標準域の50mmや35mmという焦点距離を、すでに自らの目の延長のように使いこなす貴方に・・・ 次のステップとして、「中望遠」という選択肢はいかがでしょうか。 ポートレートはもちろん、静物の撮影にも有用な画角です。
「そんなに使う機会に恵まれないかも・・・」という方に自信を持ってお勧めできるのが、コストパフォーマンスに優れた「Summarit 75mm F2.5」です。
筆者は普段あまり中望遠レンズを使用しないタイプのユーザーなのですが、なるほど納得。実際にフィールドに持ち出してみると、撮影の幅が広がるではありませんか。
まず実際に使ってみて、そのヌケの良さに好印象。 やさしさを伴いつつ、開放F2.5からピント面は十分なシャープネスを保っています。
焦点距離はそれぞれ異なりますが、エントリークラスとは思えない優秀な描写を体感することができる点で、他のSummaritMシリーズと共通しているのは見事の一言。
枝葉を包み込む細かな雪の質感と、素直なボケ味。 押さえどころをきちんと押さえた描写は、なかなかに侮れません。
気になるレンズ構成は絞りを境に3枚ずつ、4群6枚の複ガウス型。 レンズ後端部を焦点面に対してやや近めに配置し、像面歪曲を良好に補正しています。
更には贅沢に4枚の異常部分分散ガラスを採用し、うち2枚は高屈折率ガラス。 非球面レンズこそ採用していないものの、歪曲収差も気にならないレベルに抑えられています。 多少の周辺光量落ちはみられますが、F4まで絞れば撮り手には判らない程度です。
コストダウンを行いつつも、最善の光学性能を維持する姿勢は、さすがライカといったところでしょうか。
全長は約60.5mm、重量も約345gと、中望遠レンズとしては比較的コンパクト。 現行のSummilux50mmF1.4とほぼ同様の感覚で扱うことできるのが良いですね。
取りまわしも良く、コストパフォーマンスに優れた中望遠レンズ。カメラバッグの中に忍ばせておけば、ここぞというタイミングで活躍してくれる1本ではないでしょうか。
Photo by MAP CAMERA Staff