専用設計センサー。ベースの画素数が600万画素違うにもかかわらず、従来機も見劣りしませんね。

LEICA M Monochrom (Typ246) LEICA M Monochrom (CCD model) LEICA M Monochrom (Typ246) 絞り:F1.4/ シャッタースピード:1/750秒 / ISO:320 / 使用レンズ:使用レンズ:Leica Summilux M35mm F1.4 2nd

そうなると気になるのが描写特性の違い。窓の上部、ハイライトとシャドーの境目にご注目下さい。滲みの範囲が若干異なっているのがお判り頂けるでしょうか。僅かな差ではありますが、CCDセンサーを搭載した従来機の方が、ハロが上方へ伸びているように見えます。

LEICA M Monochrom (Typ246) LEICA M Monochrom (CCD model) LEICA M Monochrom (Typ246) 絞り:F1.4/ シャッタースピード:1/30秒 / ISO:320 / 使用レンズ:Leica Summilux M35mm F1.4 2nd

什器のガラス面に反射した、本来撮影者の左手にある窓。微妙な光のニュアンスを狙ったこの作例では、顕著に差が出ています。対して、反射している窓枠部分のディティールは新しい「Typ246」の方がきちんと描き出しているように見えます。どちらが優れている、という話ではなく、センサーの特性の違いと見るべきでしょう。もちろん、撮影時の微妙な光線状態の変化に起因している可能性も否めませんが。

LEICA M Monochrom (Typ246) LEICA M Monochrom (CCD model) LEICA M Monochrom (Typ246) 絞り:F1.4/ シャッタースピード:1/125秒 / ISO:320 / 使用レンズ:Leica Summilux M35mm F1.4 2nd

まるで、同一メーカーの異なる銘柄のモノクロフィルムで撮影したような。…そんな表現が適当かどうか分かりませんが、新旧「M Monochrom」で撮影した作例を整理していて、そんな印象を受けました。現像の仕方で撮影者の好みへ近付けていける懐の深さは、双方共に十分なようです。

LEICA M Monochrom (Typ246) LEICA M Monochrom (CCD model) LEICA M Monochrom (Typ246) 絞り:F1.4/ シャッタースピード:1/90秒 / ISO:320 / 使用レンズ:Leica Summilux M35mm F1.4 2nd

CCDからCMOSにセンサーが変わり、オールドレンズとの相性を気にされているお客様にご安心頂けたでしょうか。DNGデータの絵作りの仕方が少々異なるのは確かですが、決して相性は悪く無く、微妙なレンズの“味わい”もきちんと拾ってくれています。むしろ、センサーの設計が異なるにもかかわらず、よくぞここまで方向性を揃えてきたものだと感心してしまう程です。

LEICA M Monochrom (Typ246) LEICA M Monochrom (CCD model) LEICA M Monochrom (Typ246) 絞り:F1.4/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:320 / 使用レンズ:Leica Summilux M35mm F1.4 2nd

こうなってくると、「Typ246」になり飛躍的に向上した高感度域におけるノイズの少なさとレスポンスの速さは魅力的。今までの「M Monochrom」はフィルムカメラの延長として存在していた感がありましたが、後継機は確実に“デジタルカメラ”へと進化を遂げています。

LEICA M Monochrom (Typ246)

癖玉の代名詞のように語られる「Summilux 35mm F1.4 2nd」は、絞り開放における激しい収差の嵐を内包しつつ1960年代から90年代まで製造が続けられたロングセラーモデル。開放での独特の美しい滲みと、一段絞った際の端正な描写。その二面性が現在も人々を魅了し続けています。

LEICA M Monochrom (Typ246) LEICA M Monochrom (CCD model) LEICA M Monochrom (Typ246) 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/1500秒 / ISO:320 / 使用レンズ: Leica Summicron M50mm F2 初期固定鏡胴

次は「Summicron 50mm F2 1st」の作例をご覧いただきましょう。少し絞った絵ですが、拡大して観察すると、画像周辺部に少し流れが生じています。それでも、現代においても中心部の解像力は必要十分。

LEICA M Monochrom (Typ246) LEICA M Monochrom (CCD model) LEICA M Monochrom (Typ246) 絞り:F2/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:320 / 使用レンズ: Leica Summicron M50mm F2 初期固定鏡胴

冒頭で撮り比べた「Summilux 35mm F1.4 2nd」ほどクセのあるレンズでは無い為、差が出難いようです。デフォーカス部分にも大きな差異は見受けられません。

LEICA M Monochrom (Typ246) LEICA M Monochrom (CCD model) LEICA M Monochrom (Typ246) 絞り:F4/ シャッタースピード:1/250秒 / ISO:320 / 使用レンズ: Leica Summicron M50mm F2 初期固定鏡胴

新旧「M Monochrom」を比較すると、白飛びのしやすさは同程度。やはり、特殊な構造のセンサーが持つ宿命なのでしょうか。装着するレンズや光線状態にもよりますが、少しアンダーに抑えて撮影した方が良好な結果を生みそうな傾向は変わっていません。

LEICA M Monochrom (Typ246) LEICA M Monochrom (CCD model) LEICA M Monochrom (Typ246) 絞り:F2/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:320 / 使用レンズ: Leica Summicron M50mm F2 初期固定鏡胴

諧調の出方がほんの少し異なるだけで、全体の印象が少し変わってくるのがモノクロ写真の面白いところ。

LEICA M Monochrom (Typ246) LEICA M Monochrom (CCD model) LEICA M Monochrom (Typ246) 絞り:F2/ シャッタースピード:1/180秒 / ISO:320 / 使用レンズ:Leica Summicron M50mm F2 初期固定鏡胴

初代「M Monochrom」が販売を開始した当時、それまでモノクロフィルムをM型ライカに通し続けてきた私は胸が高鳴りました。同時に、今後は同様のカメラが一般市場向けに開発されることは無いだろうと思いました。

LEICA M Monochrom (Typ246) LEICA M Monochrom (CCD model) LEICA M Monochrom (Typ246) 絞り:F2/ シャッタースピード:1/180秒 / ISO:320 / 使用レンズ: Leica Summicron M50mm F2 初期固定鏡胴

それがまさか、こうして後継機が登場することになるとは。技術的な革新を伴いつつも、モノクローム写真に対する一貫したライカの姿勢を感じることができる完成度。今後もその進化から目を離すことは出来ないでしょう。

LEICA M Monochrom (Typ246)

「Summicron 50mm F2 1st」は、1954年に発売が開始されたライカレンズにおける一つの指標。 被写体によっては若干癖のある二線ボケを煩く感じる場面がありますが、中心部の解像力の高さは、この当時のレンズとしては群を抜くものです。今回撮影に用いた第一世代のモデルは、オールドレンズとしてあまりにも有名な「ズミクロン」の銘と、比較的手を出しやすい価格から、最初の1本として選ばれる事も多いモデルです。

如何でしたでしょうか。今回リリースされたM Monochrom(Typ246)では、背面液晶画面で撮影画像を再生すると、実際のものに比べ、若干セピア調に見える現象が確認されています。今までCCD版のモノクロームをお使いだったお客様にとっては、少し違和感を覚えるかもしれません。Adobe Lightroom等の現像ソフトへ読み込めば、彩度の無いモノクローム写真に見えますが、背面液晶と実際の画像との差異には、少々慣れが必要になるでしょう。

Photo by MAP CAMERA Staff

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