これはSONY α7RⅢを軽量性だとかAFだとかを無視して古いレンズの母艦機として運用している筆者の日記です。
母艦機とは本来燃料や航空機などを輸送する船のことを指す言葉ですが、カメラボディに対してこの言葉を使う場合は「レンズを使うためのボディ」という少々ややこしい意味を持ちます。
フランジバックの問題でレフ機ではアダプターがなく楽しめなかったあのレンズもこのレンズも、ミラーレスならすべて楽しめるというわけです。
大昔の聞いたことがないレンズから一度は耳にしたことがあるレンズまで、α7RⅢに付けて楽しんでいきたいと思います。
今回使用したのはMS-OpticsのSonnetar 50mm F1.3です。
MS-Opticsというメーカーを初めて聞く方も多いのではないでしょうか。
かつては宮﨑光学と呼ばれ、宮崎貞安氏がライカ系のレンズの改造を主として行っていました。
ゾナータイプを得意とし、非常に赴き深く味わいのあるレンズを生産しています。
過去にMS-Mode 50mm F1.3を開発し、Sonnetar 50mm F1.1として大径化させました。
そして今回、Sonnetar 50mm F1.3として絞り羽根の追加や軽量化を行い再度同スペックのレンズとして製品化したようです。
今回はそんなMS-Optics Sonnetar 50mm F1.3とお届けします。
まずは開放で一枚。
中央部の解像力と、周辺に行くにつれ強い滲みを伴ったボケ感が独特です。
ほぼ同一線上にあるものでも、球面収差で周辺部は像が崩れそうになっています。
1段絞って滲みとバランスをとります。
F2~4ではシャープさが向上、F4~5.6で最高レベルに達する、と説明にありますがまさにその通りです。
F2~4の間では滲みと収差の量を調整し、F4~5.6では解像力をめきめきと上げていく印象があります。
コーティングが良いのか色の出方が良く、筆者の好みです。
周辺減光は開放時から少ない反面、絞っていっても改善はしない印象です。
F8まで絞って遠景を。
非常にキッパリとした描写です。
開放とF2まで絞った時の比較です。
ゾナー型らしく背景のボケが少し騒がしいです。
色味の違いはAWBによるものです。
F値が小さい明るいレンズを使うたびに「ピントは面だ」ということを自分自身に言い聞かせます。
明るい単焦点を使うとピントを合わせたい物にしか注視せず、ただ周りがボケただけの写真ができることがあまりにも多かったからです。
ピントを面で捉えることで、自分の立ち位置は本当にここでいいのか、ここにもピントを合わせられるのではないか、そう自問自答します。
この一枚は窓ガラスとタイルにピントをあわせ、本来ピントを合わせたかった灯りから敢えてピントを少し外すことで滲みだけでなくぼやけ感を出しています。
こういった楽しみ方ができるのも、収差が出やすい本レンズの魅力のひとつです。
今回はライカレンズの改造者としてスタートし、ゾナー型に対する熱意から自らレンズを開発してしまった宮崎氏のブランド MS-Optics Sonnetar 50mm F1.3をご紹介しました。
レンズの製作は全て手作り、レンズ一本一本に特徴などを手作業で記した通称”カルテ”が付属。
こだわりの深さが非常に好印象なメーカーのしっとりとした味わい深い一本です。
見かけた際は是非お手に取ってみてください。
↓宮崎氏製作レンズカタログ「宮崎レンズの世界 Part2」もオススメです↓