コンパクトでありながら優れた描写力を誇る「ズマリット」レンズがモデルチェンジしました。
標準域の感覚に近い中望遠の75mmは、歩きながら見つけた被写体がちょうど画角に収まるスナップレンズとしての使い易いレンズ。旧モデルと比べ最短撮影距離が20cm短縮され70cmまで寄ることが可能になり、手元の撮影などがより便利になりました。
クリアーな描写からは、その場の臨場感がしっかり伝わり、まさにスナップ撮影に最適と言わざるをえません。
ホームの看板に合わせたピントの奥へのボケも自然で、木々に囲まれた静けさや、ゆっくり近づいてくるケーブルカーの音が聞こえてきそうです。
最新のレンズらしく隅々まで緻密に写す優秀な描写力。しかしながら発色は少し渋めな所はライカらしい色表現と言えるでしょう。光が強く影がクッキリと出る条件でしたが、シャドウ部の粘りは流石です。
開放絞り付近では柔らかな描写をしますが、ピント面の解像はしっかりしています。F2.4ながら中望遠らしい美しいボケ味も魅力の一つですね。
古い椅子の年季を感じさせるしっとりとした写りの中に気品を感じます。光量の少ないシーンにこそレンズ力が試され、その期待に十分応えてくれました。
コントラストの低い写真はライカレンズの独壇場と言ってもいいかもしれません。被写体を忠実に写すだけでなく、時の流れをも捉えるような描写は「ライカじゃないと写らない」と思わせる説得力があります。
深まる秋を感じる桜の葉。少しトーンを落とした黄や赤の色彩表現は日本のレンズメーカーとは少し違う味付けです。落ち葉一枚一枚に感じる立体表現も見事です。
本レンズも光の拾い方が絶妙ですね。逆光を使ったハイキー気味の撮影はライカレンズの持つ「空気感」を絶妙に引き出してくれます。
まさに「みつめる」感覚を体感する画角。前後の滑らかなボケも魅力を引き立てる一因です。
モノクロの相性も良いですね。ピアノの光沢感も美しく、グレートーンの階調もお見事。
F5.6まで絞るとかなり解像度に違いが出ます。キリっとした解像をするのではなくしっとりした空気感を纏ったようです。
ズミルックスが登場する前はライカレンズの中でもっとも明るいレンズに位置付けられていたズマリット。時代の流れによってその名は一度消え、F2.5という明るさで再び復活した新生ズマリットは今回のモデルチェンジで光学性能を見直し、F2.4の明るさになって更なる進化を遂げました。開放から安定した描写を発揮してくれるので被写体の持つイメージを忠実に表現してくれることでしょう。 ライカレンズ最初の1本として手の出しやすい新生ズマリットは高いコストパフォーマンスを感じる影に、ライカらしい高い光学性能を感じることができました。
Photo by MAP CAMERA Staff