【Leica】The World of Monochrome Ep. II

私「ちょっと、写真撮りにいってくる……」
妻「えっ、出掛けるんですか? こんな時に…」
妻が驚くのも無理はない、まさに「こんな時」です。
いつもは、休日ゴロゴロ ダラダラしている私に不満だらけの妻ですが、このご時世、「外出は控えるように」というTVのアドバイスを率先的に守っています。
ならば私も、遠慮なくゴロゴロ ダラダラ… と思ったのですが、今私の手元には「Leica M10 Monochrom」が… ゴロゴロなんてしていられません。
妻「あまり人の多いところは控えてくださいね。」
私「うん、わかった…」 妻のことばがはるか上の方を通り過ぎていきます。
(だって、モノクロだよ。 やっぱ、ストリートフォトじゃん!) ……思い込みで動くタイプです。
向かった先は有楽町から銀座にかけて。 平日でしたし、昨今の事情により、人出は少なめでした。
それにプラスして、休日の新橋 汐留方面という、こちらも人の少ない場所で撮影した写真と、お店のある新宿や、地元の写真もチラホラ。
だって、モノクロなんだもん?!
今回お伴のレンズは、
Leica エルマリート M28mm F2.8 3rd (E49)
Leica ズミクロン M35mm F2 (8枚玉 眼鏡付)
Voigtlander ノクトン 75mm F1.5 Vintage Line Aspherical VM
の3本。 「ちょっと」ではないです…
普段50mmを標準レンズとし、他に広角レンズも連れていきながら、結局は一度も広角の出番なし… なんてことも多いのですが、今回はあえてその50mmを外すチョイスにしました。
まず標準装備として、ズミクロン 35mmの8枚玉 眼鏡付を。

ズミクロン M35mm F2の初代モデル。 レンズ構成が6群8枚なので、通称「8枚玉」と称される銘玉です。
ファインダー倍率が高く35mmのフレーム枠がないM3用に、50mmの視野がファインダー前についた「眼鏡」によって拡大され、35mm相当の視野が確認できるという仕組み。
今回のM10 Monochromeは勿論35mm枠もありますから、眼鏡なしモデルを使用するのが妥当なのですが、そこはそれ、眼鏡付の方が中古相場が格段にお安くお求め易くなっていますし、何よりもレンズを装着したときのこのフォルム!
ファインダーの見づらさなんて関係ない! だって格好いいんだもん!!

F5.6 SS1/250 ISO160 蒲田
最寄駅にて。 車体の金属感を出したくて露出を少し落としましたが、暗部も表現されています。
普段使わない路線なのですが、光の具合が良かったので入場料を払って入りました。 ……鉄っちゃんではありません。

F4 SS1/3200 ISO160 汐留
ビルの上方がはるか彼方にあるように見えます。 絵で描いたみたい…
学生時代、写真部の暗室にこもり徹夜で白黒現像に明け暮れた身としては、「覆い焼き」を駆使せず簡単にこれだけの”色”が出せることに溜息が漏れてしまいます。
単位を犠牲にしてまで没頭した、私の学生時代はなんだったのでしょう…

F2.8 SS1/250 ISO160 新宿
ガラス越しですが、襟元の毛羽立ちまで写っています。

F4 SS1/60 ISO500 銀座

F5.6 SS1/4000 ISO160 銀座
カラーなら何でもない写真… …まぁ、モノクロでも何でもないですが…

続いて、エルマリート M28mm F2.8 3rd (E49)
エルマリート 28mmの中では、第1・2世代の写りとフォルム、非球面を採用する前の第4世代の驚異的な描写に対する人気に押され気味で、ちょっと隠れた存在。
それだけに価格も他よりお手頃なものになっています。

F4 SS1/1000 ISO160 銀座
横断歩道の脇から何気なく撮ったのですが、人物の浮き上がり方に驚き。 さすがエルマリート!

F4 SS1/100 ISO160 有楽町

F4 SS1/250 ISO160 有楽町

F5.6 SS1/60 ISO2000 有楽町
カラーだとうるさく感じるガラスの写り込みも、モノクロだと味になる気がします。
瞬間を切り取るストリートフォトグラファーのように気配を消してるつもりですが、周りからジロジロ見られながらの撮影。

F4 SS1/60 ISO1250 有楽町
しょうがないので、見えない所に隠れました。 …えぇ、怪しい人です。

最後は、現行レンズのフォクトレンダー ノクトン 75mm F1.5 ヴィンテージ ライン アスフェリカル VM
サイズはコンパクトながら、開放値F1.5という大口径の中望遠レンズ。 価格もお手頃で人気のレンズです。

F1.5 SS1/250 ISO160 銀座
このレンズはデモ機を借りての撮影だったのですが、今回の撮影ですっかり気に入ってしまいました。
立体感といい、ボケの柔らかさといい申し分なしです。
75mmという画角も街中を切り取るのに最適で、35mmとの組み合わせも良好でした。

F4 SS1/500 ISO160 銀座
ガラス越しにマネキンがあるのですが、ピント合焦面が浮き上がって見え、手前のガラスを感じさせません。

F4 SS1/1000 ISO160 銀座

F1.5 SS1/500 ISO160 銀座
遠近感もよく表現され、前ボケも見苦しくありません。

F4 SS1/250 ISO160 銀座
75mmの写真は、すべて銀座の同じ道沿いで撮影したもの。 なんか夢中になってしまいました。
それというのも、M10 Monochromとレンズの相性が良かったから。ストレスなく撮影でき、モニターで確認するたびに「おお…」と感動していました。
そんなこんなで、銀座での撮影は3時間以上… 「ちょっと」ではなくなってしまいました…
(機嫌悪いだろうなぁ…)
途端にカメラが重く感じられてきました。 帰り時です。
帰りには、やっぱりケーキです…
