
マルチパーパスカメラというジャンルをご存知でしょうか。
日本語に訳すと「多目的/万能」なカメラと言えます。
昨今のミラーレスカメラに求められる性能は写真だけとは限りません。一昔前と比べると動画性能の高さも重要視されるようになりました。基本スペックの性能が問われるのは言わずもがなではありますが、目的別に使い易いスタイルのカメラが選ばれる時代でもあります。
ジンバルやドローンに搭載するカメラは必然的に小型なものが選ばれ、マルチカメラとして使われる場合は複数台を一か所で制御できることが求められたり、映画やPVなどの撮影時にはモニターをはじめとするオプション類の拡張性の高さが問われます。
一口に動画撮影といっても様々なパターンが存在し、それに対して数多のセットアップが考えられます。そういった場合、既存の写真機としてのカメラの形は汎用性が高いかと問われるとそうとは言えません。
そこで考えられたのが「ボックススタイル」という形です。
ファインダーやモニターなどを搭載せず、センサー部のコアを中心とし、ボタン類やアクセサリー取り付けネジなどを本体に多数施した四角い箱といったスタイルです。ほぼ正方形に近いボディデザインは前後左右のバランスが均等になっているので、ジンバルやドローンへ搭載する際に、バランスがとりやすいという利点があります。また、狭い場所にも入りやすい為、設置場所のスペースにとらわれないカメラアングルが狙えます。
モニターが付いていないことは不便と感じられるかもしれませんが、逆にとらえると、自分の必要とするモニターサイズや解像度などを自分で好きに決められたり、不要な時は取り外せるといった「自由度の高さ」がモニターが付いていない不便さを上回る場合があります。
カメラに元から備わっている機能に左右されず、自分の好きな使い方に対して、必要なオプションを取り付けるスタイルはこれからの多種多様な動画撮影が必要となる時代に即した新たなカメラのスタイルと言えます。
フォトスタイル:シネライクV2 1920×1080 23.98P 4:2:2/10bit/ALL-Intra
今回のセットアップはシンプルにボディ+レンズと5インチモニターという最低限のセットです。
Youtubeに料理系の動画をアップロードする、といった想定で撮影をしました。
使用レンズはPanasonic LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8 ASPH. MEGA O.I.S.。
35mm判換算90mmの中望遠レンズです。撮影倍率も換算2倍と大きく、そして寄れるのが特徴です。
コントラストや解像度は撮影距離によらず、全域で安定しているので、少し引きの画から、大胆な寄りと多種多様なアングルを安定して狙うことができます。
中望遠なので必然的に被写体とは距離をとることになるので、変な歪みなどは生じず、対象をすっきりと見た目と同じように描写してくれます。
室内ですが窓際で自然光を活かした撮影をしました。
当日の天候は雨なので、柔らかい拡散光がほどよく影をディフューズしてくれました。全体としては柔らかいルックになりますが、コントラストが弱まってしまう場合もあります。今回フォトスタイルで設定した【シネライクV2】はいわゆるLog撮影と呼ばれる編集での後処理を必須とした撮影をより簡易化したモードになります。
シネライクD2とシネライクV2と2種類のモードから選択することになりますが、シネライクD2がダイナミックレンジ優先。シネライクV2がコントラスト重視と特徴が異なっています。
今回は撮影時の光線環境的にコントラストが出しづらいと判断し、シネライクV2で撮影をしました。
ルックは狙い通りとなり、コントラストがありつつも、柔らかい印象のルックを簡単に作り上げることができました。
V-Log撮影で後処理によりダイナミックレンジも稼ぎつつ、このようなルックを作ることは可能ではありますが、シネライクV2を使用することにより、簡単に思い通りのルックを作ることができます。
料理系の動画を撮影する場合、素材の質感表現が重要になってきます。
画面からにおいや味が伝わるわけではありません。ですが、その素材が持つ質感表現が優秀であれば、かたい・やわらかい・香ばしい・甘いなどを映像として表現できると思います。
質感表現で重要視されるのがレンズの解像力、いわゆるシャープネスです。
MACRO-ELMARIT 45mm F2.8は長さ約62.5mmと非常にコンパクトに設計されています。開放F値は2.8と少し緩やかですが、解像力とボケのバラスが良く、質感表現も非常に得意です。上記の写真は動画からの切り出しですが、コーヒー豆の表面の質感を非常によく捉えています。
三脚に据えても前後バランスがとりやすい組み合わせです。出力ケーブル系が軒並みボディの後方に配置されています。
これは使い易さを考えるとかなり重要な配置です。どういうことかと申しますと、通常ミラーレス一眼タイプで動画撮影をする際、HDMIなどの出力端子はボディ側面に配置されることがほとんどです。理由としては背面には液晶画面があるのと、ボディデザインとして側面部しか空きがないことがあげられます。
そうなるとボディの横からケーブルが大きくはみ出す形になるので非常に邪魔です。
ボディ後方からケーブルが伸びていると左右にはみ出して邪魔にはならないのでオペレーションが非常にやりやすくなります。
細かい点かもしれませんが、動画撮影時の使い易さを一番に考えた設計がなされている点がさすがPanasonicだと思います。
コーヒー粉の細かい粒子や、注がれたお湯の細かい気泡までよく描写されています。
今回の収録はデータ容量を軽くしたり、編集時のPCへの負荷を軽減させるためFHDでの収録としました。4K解像度で収録するとさらに細かい描写に期待ができますが、データ容量が重くなるリスクがあります。収録時のデータについては最終的にどのような形で公開されるかを踏まえ、最適な方法を事前に考慮すべきかと思います。
例えばYoutubeなどのメディアにアップロードする場合には大きな撮影データでの書き出しでも圧縮される場合があります。そのような際には無理に大きいデータで収録するメリットよりも、軽いデータで収録するメリットの方が上回ります。対して最終形が劇場での公開などを想定する場合には4Kなどの大きいデータで収録する必要が生じます。BGH1には多種多様な収録形式を選択することができます。マルチパーパスカメラとしての性能の高さが伺えます。
今回の撮影では基本マニュアルフォーカスでの収録としています。
料理系の動画を撮影する際、基本的に被写体側に大きな動きは伴わないことが多いと思います。ですが、調理の仕方やアングルによっては被写体とカメラの間に手などが入り込む場合があります。その際にオートフォーカスで撮影をしていると手前側にフォーカスが大きく動き、見せたい被写体側がボケてしまったり、フォーカスが戻るのが遅かったりとデメリットとなります。
また基本的にAFの場合は適時測距を繰り返すので、レンズやボディの性能によっては微妙に前後にフォーカスが動きつづける動作が目に付く時もあります。上記のカットにおいてもマニュアルで撮影者がフォーカスをおきたい点を選択し撮影しました。このカットの狙いはコーヒーを注がれたサーバー内の蒸気を見せたいという狙いです。オートフォーカスの場合、落ちてゆくコーヒーの雫などに合わされてしまう時もあります。撮影者の狙いを反映させるという意味からも、動画撮影中のマニュアルフォーカスはおすすめです。
様々なシチュエーションに対応できるマルチパーパスカメラLUMIX DC-BGH1。
今回は料理系動画の撮影というシチュエーションを想定した作例となりました。
総評として、小型でスペースを取らないボディはアングルの制約がないので、広いスペースでの撮影はもちろんのこと、キッチン内の狭い場所に置いて撮影することも可能となります。モニターの付け外しもできるので、狭い場所にカメラを配置してもケーブルを配線し、撮影者は広い場所でモニタリングすることができます。
料理動画の撮影は調理の過程を順を追って撮影するため、テンポよく撮影できることが求められます。かといってずっと同じアングルからの動画だと単調となるのですぐに飽きてしまいます。BGH1であれば、小型軽量を活かして、様々なアングルからの撮影にも時間をとられることなくテンポよくできます。
今後もマルチパーパスカメラであるBGH1を様々なシチュエーションを想定して作例をアップしていく予定です、ご期待ください。
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