『逍遥(しょうよう)』とは、気ままにぶらぶら歩くこと、
つまりは散歩です。
たとえば、天気の良い日に洗濯物を干していて、ふと出かけたくなり、ちょっとそこまで散歩をする。
こういったことを『逍遥』と呼ぶのだと個人的に解釈しています。
散歩よりも、ちょっとかっこいい存在です。
昨年のクリスマス頃 、Leica M4とズマリット50mm F1.5を『逍遙』に持ち出しました。
フィルムはFUJIFILMの業務用400を使用。手頃な24枚撮りフィルムとして買い溜めしていたものです。現在では終売となっています。
クセ玉としても有名なズマリット、フィルムではいったいどんな写りをするかご紹介したいと思います。自転車置き場にて一枚。コインランドリーや自転車置き場の生活感が好きで訪れるとつい写真を撮ってしまいます。手前のボケは輪郭の芯を残しつつも柔らかい印象、非常ランプの赤いライトが滲んでいます。
後ボケがざわざわしています。フィルムの粒状感とも相まってノスタルジックな雰囲気になりました。
椿と言えば生垣に植わっているイメージがあったのですがこちらは伸び伸びと枝を広げていました。
クセ玉とは言うものの日中絞り込んで使用すれば、特に気にする必要もないと感じました。
コントラストは低めのあっさりとした雰囲気、優しい表現です。
夜へ移ります。昨年の12月はとても寒く、夜の散歩が好きな筆者ですら、家を出るのが億劫でした。
家路を急ぐ中、いつもの電灯がなにやら良い雰囲気を醸し出していました。
筆者にはいつも見ていたものが突然いとおしく見えることがあります。
心に余裕ができ、いつも見ているものの良さをようやく理解したため、そのような気持ちになるのだと思うのですが
そんな記念すべき瞬間のために筆者はカメラを持ち歩いています。
そうなるとこの日は電灯の良さを理解した記念日となります。
今回使用したLeica M4は露出計なしの完全機械式のカメラ、露出は単体露出計を用いるか、己の勘に頼るかのどちらかです。
筆者は完全に趣味としてカメラを持ち歩いている為、露出が多少ずれていても深くは落ち込みません。
おそらくこのくらいだろうという感じでシャッターを切ります。
葉が散ってしまったイチョウですが、バックに輝くオレンジ色の光によってまるで紅葉をしているような印象に。
開放付近のF値で光源に向けるとやはり大きく滲みます。
光源シリーズその二です。光で透けた葉がきれいです。
少し絞り込めば滲みもだんだんと薄くなっていきます。
光源シリーズファイナル、電飾がポヤポヤと派手に滲んだクリスマスの装飾です。
今年こそはツリーを飾るぞと意気込んで数年、毎年気が付くと年が明けています。
コマ収差が派手に出ています。現在のレンズでは収差が良好に補正されているものが多いため、最新のレンズでは見かける事が少なくなりました。
現代では当たり前のように補正されていますが、古くに生産されたレンズは収差の補正以前にF値をいかに小さくするかというところに注力されていたモデルが多くあります。
当時ではハイスピードレンズという革新的なレンズであったのです。
多種多様な収差を良好に補正しているレンズが多く世に出回っている現在、当時の惜しみない努力に敬意を表しながら大切に使ってゆきたいものです。
また素敵なカメラと共に『逍遙』したいと思います。