【写真の日】「撮っておき」の1枚 後編 ~彼の地への想い~
6月1日「写真の日」にちなみ、マップカメラ スタッフが撮った「撮っておき」の1枚を紹介しています。
後半は、各地で撮った思い出の1枚。
遠出の旅行が難しくなってしまった今の状況下、写真は「あの時」を思い出させてくれる貴重なアイテム。
思い出の1枚には、撮影者である自分は写っていなくても、彼の地で感じたさまざまな想いが写しこまれています。
見返した時に、その想いが写真からあふれ出てくることもしばしば。
貴方の写真には、何が写っていますか?
CONTAX T3 Kodak Ektar100
知人から譲ってもらったCONTAX T3で初めて撮った写真です。
旅行に出かける際、フィルムの1枚目は出発地の空を写すのが私のルーティン。
この1枚は大学生時代に部活動の仲間と北海道に合宿に行った際、出発地空港での1コマです。
飛行機での旅行の際は、いつも出発時刻の2~3時間前に空港に到着し、展望デッキで離着陸する飛行機を眺めながら過ごします。
夏を象徴するような積乱雲が印象的なこの1枚は、愛機との出逢いを思い起こさせてくれます。
Nikon D5500 + SIGMA 18-250mm DC MACRO
私の「撮っておき」は数年前に出雲で撮った1枚です。
旧暦の11月が全国で「神無月」と呼ばれるのに対し、出雲では「神在月」と呼ばれます。
全国の神様が出雲へ集い、神議り(かみはかり)と言ってあれやこれやと話し合うのが由来だそうです。
この1枚はそんな話し合いに来た神様達を出雲の稲佐浜で迎える場面、神迎神事を撮影したものです。
どうしてもこの神事が見たく、寝台特急に乗り初めて山陰地方へ足を踏みれました。
夕方くらいから本格的に神事の準備が始まり、11月の日本海から吹く海風に背中を丸めていた人々が徐々に背筋を伸ばし、厳かな雰囲気に包まれた事を今でもはっきりと覚えています。
日本全国八百万の神々がこの日本海に面した砂浜から迎えられ出雲大社に集う瞬間、もう一度見たいものです。
Nikon D750 + AF-S NIKKOR 24-120mm F4G ED VR
一年でも限られた期間しか見られない光景。
時間、天候、風向きなどの様々な要因が一致しないと、綺麗な光条は見られません。
この年は自身の都合と天気予報を毎日確認しながら来る日を待っていました。
そしてとある日、まだ朝日が昇る前、暗い時間に支度を済ませ、目的の場所へと向かいます。
薄暗い中、三脚を構えてその時を待ちます。
日の出を迎えて、徐々に明るくなっていきます。
すると次第に差し込む光。
思わず、声が漏れてしまいました。
穴から差し込む光と、その光が水面に反射する様。
画面あるいは首を90度曲げてみると素敵な模様が浮かび上がります。
また、穴から差し込んだ光の先端。
岩肌を照らす光も三角形に。これも反射した水面と合わせることで宝石のようにも見えてきます。
写真を撮っていて、こういう瞬間に出会えることが多くあります。
毎回の撮影が「撮っておき」ではありますが、そのきっかけともなる「撮っておき」。
ぜひこのような瞬間にたくさん巡り合いたいものです。
SONY α5100 + E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS
5年前。大学生だった私が、初めて国外旅行をした時の1枚です。
とある作品をきっかけにベネツィアを知り、英語もろくにしゃべれないまま飛び込みました。
どこもかしこも映画のワンシーンのような景色が広がっていました。
島は迷路のように入り組んだ作りと運河が連なっており、家は色とりどりに塗られています。
この写真は、島中を歩き回っていた時に素敵な歌が聞こえ橋で立ち止まった時に撮影したものです。
ゴンドリエーレと呼ばれるゴンドラの漕ぎ手が歌うカンツォーネ(大衆歌曲)
建物に反響して美しく響いておりました。
Nikon F4 + Ai AF Zoom Nikkor35-70mm F2.8D FUJIFILM SUPERIA X-TRA400
この時使用したフィルムカメラとレンズは祖父の形見。
大学1年生の時、私がフィルムカメラを本格的に使い始めた頃に撮影した1枚です。
撮影場所は千葉県にある「いすみ鉄道 第二五之町踏切」です。
田んぼのど真ん中にある踏切なのですが、青空との組み合わせがとても可愛らしく、何度もシャッターを切りました。
被写体になってくれたのは一緒に行った大学の先輩です。
フィルムカメラの楽しさを知れた思い出深い1日でした。
SONY α7RM3 + Voigtlander MACRO APO-LANTHAR 65mm F2 Aspherical
ただ1枚の、鼠色にくすんだガラスの写真。
夏の日、父が運転する車の助手席で野辺山のスコールとすれ違った。
ただでさえ速い、熱気に絆された雲。
対向車線を走る車たちは皆、びしょ濡れでそれから逃げていた。
たしか、佐久方面から清里へ抜けるために走った、8月12日、夕刻の国道141号線。
これでもかと湿度を纏ったぬるい外気は、窓を開けてもなお柔らかく。
フロントガラスへの最初の一打は、小石のように重く、硬く。
あっ、という間に、ほんとうにその数瞬に辺りは彩度を失い、
相対的に車内の彩度は増していく。
後部座席で、母か弟がカーステレオのボリュームを上げた。
ただ1枚の、鼠色にくすんだガラスの写真。
私だけが、この一枚の美しさを、輝く夏を、知っている。
マップカメラ スタッフによる「撮っておき」の1枚、いかがでしたか?
シャッターをレリーズした瞬間に刻み込まれた撮影者の想いを感じ取っていただけましたでしょうか。
一言に「とっておき」といっても、その思い入れは被写体に向けての愛情であったり、撮影した彼の地への憧憬であったりとさまざまです。
今回のブログをご覧になって、自分の方がもっと思い入れの深い写真を撮ってるよ、なんて方もいらっしゃることでしょう。
是非、ご自慢の1枚を「EVERYBODY × PHOTOGRAPHER.com」や「自機自賛」などのマップカメラ 投稿サイトでご紹介ください。
今日は「写真の日」。
皆で写真について大いに語り合いましょう!
そう、マップカメラは、お客様もスタッフも写真好きが集う場所なんですから!
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