【HASSELBLAD】907の通り道 4号線
HASSELBLAD 907X 50Cが発表された当初からずっと試してみたかったこと。
不動の銘玉、ズミクロン1stを使って撮影すること。
軟らかい西日が照らす城址公園には、ディレイをかけたような深みのある時間が。
誰に会うでもなく、話すでもなく。
お気に入りのラジオと、カメラと、私、3人編成で今日の道を往く。
◆今日のお伴
Leica Summicron 50mm F2 1st rigid
少しだけですが動画も撮影しました。
HASSELBLADのセンサーが描く色とLeicaレンズの引く線が独特なものを生み出します。
現実なんだけれど現実じゃない、見慣れてるけどどこか違う、そんな口当たりのいい違和感をお楽しみいただけますと幸いです。
日々、中判センサーをカバーできるレンズを探すのがいよいよクセになりつつあり、最近見つけたのがこのレンズでした。
「Leica Summicron 50mm F2 1st rigid」焦点距離を0.8倍して、フルサイズで言うところの約40mmに相当する広さで写せています。
四隅に発生する減光の具合、独特な背景のボケ、何十年も前のレンズとは思えないピントの重厚さ。
泣いているような滲み…どこを見たって味わい深い。
今回訪れた城址公園はほんの小高い丘くらいの高さですが、静けさと木々の匂いで登山を思い出しました。
碌にカメラを持たずに登っていた山々も、いまふたたびトライすればまた違った面白さを発見できる気がします。
それは中判センサー故なのか、それともこのカメラ故なのか。
この時間を追体験できる写真が撮れたことが嬉しくもあり、翻せば悪魔の誘惑でもあり。
昨年盛大に咲いたであろうススキがすっかり白くなり、西日の中に揺れていました。
遠く微かに聞こえる電車の音と、風が身体を掠める音だけが響く心地の良い午後。
レンズを傾けたり絞ったりしながらフレアの形を楽しむ時間は、私にとっては非常に有意義なもの。
ほどよく青と紫色が乗っていて画のアクセントにもなっていると感じます。
設定お任せでこの空気感が出せるカメラって、そう無いなと再認識。
それとも、単に自分が酔わされているのか…どちらにせよ人の心を動かす力は確実に持ち合わせています。
最後にお馴染みの65:24を。
撮りたいところだけを切り取って、見たいところだけを鑑賞する。
余裕があるからこそ成しえる芸当です。
この魅力からは逃れられようはずがありません。
・・・
意識を少し西に伸ばして、諏訪湖の全面結氷そしてあわよくば御神渡りを心待ちにする日々。
節分くらいがリミットとも言われていますが、あまり気にせず今シーズンも期待してみます。
…出来れば東京は暖かいままで、我儘ですが。
907の通り道。
次は何処を歩こうやら。