絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M + Summaron 35mm/f2.8
第一世代の「Summicron 35mm/f2.0」と同じ優美なデザインの鏡胴を持ちながら、“Summaron”と言えばモノクローム撮影に定評がある一世代前の「Summaron 35mm/f3.5」が脚光を浴びがちだ。本稿では改めて、描写を含めたトータルバランスに優れた“隠れた銘玉”を皆様にご紹介したいと思う。1959年にリリースされた本レンズ「Summaron 35mm/f2.8」は、上述の前モデルの光学系を引き継ぎつつも、新種のガラス硝材を使用することで開放F値が向上。コーティングにもバリエーションが複数存在している。
絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M + Summaron 35mm/f2.8
幅広い階調表現は健在。ハイライト、それも日が当たる残雪を白飛びさせずに、影の中もきちんと描き出している。現代のハイコントラストなレンズには、なかなか難しい芸当であろう。
絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M + Summaron 35mm/f2.8
ある程度絞った画だが、周辺部の耽美な描写がお判り頂けるだろうか。陽の落ちた枝葉が甘い輝きを放っている。十分な解像力を持ちながらも、その場の空気を留めたような程好いバランス。オールドレンズという大きな括りの中においても、比較的足を踏み入れやすい部類に属する一本だと言える。前述のように、第一世代の「Summicron 35mm/f2.0」と共通の鏡胴には無限遠ストッパーを装備しており、非常に造りが良いことも魅力的だ。
絞り:F3.5 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M + Summaron 35mm/f2.8
細やかな後ろボケとなった木漏れ日。収差の残り方が実に絶妙なのがお判り頂けるだろうか。クセが強すぎて使いどころに迷うなどという心配は無用。被写体を選ばないオールラウンダーと言っても過言では無いだろう。
絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M + Summaron 35mm/f2.8
絞り:F4.5 / シャッタースピード:1/250秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M + Summaron 35mm/f2.8
今となっては控えめなスペックではあるが、それ故に保たれた描写力と収差の均衡は、好みに合致すれば長く付き合える相棒となるだろう。既に上位モデルに位置付けられる初代「Summicron 35mm/f2.0」をお持ちの方にも、是非一度手に取っていただきたい逸品だ。
Photo By MAP CAMERA Staff