
この日は調布市にある神代植物公園を訪れました。
最寄駅からはバスで15分ほど。ストラップを調整しながらバスに揺られます。
筆者は普段電車での移動がほとんどなので、どこに行くにも駅から近い場所を選ぶようになっていましたが、たまにはバスに乗るのも悪くありません。
今回持ち出したのはSIGMA Art 70mm F2.8 DG MACRO。
SONY α7lllとの組み合わせです。
圧倒的な解像感とヌケ感から”カミソリマクロ”の異名で名高いこのレンズ。
マクロレンズの使用経験があまりなかったので、より到着が楽しみになります。
初めに足を踏み入れたダリア園でさっそくマクロレンズらしい1枚を。
さすが画質最優先のArtラインという描写力。背景のとろける様なボケ感から玉ボケまで美しく、ドラマチックに表現してくれました。
マクロレンズの魅力の一つは、通常であれば脇役になる被写体も主人公にしてくれるところではないでしょうか。
そんな思いからここで敢えて満開の花ではなく、まだ花開く前の段階のものをご覧いただきます。
蟻はこんなにも勇ましかったようです。
触覚も脚もピンと張り、陽を浴び背中で何かを語るような貫禄を感じました。
秋桜の名前の通り、秋のうちにどこかで見たいと思っていたコスモス。
陽に照らされて透ける花びらが美しくお気に入りの1枚です。
日中での撮影ならまた違った顔を見せてくれるのかもしれません。
バラ園に移動し、眼と指ばかりではなく鼻も動かしてみます。
「良い匂いだね」と楽しそうに談笑している人たちがいて、筆者もなんだか一緒に嬉しくなりました。
そんな和やかな雰囲気を破るような毒々しい色味の薔薇。
いくつもの花たちが咲き誇っている中で、ある一つの花だけに狙いをさだめました。中望遠70mmという画角ならではの構図になったと思います。
薔薇の花言葉というのは本数や色だけに限らず、状態や組み合わせにも様々なものがあるそうです。
この薔薇の花言葉は…、もしよければ調べてみてください。
花が咲いている上の方ばかりに注目して見ていたので、少し屈んでみます。
普段だったら気にも留めないような部分にも、視野を広げてくれるのがカメラの良いところです。
根と根の間を覗くと、まるで小さなトンネルのように見えてワクワクしました。
落ちている枯れ葉や花びら、小さな雑草、土、根まで一見ごちゃごちゃしているように感じますが、ピント面の解像感の良さからひとつひとつが際立って見えます。
ひとえに棘と言っても、種類によって様々な形があることをこの日知りました。
特にこの羽衣という種類の棘の主張は、作り物かと錯覚するくらいです。
バラが棘を持つのは、動物などの外敵から身を守るためやバラが倒れないように、という理由らしいですが、この棘なら確実にその役割を果たしてくれるでしょう。
園内に建っていた像を撮ってみました。
陽が落ち始め、なおかつ逆光というシチュエーションの中ではありましたが、潰れることなくシャープな表現を顕著に表してくれた1枚だと思います。
小さなものを大きく映すことでそのものの質感を教えてくれるマクロレンズの役割を、スナップ撮影としての用途でも遺憾なく発揮してくれます。
いかがだったでしょうか。
マクロ撮影としての役割はもちろん、スナップ撮影としても万能な1本であることが伝われば幸いです。
皆さんもぜひカミソリレンズの切れ味を体感してみてください。