『逍遥(しょうよう)』とは、気ままにぶらぶら歩くこと、
つまりは散歩です。
たとえば、天気の良い日に洗濯物を干していて、ふと出かけたくなり、ちょっとそこまで散歩をする。
こういったことを『逍遥』と呼ぶのだと個人的に解釈しています。
散歩よりも、ちょっとかっこいい存在です。
今回は Leica M4とズマロン M35mm F2.8を『逍遙』に持ち出しました。
どちらも昨年手に入れましたが、手になじんだ気がして、持ち出すのが心地よい組み合わせです。
この日はうだるような暑さでしたが、木陰で涼みたいと思いたち、出かけました。
フィルムはFUJIFILM PRO400Hをチョイス、第4の感色層により独特の青みが楽しめるフィルムです。
普段はあまり使用しないフィルムのため、一体どんな写りになるだろうと楽しみにしていました。
木の幹にミストを噴射する装置が付けられており、打ち水効果で周りはとても涼しくなっていました。
ミストに反射した光がすこし青みがかっているように感じます。KodakのPORTRA 400を普段よく使うのですが、それとはまた違った淡い色乗りに胸が躍りました。
見上げれば木々の梢が伸び、日陰を作ってくれています。
この様な場面では35mmの画角は丁度良く、持ちだしてよかったと思わせてくれます。
「被写体との距離を考えながら、自分の足で稼ぎ、撮影する。」この一連の動作を楽しめることこそが単焦点レンズの魅力であると思っています。
木陰とはいえ暑くなってきたため室内へ移動しました。コントラストは低めのフィルムですが、快調豊かなズマロンの性能も相まって、淡い日の光の表現に心地よさを感じます。
窓からは先ほど歩いてきた道が見えます。日も高くなり、涼しいところに逃げてきて正解でした。
ざわざわと木が揺れる音が聞こえてきそうな一枚です。
建物内を見物し終え、庭園に目をやると、また面白いものを見つけました。
真ん中の白いオブジェに気をひかれ夢中でシャッターを切ったのですがカーテンがかなり写りこんでいました。
しかしこれもまた、「見つけた」という感じが出て気に入っています。
何かを見つけたとき、面白かったことを記録するためにカメラは持ち歩くようにしています。
あの時こんなことがあったなと思い返すとき、写真があるとその思い出が一気にフラッシュバックします。
いつかこの写真が思い出になることを楽しみにして、これからも『逍遥』をしたいと思います。