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【Leica】Q2のモノクロとQ2モノクロームのモノクロの”違い”

【Leica】Q2のモノクロとQ2モノクロームのモノクロの”違い”

2020年11月19日の発売以来、我々を虜にしているQ2モノクローム。

深みのある表現や各種トーニング機能など、白黒写真の神髄を極める性能には目を見張ります。

このカメラの性能が高いことは疑いようのない事実ですが、筆者はずっと気になっておりました。

「Q2のモノクロとQ2モノクロームのモノクロって、どう違うんだろう」と。

 

「モノクロ専用機は、RGBそれぞれのカラーフィルターが無いため解像力も3倍になる」という話を聞いたことも相まって、ますます好奇心をそそられます。

今日は真偽を確かめに、Q2とQ2モノクロームをたすき掛けにして街へ繰り出しました。(通行人からの注目度は抜群です!)

 

 

・・・

さて、まずは予備知識なしで2枚の写真を見てみます。それぞれQ2モノクロームとQ2で撮影したものです。

この2枚をご覧いただいた時点で、もし「上(下)の写真の方が良いな」という風に思われましたら…。

是非とも「なぜそちらが好きなのか」を考えながらこのブログをお読み頂けますと幸甚です。お客様が必要としているものがどちらの機種なのかが明確になるかもしれません。

どちらがどちらの機種なのかの答え合わせはブログの最後に!

 

 

 

・・・使用感について・・・

比較する前は両機とも全く一緒かと思っておりましたが、ファインダーの見え具合やディスプレイの差が見受けられました。

他にもAF性能で気づいたところを記載いたします。

 

①ファインダーの「見え」(Q2はモノクロモードで比較しております)

両機ともEVFの見やすさは特筆もので、とても快適に使えます。

しかしながら、「強い逆光など、明暗差が激しいシーン」で「絞り優先などの自動露出モード」かつ「ファインダーを覗こうとした際」、Q2モノクロームの方が明るさに対する反応がじんわりとしています。

EVFの自動露出は、実際の明るさをリアルタイムに計って反映させてくれます。

ファインダーを覗いたままカメラを振れば、当然画面の明るさがシームレスに変わっていく…のですが、その変わるスピードに違いがあるのです。

Q2はフワッと素早く適正露出へ。

Q2モノクロームはじわりじわりと適正露出へ。

これは憶測ですが、Q2モノクロームは「白と黒のコントラスト」により一層敏感になって撮影するために、このような制御なのかと思いました。

 

②ディスプレイについて

Q2で撮影されたモノクロ写真を背面ディスプレイで見ると、少しだけ黄色く見えます。

単体ではそう思わないのですが、同刻にQ2モノクロームと撮り比べているとそう感じます。

面白いのは、「実際に撮れた写真は全く黄色くない」こと。

背面ディスプレイの特性でしょうか。

 

③AF性能

両機とも静物に対するAF-S(シングルAF)性能には目を見張るものがあり、肉眼ではほぼ真っ暗でもちゃんと合焦します。

では逆に苦手なものは何なのか。

今回試した限り、暗所での点光源へのピント合わせは苦手な模様です。(夜のイルミネーション等)

スポットAFで東京タワーの展望室にフォーカシングを試みましたが、残念ながら何度やっても合焦しませんでした。

+マークがピント合わせをした場所です。

Q2

Q2モノクローム

逆に、下の様な「ほぼ真っ暗」な場所でも狙った所に合焦するのは素晴らしい。

このカットはQ2のものですが、Q2モノクロームも問題なくフォーカシングできました。

暗所には強いAFのようです。

 

 

 

・・・実写での違いについて・・・

さて、違いを明確にするためにいろいろと試してみましょう。

 

次のカットは両方とも露出を合わせ、

Q2はフィルムモードを「BWNatモノクロ」に設定。ホワイトバランスはQ2モノクロームのトーンと大体合うように都度変更しています。

(因みにモノクロとはいえ、ホワイトバランスはごく僅かに影響してきます。基本的に室内では色温度を上げるほど、コントラストが弱まる傾向にあります)

Q2モノクロームは全て「標準」に設定。

Q2 28mm f2.8 ss1/160 ISO800 WB:日陰

 

Q2モノクローム 28mm f2.8 ss1/160 ISO800

 

露出は完全に一緒になるよう、マニュアルで撮影しました。

しかしながら、Q2モノクロームの方がだいぶ「重く」出ています。

これが性能差なのか、シャッタースピードに起因するフリッカーのせいなのかはまだ解りません。

また、解像度に関しても大きな違いはないように見えます。

これだけでは解りませんので、次のカットではフリッカーの出ないシャッタースピードにして比較してみます。

 

 

 

まずはQ2から。

Q2 35mm f5.6 ss1/30 ISO800 WB:日陰

 

Q2モノクローム 35mm f5.6 ss1/25 ISO800

 

シャッタースピードを1/50以下に下げましたので、フリッカーの影響は除外されました。

そして両機種とも絞り優先オートの評価測光ですが、見かけの明るさを合わせるためにQ2は+0.3ステップの露出補正を掛けています。

5枚並んだ布のトーンや、マネキンの口先の空間等、やはりQ2モノクロームの方が力強さを感じさせることから、

「Q2モノクロームの方が力強いモノクロ写真なのは、フリッカーのせいではない」と言えます。

また、ホワイトバランスをAWBにしたカットを別で撮りましたが、写真にほぼ違いが見られなかったため、AWBでも日陰でも大きな違いは無さそうです。

つまり、「Q2モノクロームの写真は重くて力強い雰囲気」だといえます。

 

 

次は強い光の下での描写性能を見てみます。

Q2 28mm f4 ss1/60 ISO100 WB:日陰

Q2モノクローム 28mm f4 ss1/60 ISO100

 

このカットも絞り優先です。丁度両機種とも、同じ露出トライアングルを示しました。

シャドウ部はQ2の方が持ち上がっているため、Q2モノクロームの方が重い仕上がりです。

無機物を撮るのであればQ2モノクロームの方が「ソリッドに」写ります。

更に「Q2モノクロームの方が線がシャープ」です。

(ピント位置は同じ。もちろん搭載しているレンズも同じ。なのに「エスカレーター右の木の葉や屋外の屋根」等は一目瞭然な違いがあります。)

これは「先ほどのマネキンのように、近距離の曲線的な被写体では解像力に大きな違いが無い様に見えるが、遠距離の風景では違いが見つけやすいといえないでしょうか。

これを検証するため、まずは違いが少ないであろう近距離の曲線的な被写体を撮影しました。

 

Q2 28mm f2.2 ss1/25 ISO200 WB:AWB

Q2モノクローム 28mm 2.2 ss1/25 ISO200

このままでは解らないので、等倍にて比較してみます。

やはり近距離では違いが解りません…。

周辺部も大きな差はありません。

写りの感じが違うのは、カメラの構え方による微妙な被写界深度の違いのせいだと思われます。

 

 

次は遠距離の被写体を、75㎜クロップで実証してみます。

Q2 75mm f1.7 ss1/2000 ISO100 WB:AWB

Q2モノクローム 75mm f1.7 ss1/2000 ISO100 

東京タワーの鉄骨を見ていただくと、解像力に違いがあることが分かります。

「Q2モノクロームの方が大きく写っているので有利なのか」と思いましたが、仮にQ2モノクローム側をさらに大きく拡大してもその差は縮まることがありません。

これで、

・遠景の解像力は、「同じ設定」でもQ2モノクロームの方が高い

・近距離ではあまり違いがなさそう

という事がわかりました。

 

 

・・・

では次は、ハイコントラスト設定での描写の違いを見ていきます。

Q2はフィルムモードを「BWHcモノクロHc」に設定。

Q2モノクロームは「コントラストを高」

にして撮影。

Q2 28mm f3.2 ss1/80 ISO100 

Q2モノクローム 28mm f3.2 ss1/80 ISO100 

Q2モノクロームは非常にソリッドです。

特にビルの窓に反射した光が、眩しいほどに輝いています。

対してQ2は穏やかかつ上品に見えます。

 

比較用に、筆者の愛機Canon EOS 6D Mark Ⅱでのモノクロも撮りました。

国産機の白黒表現をご覧ください。

こちらはフラットなモノクロです。

 

 

 

比較もいよいよ大詰め。

「日陰のナローな光の下では、どちらが綺麗にグラデーションを出せるか」を見ていきます。

両機ともコントラスト設定を戻し、通常状態にしました。

トーンジャンプやバンディングノイズへの耐性も知りたいので、敢えて高感度にてアストンマーティンをパシャリ。

まずはQ2からです。

Q2 35mm f2.0 ss1/125 ISO3200

Q2モノクローム 35mm f2.0 ss1/100 ISO3200 

絞り優先にて撮影しましたが、両機の出してきた露出値は異なりました。

しかしながら見た目の明るさがほぼ一緒なので、このまま比較してみましょう。

ここで気が付いたのは、Q2モノクロームの方が

「ボケはじめの部分に乗るノイズが少ない」

「暗部ノイズも少ないので、全体的にグラデーションが整いシルキーに見える」

という事です。やはり高感度域での描写力には確かな違いがありました。

(Q2のノイズ感もモノクロフィルムの粒子のように整っているので、決して汚くはなりません)

これが超高感度域になると、さらに違いが見えてきます。

 

 

Q2 28mm f2.8 ss1/320 ISO25000

Q2モノクローム 28mm f2.8 ss1/250 ISO25000

絞り優先で撮影したので、露出値に違いが出てしまいました。

それを差し引いても、ノイズ量の違いは目に付きます。

特に左側のアウトフォーカス部は顕著であり、Q2はボケのディテールが崩れてしまいました。

 

 

 

これまでの比較を纏めますと

①近距離の曲線的な被写体では解像力の差は少ない(もしくはわからない)が、遠景ではQ2モノクロームの方が解像する。

②Q2モノクロームの方が「ずっしりと重みのあるモノクロ写真」に仕上がる。

③高感度ノイズはどちらも良く抑えられているが、超高感度域では明確にQ2モノクロームの方がノイズレス。

④Q2のホワイトバランスを変えれば、多少トーンを変えることが出来る。

となります。

 

 

・・・

今までの比較を踏まえたうえで、最後に個人的なおススメを書かせていただきます。

※個人の感想です。ご参考程度にお考え下さい。

 

・ライカ初心者(初めて)の方で、ライカのモノクロは綺麗なのでQ2モノクロームが気になっているが、カラー写真も興味がある方

A.Q2がおすすめです。もちろんライカの、ひいてはQ2モノクロームのモノクロ写真は大変綺麗ですが、同じくらい「ライカの色・ライカのカラー写真」も魅力的です。

なので、最初からモノクロだけ・カラーだけと絞らず、どちらも楽しまれた上で、やがてモノクロに完全にのめりこんだ時にQ2モノクロームをご検討いただければ…と思います。

 

・M型のモノクロ専用機か、Q2モノクロームで悩んでいる方

写真における究極の引き算である白黒表現に、「焦点距離の選択」すら取り払ったQ2モノクロームはただひたすらにシンプルに、光と陰を追い求められました。

数多のMマウントレンズで多彩な表現が楽しめるM型も素晴らしいのですが、個人的にはQ2モノクロームを推させていただきます。

 

・デジタルカメラ、フィルムカメラでモノクロを撮られている方で、クオリティアップを望んでQ2モノクロームを検討中の方

A.とてもおすすめです。もともとQシリーズのレンズ性能が非常に高いため、リアリティのある画が得られます。

「映像エンジンで加工し、雰囲気をドラマティックにした」モノクロ写真とは一線を画す、センサー・レンズ等素材の質で勝負できるカメラだと思いました。

 

・・・

 

いかがでしたでしょうか。

それぞれの特性を探る撮影は、大変やりがいのあるものでした。

次回はM型も含め、比較できたらと思います。

 

忘れてしまうところでした…。

最初の写真の答えは、上がQ2で下がQ2モノクロームです!

[ Category:Leica | 掲載日時:20年12月26日 19時00分 ]

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