
【Nikon】A Piece of PREMIUM COLLECTION -Nikon W-NIKKOR (L) 35mm F1.8-
MapCameraで取り扱う中古品の中で、流通数や生産数が少ない希少品や限定モデルなどに与えられる名称、「PREMIUM COLLECTION」。
本シリーズでは、A Piece of PREMIUM COLLECTIONと称し、そんな製品たちを一つずつ紹介いたします。
第十七弾となる今回は、「Nikon W-NIKKOR (L) 35mm F1.8」をご紹介いたします。
根強い人気のあるレンズ。今回はそんな魅力の一端に迫ります。

1956年、現代のようなコンピュータ設計など影も形もない時代。
ライツ(現ライカ)をはじめとする世界の強豪が、広角レンズの明るさをF2.5〜F3.5に留めていた頃に、「そろばん」と「対数表」を駆使しながら設計し、突如として日本から「世界で最も明るい広角レンズ」が誕生しました。
それが、開放F1.8を誇るNikon W-NIKKOR 35mmです。
ニコンの歴史は古く1917年に原点とも呼べる日本光学工業が東京市小石川区で設立しました。
そして今となっては、定着しているNIKKOR (ニッコール)と言う呼び名も写真レンズの名称として1932年に決定されるなど現在に至るまで109年の歴史があります。

Nikon W-NIKKOR (L) 35mm F1.8に話を戻すと、このレンズの生みの親は当時の光学設計部の上級マネージャー、東秀夫氏。
「ニッコール千夜一夜物語」でも語られる名設計者・脇元善司氏の師にあたる人物です。
ドイツの巨匠ルートヴィッヒ・ベルテレ氏が世界を席巻する中、東氏は独自の理論で収差バランスの基礎を築き上げ、その革新的な設計は1959年に米国特許を取得し、日本の実力を世界に知らしめる程でした。

クセノター型を超えた革新の「5群7枚」
基本的には「クセノター型」に近いレンズ構成のNikon W-NIKKOR 35mmですが、よく見るとその特異性が際立つ構成。
特徴の1つとして、レンズ後部に2枚のレンズを貼り合わせた「ダブレット」を後部配置したことで大口径レンズの宿命である球面収差やコマ収差、周辺の色にじみを劇的に改善しました。
また、当時最新のランタン(La)系高屈折率ガラスを採用。
像の平坦性を高め、コンパクトながらもシャープな描写を実現しています。
この「周辺まで平坦に、かつシャープに」というコンセプトは、50年以上の時を経た現代のレンズデザインにも通ずるものを持っており、当時のニコンの技術力がいかに未来を見据えていたかが分かります。

現代に語り継がれる描写
F1.8開放では、被写体が浮き立つような繊細なシャープネスと、ヴィンテージレンズらしい柔らかなボケ味が見られ、絞るにつれてコントラストと解像力が研ぎ澄まされますが、決して「硬すぎる」ことはなく豊かな階調を保ちつつ、空気感まで写し出す描写が特徴。
特に白黒写真での描写は圧巻で影の中にある繊細なトーンを逃さず、光の粒を感じさせるような質感描写は、多くの写真家が「最高の35mm」と称賛する理由にもなっています。

「Sマウント」として登場した本レンズですが、わずか1,560本のみ製造されたライカLマウント(L39)モデルは、今やコレクターズアイテムとしても非常に希少な存在です。
ニコンS2からSP、S3へと続く黄金時代を支え、ライカM3ユーザーをも虜にした「W-Nikkor 3.5cm F1.8」。
価格こそ高騰していますが、その歴史的背景と唯一無二の描写に触れれば、多くの写真家が「最高の35mm」と称賛する理由がきっとお分かりいただけるはずです。
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