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【Leica】マップカメラが選ぶライカレンズ10 ~Leica Elmarit M28mm F2.8 2nd~

【Leica】マップカメラが選ぶライカレンズ10 ~Leica Elmarit M28mm F2.8 2nd~

2023年2月20日、Leica Boutique MapCamera Shinjuku は10周年を迎えます。
マップカメラのブログサイトであるTHE MAP TIMESでは、よりライカの世界を楽しんでいただけますよう、専門店スタッフによる関連記事や動画コンテンツを順次掲載してまいります。ぜひお楽しみください。


今回選んだレンズは、Leica Elmarit M28mm F2.8 2ndです。
1964年から製造されたElmarit 1stから進化し、1972年から製造が開始されたレンズです。
1stとの大きな違いは、前群に凹レンズ、後群に凸レンズを配置しバックフォーカスを長くするレトロフォーカスのようなレンズ設計にしたことで、後玉の出っ張りがなくなったことです。そのため、1stではシャッター幕前の測光アームと干渉するために使用することが出来なかったM5やCLでも使用することが可能になりました。
レンズ構成も、6群9枚から6群8枚に変更され、1stと比べるとコンパクトになりました。


いわゆる2ndとされている、後玉の出っ張りがなくE48のレンズの中にも製造年に応じて大きくわけて2種類のレンズがあります。
1つ目は1stの製造後に製造されたモデルです。こちらは、1stと同様に鏡胴部がくびれており、無限遠ロックがあります。
その後、製造後期に入ると2つ目のモデルが登場します。こちらになると、くびれがなくなりストンと落ちる形になってきます。
初期にはあった無限遠ロックもなくなっています。
今回選んだレンズはくびれのある初期型です。くびれの美しさに一目ぼれしたためです。Leicaのレンズはその描写力はもちろんのこと、見た目の美しさで選ぶ楽しさもあります。


ライカレンズの大きな特徴の一つに、F値ごとに決まった名前が付けられていることがあげられます。
F2.8のレンズであるこのレンズに付けられている名前は「Elmarit」です。
この名前は、1925年から製造を開始したライカの最初期のフィルムカメラである、A型についていたレンズのElmaxの流れをうけています。
Elmaxは、顕微鏡の開発からカメラ製造に舵を切った経営者のErnst Leitz(エルンスト・ライツ)1世と、このレンズの設計者であり、今でも人気の高いThambarL90F2.2やSummaritL50F1.5をはじめ、多くの銘玉ライカレンズを世に送り出したMax Berek(マックスベルク)2人の名前を合わせて名付けられました。
その後、Elmaxの名前はElmarやこのElmaritに引き継がれていきます。

・・・

ここからは、実際に撮影した写真とともにお送りいたします。あわせたボディはM11です。

久しぶりに持ち出した28mmの広角レンズ。28mmの広さということで、スナップ撮影を撮ろうか…そう思いながら数枚気の向くままにシャッターを切ります。
何枚か撮るうちに、「ポツンと感」の出るレンズだと思いました。
現行レンズの場合、ピントをあわせたところがより立体的でシャープに際立つ写真が撮れる傾向があります。
もちろん、より被写体にスポットライトをあてた写真を撮りたいときはそちらのレンズが大活躍してくれるでしょう。
そうではなく、ポツンと漂っている哀愁のような、特別な存在感は放たずとも当たり前にそこにいるような、自然に佇んでいる感じが出るレンズのようです。


そうなると、撮りたい写真の方向性は見えてきました。「ポツンと」感のある写真です。
これは、一艘だけ横を向いていたスワンボートです。飄々とした反骨精神を感じます。
水彩画のようなのどかな写りの中で、白は優しく滲んでいます。


エルマリートはどんな写りか?そう聞かれると「素直」「立体的というよりかは平面的」とお答えすることが多いです。
グルグルと回るような特徴的なボケが出るわけではなく、素朴な色です。
自分の目を超えて何かを見ているレンズではなさそうです。
そう聞くと、まるでつまらないレンズかのようですが、そんなことはありません。
カメラを構えた私は、階段を下った先にこちらが乗り込むのを待っているように一艘だけボートがあるのが面白いと思い写真を撮りました。
その「面白い」と思った感覚がそのままレンズにも伝わっているように感じます。


少し暗いところで写真を撮ると、思いのほか周辺が落ちて驚きました。
「28mm=広角を活かした景色写真」というイメージがありましたが、ぽっかりとできる余白でポツンと感を出すことも出来ました。
本当のところは分かりませんが、「まあ、時間があるんだったら入ってみてよ」という肩肘張らないオープンを感じます。
写真を撮りながら、どちらかと言うと「平面的」な描写とは言うものの、のっぺりした描写というわけではないようだと確信します。


今日の夜に備えたホッピー。メニューにあるとつい吞んでしまいます。
個人的な感想ですが、ワインや日本酒だと、こんなところに置き去りにしていいのか…?と思いますが、ホッピーの場合はホッピーだしまあいいか…という気持ちになります。
やわらかい描写の中にも芯が通っているところはさすがライカレンズです。
コントラストの高さも特徴の一つに挙げられそうです。


柔らかく、肩肘はらないレンズながら写すべきものは逃さない。
しかし、使いながらどう写そうかとこんなにも頭を使ったレンズは初めてです。
何も考えないで撮っているといつにも増して散漫な写真しか撮れないからです。
「なぜこの一枚を撮りたいと思ったのか」「目の前に広がる世界をどう見たいのか」という問いを常に考えながらシャッターを切りました。

エルマリートは使うのが難しいレンズです。
だからこそ、使っていてこんなに楽しいレンズを他に知りません。




[ Category:Leica | 掲載日時:23年02月08日 17時00分 ]

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