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【PENTAX】数多のプロを虜にした、フルサイズすら圧倒する超高画質なカメラ。

【PENTAX】数多のプロを虜にした、フルサイズすら圧倒する超高画質なカメラ。

フィルム時代から続く“645”の名を引き継ぎ、フルサイズよりも大きい44mm×33mmのセンサーを採用した巨大一眼レフ、645Z。

光学ファインダーの雄であるPENTAXが生産し、アマチュアだけでなくプロの風景写真家をも虜にし続けてきたこのカメラは、昨年惜しまれつつ生産完了となりました。
本記事では、その素晴らしさを振り返りたいと思います。

 

「APS-C機(Kシリーズ)と同じ操作系を積んだ、100万円を切る価格で買える中判デジタル」
2014年の発売当時、ライバルとなるカメラは「デジタルバックとカメラボディが別々」の、完全プロ用機ばかりでした。
価格も200万円を越えており、とても一般ユーザーが買えるものではありません。
AFは中央一点のみ、連写速度も秒間1コマ程度、操作レスポンスもゆったり。
記録メディアは高価なCFカードで、その上センサーがむき出しのデジタルバックは取り扱いに気を遣うものでした。
写真家にとって、フィールドで取り回すには不向きだったのです。

そんな中登場した645Zのスペックは驚愕でした。
価格は80万円程度、AFは27点測距(中央25点はクロスタイプ)、連写は秒間3コマ!
これだけでも凄いのに、更に超音波式のダストリームバル搭載で汚れに強く、SDカードはデュアルスロットでリスク対策は万全、レンズによっては光学手ブレ補正機構内蔵と至れり尽くせり。
極めつけはチルトタイプの可動液晶で、ローアングルで草花を撮影する時などに大活躍です。

これだけのスペックを誇った645Zに、数少ない純正のデジタル用設計レンズ「HD PENTAX-DA645 28-45mmF4.5ED AW SR」をマウントし撮影に出てみました。
本機は中判センサーを搭載しているので、レンズの画角は35mmフルサイズ換算で22-35.5mmの超広角。
更にセンサーのアスペクト比は、フルサイズでなじみ深い3:2ではなく、4:3となります。
普段使用しているカメラと違い、画面が縦に長い感覚は新鮮でした。

・・・

某日。

1月と言うには、少しばかり暖かい日でした。
寒椿の花弁は柔らかな日光をため込み、少しばかり無機質なコンクリート造りの街を照らしています。

時計を見れば午前10時。家を出てもうだいぶ歩いたでしょうか。
それでも足取りが鈍らないのは、バッグの中に収めたカメラへの期待のせい。
「十字街を5回抜けて、あの角を右に曲がれば目的地。」
逸る気持ちを落ち着けながら、早起きしなかったことをちょっとだけ後悔します。

 

何年か振りのその場所は、どうやら今までで一番のお天気模様。
南中を前にした太陽が、精一杯の角度で小路や建物を照らしていました。
これなら日陰でもISOを上げずに済みそうです。
645Zの高感度性能は決して低くありませんが、それでも低感度で撮りたい。
このカメラが出せる最高の画が見たいから。

 

通りを少し練り歩いた後、お待ちかねの場所へ辿り着くと。
期待した通りの光線が、洋館の中で待っていました。
カスタムイメージをリバーサルフィルムにし、ケプラーテレスコープ式トラピゾイドプリズムファインダー越しに狙いを定め、手振れを誘発しないよう静かにシャッターを切ります。
背面ディスプレイに写し出された写真を見て、思わずにっこり。
予定を違えて午後に食い込んだお出掛けも、綺麗な光に出会えるなら悪くありません。

 

写真にむかって耳をすませば、暮らした人の声が聞こえる。
余さず描いた光を見れば、窓から吹いた風を感じる。
このカメラで撮った写真には、季節が宿るのかもしれません。
これが見たくて、これに出会いたくて645なんだ。
特別な形のボディも、大きなレンズも、全ては“生きている写真”の為に。

 


645Zの登場から10年が経ち、35mmフルサイズも十二分に高画質になりました。
それこそノイズ耐性や解像力なら、中判と言えどもはや追い越されているでしょう。

でもフルサイズじゃ、こんなに自由に光が踊らない。
jpegの255しかない階調に閉じ込めてなお、その檻から溢れた光さえ写したような感覚…。
自分で撮った写真に見惚れたなんて、初めてでした。
願わくば、その理由が画質以外だと胸を張れるのですが。

 

順路にそって屋外へ出ると、強い逆光線。
薄暗い空間に慣れた眼にはいささか眩しく、目を細めます。
反射的にカメラを構えましたが、それと同時に「この日差しも写真にしたら、何てことないのだろう」という諦めも感じました。
しかし手の中の怪物はその光全てを平らげ、燦爛たる日差しをありのまま表現したのです。
先程の写真然り、自分はこの日初めて「ちゃんと世界を写した」のだと思いました。
CGではない、ありのままの光を持ち帰って。

 


今回の記事に使った写真はどれも、撮った時の事を鮮明に覚えています。
それは1枚1枚に集中し、大切にシャッターを切る事がもたらした、最高のプレゼントでした。
こんなに記憶の彩度が高いのは、本気になったから。
少しの構図ずれが気になって、狭い階段で5回も撮りなおした事、まるで昨日の事のように。

 

このカメラと共に世界中を旅出来たら、どんなに素敵だろう。
北欧の夜に輝くオーロラや、ゴンドラで巡るヴェネツィアの旅。
そうして靴底を擦り減らし、沢山の光に出会い、いつしかそれが思い出という手荷物になる。
そんなことを考えながら、この日は帰路についたのでした。

・・・

写真を愛するすべての人へ、新しい選択肢を与えてくれたPENTAX 645Z。
他のどのカメラでも出会えなかった、究極の描写を追い求めた理想形…。
そう、これも夢の記憶の1ページ。
貴方の手で、続きを描いてみませんか。

孤高の頂で、待っています。

 

PENTAXが送り出した最後の、最高の645。


 

 


 


 

[ Category:PENTAX & RICOH | 掲載日時:24年03月15日 18時00分 ]

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