“Taylor&Hobson”社は古参のイギリス精密機器メーカー。19世紀後半に創業され、現在に至るまで続く老舗メーカーです。映画用レンズ等も製造していた当社が、第二次大戦後にイギリスで生産されたライカコピー機”Reid”の為に生産したのがこの”Taylor Hobson Anastigmat 2inch/f2″でした。
その描写は瑞々しさに溢れる美しいもの。解像力も高く、端正な描写は植物等も繊細に表現してくれます。色再現も実に鮮やか。
ピントの立ち上がりも良い。オールドレンズと言って差し支えないレンズですが、ヌケの良さは特筆もの。
ワインボトルの肩、その流麗で丸みを帯びたラインの表現をぜひご覧下さい。最短で開放付近だと僅かに収差が出る。少しのフレアを伴いつつ、滑らかな描写をするのがこのレンズの特徴なのでしょう。
ただ時としてこうした描写に出くわす事も。日差しの強い中で開放付近を無理して使いましたが、ワッと収差や滲みが出ています。優秀なだけかと思いきやそうでもない、こうした事があるからオールドレンズを使うのは楽しいのです。
バルナックタイプのライカ、IIIgに装着。精密機械かくありなんという外観で、これは文句無しに格好良いもの。
本来はセットで販売された”Reid & Sigrist”社の生産した”Reid”も素晴しい仕上げが特徴のカメラですが、この”Taylor Hobson Anastigmat 2inch/f2″も実に美しいレンズ。上品な梨地メッキも丁寧に施されたイギリスを代表するライカマウントレンズの1本と言えるでしょう。
バリエーションとしては微妙にメッキの仕上げが異なるモデルが存在しています。また極めて少数ですが、”National Optical”銘で生産されたレンズも確認されています。それぞれに時代背景を持つレンズ、そうした面も含めて楽しみたいものです。
Photo by MAP CAMERA Staff