Map Camera×Leicaトークショー「ライカQの世界」 ~プロカメラマンが伝授するQワールド~ Part.3
◆さて、ここからはいよいよ後半戦。萩庭桂太氏が撮り下ろしてきて下さったいう珠玉の作例の数々と共に、ライカQトークは更なる盛り上がりを見せます。
後半戦は、もう一度ライカQをおさらいしましょう。
「ライカQだからこれが出来る」とか「フルサイズだからこんなふうになる」とか「高感度耐性が凄く良いからこういうことが出来ますよ」っていうのを撮りましょうっていうことで、昨日モデルの子と撮影をしてきました。 …ここからは僕の偏見で物を言いますので! ライカQは焦点距離が28mmってなっていますけど、本当は24mmです。画角24mmありますから。ただ、これはメーカーが言ってるんじゃなくて、僕が言ってるだけです。(笑) それはなぜかというと、24mmのレンズとライカQ(28mm)で撮り比べたときに、「画角が一緒だった」っていうのにある時気が付いたのです。 どうも28mmにしては広すぎるなと思って撮っていたら、「ああこれ24mmだったな」と。ただ、28mmって書いてあるのが嘘かっていうとそうではない。焦点距離が28mmなだけで。画角と焦点距離は必ずしもイコールではないので。 ただ、いわゆる皆が思っている「画角」でいう28mmよりも、ライカQの28mmはもうちょっと広いです。これは得した気分で良いと思います。というのも、24mmのズミルックスを買ったと思ったらあと何十万か乗せないと買えないので、得をしたと思ってください。(笑) |
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このカメラのすごい所は、マクロ機能が付いている所です。
既にライカQを持っている方も、これからライカQが欲しいなと思っている方も、今までのライカのカメラがそうであったように、「ライカのカメラは寄れない。」と思っていたり、周りにそう言われることもあったかと思います。 でもライカQに関してはマクロモードがあるので、今までのライカのカメラとは違って寄ることが出来ます。そうするとこんな写真も撮れちゃいます。 これは50mmのマクロで撮りましたが、50mmのマクロと28mmが一緒になってるカメラなんて、この世の中に存在しないですから。だからライカQは本当におすすめです。寄っても撮れるし、引いた時、引き切れない場面でも撮れるっていう多彩さを持っています。 ―――それと、持っている方でまだファームアップをしてないという方はぜひファームアップをして頂きたいです! というのは、一番最初に買った時からファームウェアの最新バージョンが1つ上がっているので。そして、ファームアップによってピントを合わせる範囲が「大・中・小」と選べるようになっていて、その中の「小」を使うとピントの精度が凄く良くなるんです。その設定で撮ると、この写真はもう彼女の目の所くらいの大きさしかAFの範囲無いですから。この写真はただただ撮ってる、レタッチもなんにもしてないものです。 |
◆次々にライカQを使った効果的な写真を披露して行く萩庭氏ですが、次に萩庭氏がスクリーンに写した写真(お見せできないのが残念ですが…)を見て、会場一同びっくり。
映し出されたのは暗闇に浮かび上がる女性の写真なのですが、どうやらこの写真「わざと」失敗した写真なのだそう。真っ暗闇にぼんやりと女性の顔と手だけが浮かび上がっている写真を見ながら、萩庭氏の解説が始まります。
この写真は、「わざと」失敗してます。
…どういうことが言いたいかと言うと、ライカQは高感度性能が凄く良いカメラなんです。ISO12800まで感度があげられる。それはライカQのセンサーが持っているパフォーマンスがそこまであるということ。いつでも感度をそこまで上げて撮る必要はないんです。実のところ。 「カメラの中で現像をする」って人はその都度感度を上げてください。「PCで現像する」って人は、別に感度の設定は気にしないで、真っ黒のままでもいいから撮ってしまえ、ということで撮っています。 そして、この画像を現像すると… |
◆次の写真が写し出された瞬間、会場一同、更にびっくり!
それもそのはず。先ほどの真っ暗闇の写真と別カットなのではないかと見紛うほどに、綺麗に適正露出で写しだされた女性の写真がスクリーンに投影されたからです。
あの真っ暗闇の写真の中から、現像でここまで持ち上がるのか…。とライカQの底力にただただ感心するばかり。
先ほどの写真を現像すると、ここまで綺麗になります。
それぐらいこのカメラとこのセンサーとこのレンズのパフォーマンスがあるということなんです。 |
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でも、デジタルカメラ全部がこうなるかっていうと、そんなことはない。
これは信頼できるCMOSであったり、CCDセンサーであったりするから出来ることであって。それはどこのメーカーがどうとは言えないけれども…あるんですよね。 その辺り、ライカはすごくちゃんとしてる。特にライカQの高感度耐性は本当に凄い。ライブの撮影もそうだけれども、逆に言うと白く飛んだりしない限り、僕の感覚だと適正露出の5段くらいは平気で救える。フィルムのラッシュは大体7段って言われていたんですけど、デジタルは5段暗くても救えるなっていう印象ですね。 |
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なので、ライカQを持っている方はもちろん、持っていない方でもし「ちょっと不安だな」っていう方が居たとしても、ライカQならこれぐらい出来てしまうので、簡単に撮ることが出来る。
露出がどうだとか、絞りがどうだとかっていうのを気にしないで「今良い表情だな」とか「今凄くかわいいから撮りたいな」っていうのがあったらとりあえずカメラを向けて撮れば、あとでなんとでもなるというか。 …あとでなんとでもなるってプロの人がよく言いますけど、何がどれぐらいなんとでもなるのかはなかなか皆さん知らないですよね。でも実際、このぐらいはできます。これはちょっと勉強をすればいいだけの話なので。撮った後に時間をかけて自分の物にすればいいだけで。撮らなかったらもうその時間は戻ってこないんです。そういう意味では、なんとしてでも撮ってください! そして、「写真を撮る」ということに関して、ライカQはすごく良いんです。 |
◆さて、お二人の熱いライカQトークを聞き終えた後は、質疑応答タイムへと移ります。
実際にライカQを手に取り観客の方々の質問に答えていくお二方。ライカQの「使い勝手の良さ」について、こんなことをお話されていました。
こんなに設定をする箇所が少ないカメラって、本当に珍しいと思うんですよ。
ファンクションとか、階層が深い所まで入っていかないというか、無いっていうのも珍しいと思うので。だからライカQこそ初心者にぜひ使って貰いたいなと思いますね。 |
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そうなんですよ!例えば僕が桂太さんに「明日ライカQをもう一台使いたいから貸してくれない?」って言って借りて、同じ設定にしたとするじゃないですか。それって多分3分以内に出来ることなんですよ。
でも、これを他のメーカーでやろうとすると、こうは行かない。明日3台使いたいなと思って1台レンタル屋さんから借りてきて自分のカメラの設定と同じにしようとすると、20分仕事ですからね。 その点ライカQだと、AFの設定やAEの設定が直感的に操作できるおかげで、本当に時間がかからない。マニュアルカメラと言っても良いくらいわかりやすい。そこが凄く魅力だと思います。 |
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要望があるとすれば、ISO感度をダイヤルにして、それもシームレスにクリックなしで変えられるっていうのが出来たら、JPEGでやってる人たちは凄く使いやすいんだろうなって思います。 |
◆そして、ここで再び「ライカQを持っている方は」と萩庭氏が観客の方々に問いかけます。
持っていない方はライカQの購入を悩む一番の理由として「値段」を挙げますが、ここで萩庭氏からこんなお話が…。
確かに値段は高いんですけど、売ったらまた高く売れます。(笑)
国産メーカーはオープン価格なので、発売してからどんどん値段が下がるんですよ。でも、ライカやハッセルブラッド等の海外メーカーに関しては定価があるので、メーカーが値下げしない限りは値段が一定だから売る時にそんなに値が下がらない。 だから「売った時の値段がいくらか」っていうのをまず調べてみる。例えば今新品のライカQが57万円で、マップカメラでの買取価格が35万円ってことは、実質20万円くらい。20万円のカメラと思ったら…。 |
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20万円ではフルフォーマットの一眼レフボディは買えないですからね。 | |
そうなんだよね。それと、28mmのズミルックスが80万超えるって考えるとそんなに高いものではないっていうのと、あとやっぱりカメラって商品とか出来上がった製品ではないんですよね。
カメラは写真を作るための工場です。その写真を作るための工場にこのくらいの値段がかかると言っても、このカメラでしか撮れない写真を自分で撮れるのであれば、買った方がいい。 僕はデジタルになってからカメラはローンでしか買いません。しかも買って一番最初の支払いが一番長くなるように、ローンを組む日の日程をずらして買います。 …ってことは、一銭も払わないでだいたいひと月半くらいは使えるんですよ。だいたいね。(笑)で、その一銭も払っていない期間にそのカメラを勉強して、そのカメラで仕事をして、それでお金を得ると。 それで「元が取れたな」と思ったら、もし他のメーカーからもっと良いカメラが出たらすぐ売ってそっちを買う。 売って買ってカメラ自体は手元から無くなるかもしれないけれど、これを買って撮った写真は手元から無くなる訳では無い。だからもし欲しいと思うのであれば、今日すぐお店に行って買って、今日の夜の写真を撮る。もしくは明日の朝焼けを撮る。ってことをしたほうがよっぽど良いなと思います。 「プロの買い方」っていうセミナーをやってもいいかなって思ってて。 みんなプロはすぐ現金で買ったり、メーカーから貰えるんじゃないかって思いがちですけど、全くないですからね、そんなことは。プロだからといってそんなに甘い世の中ではないので。(笑) で、本当に買うんだったら、僕はローンの方が良いと。なるべくすぐに手元にカメラを用意して、たくさん写真を撮ったほうが一番良いんだろうなと思います。 |
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機材を買ったら、毎日撮れば撮るほど元が取れるしね。 |
◆プロのカメラマンであるお二方からカメラの買い方まで教えて頂いたところで、今回のライカQトークイベントは終了です。
ライカQを既にお持ちの方は実際に仕事でライカQを使用されているお二人から為になるお話を聞くことができ、ライカQをまだお持ちで無い方は購買意欲を刺激されたことでしょう…。私は後者の方でした。(笑)
フルサイズフォーマットのコンパクトカメラということで、発売以降注目され続けている『ライカQ』。
その魅力について深く触れることが出来た、貴重な2時間でした。
◆◆◆お二人とも、貴重なお話をありがとうございました!◆◆◆