Summaritシリーズは『LEICA M8』と同時に登場したF2.5の開放値を持つレンズ群。35mm,50mm,75mm,90mmの4本を揃え、クラシカルな意匠と軽量・コンパクトなデザインで人気を博しているレンズだ。実際LEICAレンズの中でもコストパフォーマンスの高いレンズとして知られ、まずはじめの1本として選ばれる事も多い。
価格から廉価版というイメージが伴う事も多いが、口径を抑えF2.5でまとめた事からもその描写は実に優秀。上の写真でも照り返しの強い雪面ながら、細かい部分まで実に良く解像している。昔からLEICAの口径を抑えたレンズには銘玉揃いなのだが、この描写も実に期待できるものだ。
最短、開放に近いがこの描写は実に良い。ガラス球の艶やかな表面とフィラメントの滲み、金属部の鋭利な照り返しまで期待以上の描写をしてくれる。少々Summaritシリーズを甘く見ていたと反省させられる描写である。
しんと冷え込んだ牧場の空気まで伝わってくる様な描写である。ピントを手前の雪原に合わせているため遠景が少々甘くなっているが、それでも描写の素性の良さはお分かり頂けるかと思う。実際使用するとその重さ、サイズ感が絶妙で、ピントリングを含めたボディとの一体感が実に良い。今回のレポートは遠方での撮影であったが、他のレンズよりも軽く使い回しの良いこのレンズについつい手が伸びてしまった。このF2.5というF値も絶妙で、それなりに暗くても何とかなる、ボケも楽しめるちょうど良い塩梅なのだ。使い勝手の良い1本を求めているなら、このレンズは大いに試してみる価値のあるレンズだと思う。
モノクロームとの相性も良いものだ。細部に至るまで実に良く解像する。
F2.5というF値も想像以上に大きくボケるもの。日常の撮影にはむしろこの程度の方が使いやすいだろう。
少し絞るだけでしっかりとした解像感が出てくる。深い陰影を刻んだ木の目はこの地の冬の厳しさを物語っている様だ。
装着した時のバランスの良さは一目見て頂ければ納得して頂けるだろう。個人的には前玉が大きく、先すぼまりのこうしたデザインはM型ボディにジャストフィットだと思う。フォーカスレバーの造作も格好の良いものだ。気負いせず常用しやすいレンズとして、初めての方だけでなくLEICA玄人の方へも『Summarit 50mm/2.5』は大いにお勧めしたい1本である。
Photo by MAP CAMERA Staff