【Leica】M3と歩む 2
これは筆者が様々な不具合を抱えたM3を購入し、のんびりと歩いていくお話です。
Kodak Tmax100,Leica M3,Voigtlander Heliar Classic 50mm F1.5
春先の房総が好きです。
まだぎりぎり冬が終わりきっていない、しかしながら春への準備が着々と進んでいることを肌で感じられる時期にのんびりと窓をあけてドライブすることで、今年も新しい年度が始まるなという実感がわいてきます。
内陸地では緑の香りが夏を待っていて、海岸部ではまだ冬はここにいるぞと言わんばかりに強風が吹き荒れる。
そんな春先、毎年水入れの時期に合わせて千枚田を見に行きます。
かれこれ数年は通っているのですが、なかなか気象に恵まれず朝焼けは見られても満点の星空と棚田の組み合わせは未だ撮れていません。
遠くに見える山嶺を写すべく暗部は切り捨てたつもりでしたが、しっかりと潰れずに残ってくれています。
Kodak Tmax100,Leica M3,Voigtlander Heliar Classic 50mm F1.5
廃墟が好きです。廃墟のために東奔西走していた学生時代もありましたが、近年では規制も厳しくなり大手を振って歩ける場所も減ってきたように思います。
ここはかつての揚水ポンプ場跡。通勤電車に揺られながら地図とにらめっこしているときに見つけた施設です。
先の一枚とは対照的に全体的にきりっと引き締まった写り。実は絞りを変えて5カット程撮ったうちの一枚です。
右の建物の顔はしっかりと写しつつ、左側の木々は少し怪しげに。
Kodak Tmax100,Leica M3,Voigtlander Heliar Classic 50mm F1.5
モノクロ写真の”良さ”というものをあまり理解できていない状態で久々にモノクロフィルムを使いました。
期限ギリギリのフィルムをとりあえず詰めて家を出ていつもの通り写真を撮り、現像上がりのフィルムを見たときにそのラチチュードの広さにただただ驚愕しました。
思えば昔モノクロフィルムを使ったのはいつだったろう。その時には写っている物ばかりに目が行きフィルム自体には目が行っていなかったのかもしれません。
ヒレの陰影の美しさが際立ちます。
Kodak Tmax100,Leica M3,Voigtlander Heliar Classic 50mm F1.5
サムネイルの別カットです。
この辺りは非常に水が綺麗で、これからの時期は蛍の鑑賞にも最適なスポットです。
明け方に訪れれば朝日の差し込む美しい渓流を見ることもできます。
最近ようやくヘリアーの滲み方が理解できるようになり、この光量と露出であれば間違いなくハイライトに美しい滲みが出ると踏んだ一枚。現像上がりのネガを見て年甲斐もなくガッツポーズをしました。
Kodak Tmax100,Leica M3,Voigtlander Heliar Classic 50mm F1.5
埼玉県出身で現在山の麓に住んでいるからか、海に対する憧れが非常に強いです。
海そのものと言うより、車窓から海が見えた時の一瞬が好きなのかもしれません。
父が運転してくれる車の後部座席でゲームに耽っていたのに、潮の匂いがしてきたら海が見えるのを今か今かと窓に張り付き待っていた事を思い出しました。
この一枚はそんな海が見えた時のドキドキを思い出させてくれた時の一枚。
美しいエメラルドグリーンを白と黒で描くという贅沢極まる行為です。
撮影に持ち出す度、シャッターを切る度、現像から上がったネガを見る度にほんの少しずつM3とヘリアーとの距離が縮まっていくように思います。