『Summicron 35mm/f2』、ズミクロン銘のレンズの中でも、新旧あわせ様々な写真家に愛用されてきたライカレンズを代表するレンズです。適度な開放値、スナップと相性の良い35mmという画角、そして何より安定して発揮される卓越した描写力こそ、その代表となった所以でしょう。 今回ご紹介するのはその中でも第2世代、通称「6枚玉」と呼ばれるレンズ。 現行品に無いコンパクトさと、若干オールドの風合いを残しつつ、先鋭な描写が楽しめるレンズです。 ビスクドールと、レース編みの質感の違い、ご覧いただけましたでしょうか。僅かなフレアを伴いつつ、精細なその描写はさすがのものです。
ライカはフレームファインダーを見て、構図を決めて撮影していくカメラ。画角による写真が持つ”温度感”の違いを、強く感じる事の出来るカメラです。その中でも35mmはその場を掬い上げるのにちょうど良い画角。特に人を撮影するにも無理が無く、強いデフォルメで雰囲気を壊してしまう事も無い。ドキュメント、報道写真家が好んで使ったのにも頷ける画角です。そうした用途であれば、その場の雰囲気を崩さず、光をしっかりと受け止める事の出来るレンズが求められた事でしょう。この描写の安定感、取り回しのよさ、ライカの数あるレンズの中で、代表するレンズになっていったのにも頷けます。
目測、ノーファインダーの撮影でも、35mmであればある程度の構図の予想ができるもの。大仰な一眼レフではなかなか出来ない、こうした撮影が出来る事こそライカを使う大きなアドバンテージの1つです。
足し引きせず、そのままをそのままとして掬い上げるのがこのレンズの良い点でしょう。変に誇張が無い分、質感描写の良さとあいまって対象の魅力をしっかりと捕らえてくれます。そして、このサイズ。常に携行しても気にならないフラットさ。これも、実際に使う上では大きなポイントになるでしょう!写真としっかり向き合う1本、いかがでしょうか。
Photo by MAP CAMERA Staff
Leicalens-Report.