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【新旧共存】SONY α7RⅢとシネマフィルム用レンズ

【新旧共存】SONY α7RⅢとシネマフィルム用レンズ

マウントアダプターさえあれば、ミラーレスカメラには様々な種類のレンズを装着することができます。
例えば私は、SONY α7RⅢに、M42マウントやキヤノンEFマウントなどのレンズを装着して撮影することがあります。

他のマウントのレンズをミラーレスカメラのボディに付けられるとはどういうことなのか。
それは、マウントからセンサー面までの「フランジバック」と呼ばれる距離さえ合っていれば、
基本的にはピントを合わせることができる、という原理に基づいています。
たとえばソニーEマウントのフランジバックは18㎜で、キヤノンEFマウントのフランジバックは44㎜です。
つまり、その差である26㎜を埋める“筒”があればキヤノンEFマウントのレンズでピントを合わせられるということです。
その筒の役目を果たすのが、マウントアダプターという事になります。

もちろん、AFができるレンズの機構を動かす仕組みや、センサーの大きさ、マウント径の大きさなど、
様々な条件をクリアしなければ、「何も問題なく撮影ができる!」とは言い切れませんが、
簡単に理屈を説明するのであれば上記の内容で問題ありません。

ちなみに、他マウントのレンズを使用する場合、レンズ側のフランジバックの方が長い必要があります。
レンズ側のフランジバックの方が短い組み合わせでは、レンズとボディの間に筒を挟むのではなく、
レンズを、ボディのマウントよりもセンサーに近づけなければいけないことになるため、基本的には使用できません。
今回の例で言えば、SONY Eマウント用レンズはキヤノンEFマウントボディに装着しての使用ができないという事になります。


SONY α7RⅢ+SIGMA  Art 30mm F1.4 DC HSM for EF

マウントアダプターを用いれば、種類によっては何十年も昔のレンズから、現行で販売されているほかのマウントのレンズまで、
多種多様な写りを楽しめるので私はとても気に入っています。
勿論その中には、本来フィルムカメラでしか使用できなかったレンズも含まれており、
そういったレンズをデジタルカメラに装着することで初めて、フィルムでは表現しきれなかった本来の描写を体感できます。
これはまさに、新旧の共存。

さて、そんな私が今回ご紹介するのは「Kern MACRO SWITAR 26mm F1.1」と、「Angenieux 75mm F2.5」です。
あまり馴染みのないレンズだと感じる方も多いかもしれません。
これらのレンズは主に、今では目にすることが減ったシネマ用16㎜フィルムカメラのレンズなのです。
規格はCマウントと呼ばれ、直径1インチのねじ込み式のマウントのことを指し、
現在でもこのマウントの規格は監視カメラのレンズなどに用いられているそうです。

そして、そんなレンズでさえもミラーレスカメラに装着できるマウントアダプターが存在します。
Cマウントのレンズは絞りもピント合わせも手動なので、理論上はフランジバックの差を埋めるアダプターさえあればピントが合います!
さて、それでは早速ボディに付けてみましょう。
SONY Eマウントのフランジバックが18㎜。
Cマウントのフランジバックが17.526mm…おや?

冒頭の説明で、マウントアダプターを使用した撮影は【レンズ側のフランジバックの方が長い必要がある】と述べました。
そうです、ボディのマウントよりもレンズをセンサーに近づけなければならないからです。
しかしどうでしょうか、今回の組み合わせではまさに、“カメラに食い込ませる”組み合わせとなってしまっています。
本来であればボディを壊してセンサーに近づけなければいけないような組み合わせですが、Cマウントレンズの特性上、
“センサーに寄せて食い込ませる”ことが可能なのです。

ひとえにボディ側に食い込ませるといっても何もボディを壊す必要はありません。
なんといってもカメラの前面にはセンサーの前に開いた大きな穴があるのですから。
その穴よりもレンズの直径が小さければ、レンズを穴の中に少し差し込むような形でセンサーに近づけることができます。
ご明察。その穴こそボディに開いたレンズマウントです。
SONY Eマウントの直径は約46mmであり、Cマウントの直径は前述した通り1インチ(25.4㎜)です。
つまり、センサーまで0.474㎜近付けるように凹んだ形のマウントアダプターであれば使用可能なのです。
このマウントアダプターはご想像の通り、真ん中に穴の開いたお煎餅のような、薄っぺらい見た目をしています。

前置きが非常に長くなりました。
実際に撮影した画像を見てみましょう。


SONY α7RⅢ+Kern MACRO SWITAR 26mm F1.1

画像の四隅が大きくケラれている…というよりは、もはや丸い画像になっています。
それもそのはず、Cマウントのレンズがセンサー(当時であればフィルム)に投影しなければいけない広さは、
当然、専用である16㎜シネマ用フィルムの大きさで十分なのです。そしてその大きさはというと、高さ7.49mm×幅10.26㎜というごく小さい範囲。
SONY α7RⅢはフルサイズセンサー(高さ24 mm×幅36 mm)搭載なので、その中にすっぽりと納まってしまいます。

マイクロフォーサーズセンサー(高さ13mm×幅17.3㎜)を搭載したカメラや、
1/2.3型センサー(高さ4.6mm×幅6.2㎜)を搭載したPENTAX Qのようなカメラであれば、
Cマウントレンズを装着しても、フルサイズセンサーのように極端に大きくケラれてしまうことはありません。
私がなぜ、あえてフルサイズで使っているかというと、それは至極単純な理由で「その方が面白いから」です。

ちなみに、レンズがセンサーなどに写すことのできる円の大きさを「イメージサークル」と呼びます。
この写真のように丸く縁取られている円状の範囲、まさしくこれがこのレンズのイメージサークルの全容です。


SONY α7RⅢ+Angenieux 75mm F2.5

たとえ同じマウント、同じメーカーであっても、レンズの種類が違えばイメージサークルの大きさも違います。
なので、同じCマウントであっても、APS‐Cセンサーギリギリまでカバーできるイメージサークルを持つレンズや、
まん丸小さいイメージサークルのレンズもあります。
自分好みのレンズを是非探してみてください。

では次にこの写真をご覧ください。


SONY α7RⅢ+Angenieux 75mm F2.5

この写真も先ほどの丸い空の写真と同じく、Angenieux 75mm F2.5 を用いて撮影した写真です。
その割には、ケラれこそありますが丸く切り取られることなくに四角い写真として成立していることが見て取れるかと思います。
この写真は使用したボディであるSONY α7RⅢのAPS-Cモードを適用しました。
本来APS-CモードはフルサイズであるこのボディにAPS-C用SONY Eマウントのレンズを装着した際、
ケラれを生じさせないようにセンサーの中央一部だけを使って写真を撮影するものです。
では改めてAPS-Cモードを使用しない状態の写真はこのようになります。


SONY α7RⅢ+Angenieux 75mm F2.5

同じ場所、同じ被写体、同じ機材ですがこうも雰囲気が変わります。
まるでレンズを二本持ってきているような、表現の幅が広がる機能なので、私はショートカットボタンにも割り当てているほどです。
もちろんこの機能はどのレンズでも使用できるので、単純に考えれば焦点距離1.5倍のレンズをもう一本持っているようなものと考えてもいいかもしれません。

Kern MACRO SWITAR 26mm F1.1でAPS-Cモードを使った写真もご覧ください。
立体感や像の滲み具合、流石F1.1の超ハイスピードレンズということもあり、独特の表現力を持っています。


SONY α7RⅢ+Kern MACRO SWITAR 26mm F1.1

なんとも心地よい写り…
スイスのレンズメーカーであるケルン社は今回ご紹介したCマウントのように、もともとはシネマ用レンズを作っていましたが、
その後、ALPAなどにスチル用のレンズも提供していました。
シネマ用もスチル用も大変によく写り、なおかつ良い味を出すために非常に人気が高いレンズたちです。
わたしもいつか、手に入れられたらよいのですが…

SONY α7RⅢ+Angenieux 75mm F2.5

イメージサークルが小さいレンズでの撮影はモノクロや、暗い街の夕焼け、ネオンを写す撮影に向きます。
モノクロ撮影は周辺が真っ黒に落ちても、影と同化してあまり目立ちません。
夕景やネオンであれば、明るい部分だけが写真の真ん中に浮かび上がるので、イメージサークルの形を感じさせにくいです。

最初は物珍しさから試してみたCマウントレンズでしたが、理屈で分かっている以上に奥が深く、
ただ単に丸く映るレンズ、と一言で説明するにはもったいないジャンルでした。
勿論、写る範囲が特殊であるために思ったような画にならないことも多々ありますが、
デジタルでたくさん撮ることもできるため少しずつ慣れて使いこなせるようになってきました。

SONY α7RⅢ+Angenieux 75mm F2.5

きっとこのレンズたちもまさか動画ではなく、しかもデジタルで写真をたくさん写すことになろうとは思ってもみなかった筈です。
Cマウントのレンズは数こそあまり多くは出回っておらず、貴重なものに関しては高額なものも多いですが、
一度この面白さに触れてみてはいかがでしょうか。



[ Category:etc. | 掲載日時:20年09月25日 19時07分 ]
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