
Leica SL3やQ3に搭載された最先端のイメージプロセッサー「Maestro IV」では、画像処理の高速化や低ノイズに寄与し、Leica独自の色再現性を実現しています。
そして、Maestro IVでは新たな機能として撮影者の好みに応じて変更可能なカラープリセット「Leica Essential Looks」が使用できるようになりました。
この連載では、カメラにプリインストールされている「Leica Core Looks」と新たにインストール可能な「Leica Essential Looks」、
それぞれ独自のカラールックを持つLeica Looksに焦点を当てその魅力に迫っていきます。どうぞお楽しみください!
・・・
Leica Q3(Leica Classic,28mm,f2.8,1/50秒,-0.3補正,ISO160)
今回選んだLeica Looksは、”Essential Looks”から「Leica Classic – CLS」です。
メーカーの説明には「ハイコントラストで柔らかな彩度と温かみのあるやや色褪せたトーン」が特色とあります。 「クラッシックな映画フィルムを彷彿させる」とも。
はたしてどのようなルックなのか、見ていきましょう。
Leica Q3(Leica Standard,28mm,f8,1/50秒,ISO400)
Leica Q3(Leica Classic,28mm,f8,1/50秒,ISO400)
まずはQ3にプリインストールされている”Core Looks”の中でも最も標準的な「Leica Standard」との比較です。
曇天の日の撮影ですが、パッと見てわかるように同じ露出でありながら「Leica Classic」の方が全体的にかなり明るめに写っています。
空や水面、ビルの壁面のグレーが大分明るくなっていることが分かります。コントラストを上げることで明暗の「明」の方に偏ったようです。
また、「Leica Standard」ではグラデーション豊かに表現されている並木の緑も、「Leica Classic」では明暗に二極化されています。
ともすると曇天の空気感の中に紛れてしまいそうだったものが、「Leica Classic」を選択することによって際立って印象的に表現されることになりました。
Leica Q3(Leica Classic,28mm,f8,1/25秒,-1補正,ISO1600)
1時間ほど時間を置いてから撮ったものです。
並木は全体的に暗く、先ほどまで水面の明るさに隠れていた水草が、水面が暗く沈むことで明るく写し出されています。
同じルックながら、全く印象の異なる写真となりました。
Leica Q3(Leica Classic,28mm,f5.6,1/50秒,-0.3補正,ISO125)
変わって晴天の日の撮影です。時刻は夕刻ですが、まだまだ強い日差しが差し込んでいました。
やはり実際よりかなり明るく写っています。まるで新緑が朝日に照らされているような爽やかな印象に。
Leica Q3(Leica Classic,28mm,f5.6,1/50秒,-0.6補正,ISO125)
爽やかさから一転、線路のガード下にて。ハイコントラストにより硬質に。そして鮮やかさを落とした色褪せた色味は、街中のなんでもない風景をドラマチックに演出してくれます。
Leica Q3(Leica Classic,35mm,f3.5,1/50秒,ISO1600)
「Leica Standard」で撮影する時より全体的に明るく写ります。しかし派手さはなく、落ち着いたトーンになります。
陽が落ち、通りの店の明かりが目立つようになってきました。
Leica Q3(Leica Classic,35mm,f4,1/30秒,-0.6補正,ISO1600)
やはりカメラ任せの露出ではかなり明るく写ります。マイナス補正をかけて。
Leica Q3(Leica Classic,50mm,f5,1/25秒,-0.6補正,ISO1600)
Leica Q3(Leica Classic,35mm,f5,1/25秒,-0.6補正,ISO1600)
全体的に落ち着いた彩度になる中にあって、光沢のある赤や青は逆に鮮やかさが強調される傾向があります。
晴天の中と陽が落ちてからの写真を紹介しましたが、最後は再び曇天時の写真を。
Leica Q3(Leica Classic,35mm,f5.6,1/320秒,-0.3補正,ISO100)
Leica Q3(Leica Classic,50mm,f5.6,1/200秒,-0.6補正,ISO100)
メーカーの説明にあった「温かみのあるやや色褪せたトーン」に当たるかと。
Leica Q3(Leica Classic,90mm,f5.6,1/160秒,-0.3補正,ISO400)
Leica Q3(Leica Classic,35mm,f8,1/60秒,-0.3補正,ISO200)
Leica Q3(Leica Classic,35mm,f5.6,1/60秒,ISO400)
曇天時だとコントラストが高くとも決して硬質にならず、柔らかなモノトーンの背景に緑・黄・赤の色味が映えます。
それぞれのシーンで特色ある写りを示してくれましたが、個人的には曇天時のトーンに「Classic」の味わいを強く感じました。
普通は撮影時、被写体に合わせてルックを選択すると思いますが、ルックをあらかじめ決めて、その表現に合いそうな被写体を探すというもの面白い撮影法かと。是非一度お試しを。