8月末をもって、千葉県の総武本線・房総各線から113系の定期運用が終了しました。

2010年7月　下総中山駅にて撮影

1963年に登場した113系は東海道線など近郊区間を走る列車として各地に大量投入されましたが、近年の新型
車両の投入に伴い次第に数を減らしていき、JR東日本管内では千葉県が最後の活躍の場となっていました。

この鉄道倶楽部でも何度も登場している113系ですが、最後と聞くとやはりもう一度見ておきたいと思ってしま
います。ちょうど同じタイミングで、千葉県内のJRと一部私鉄が乗り放題になるお得な切符も販売していた事も
あり、夏休み最後の日曜日に県内乗り潰しを実行しました。

最初から113系を探しに向かってもよかったのですが、購入した切符「パワフル×スマイルちば　フリーパス」は
銚子電鉄や小湊鉄道、いすみ鉄道も乗り放題。せっかくなのでまずは外房線の大原から上総中野までを結ぶ「い
すみ鉄道」へ向かいました。

菜の花カラーの列車に乗り単線を進むと、交換の途中駅で懐かしいカラーの車両とすれ違いました。

上総東駅にて

国鉄色とも呼ばれる朱色とクリーム色のツートンカラーに塗られた車両はキハ52形。
2010年3月にJR大糸線を引退した後、いすみ鉄道が譲り受け今年の4月より観光用急行列車として営業運転を
開始した新型車両です。
新型と言っても元は1965年製。いすみ鉄道に在籍する車両の中では、一番古く製造された車両となります。

西大原～上総東にて

城見ヶ丘～大多喜にて
引退を迎える車両の撮影に出掛けた先で、古い車両が新たな場所で活躍している姿を見ると少し嬉しくなります。

一方の一般車両にはムーミンのイラストが描かれている事に気がつかれましたか？

車内や駅でも見かけることができますので、ぜひ探してみてください。

大多喜駅では、先ほどのキハ52系が午後の運転に向け小休止中。

綺麗に整備された車両を目に焼き付け先を進みます。

終点の上総中野駅は小湊鉄道との連絡駅。ここから小湊鉄道に乗って内房線の五井へ向かいます。

駅周辺はとても寂しい風景が続くのですが、駅舎の周りには何故か自転車を持った方が大勢いらっしゃいました。

やってきた小湊鉄道の車両に付いていたヘッドマークを見て納得です。

サイクルトレインです。
養老渓谷など自然豊かな沿線を自転車で楽しんでもらおうと定期的に行われているイベントで、参加者は自転車
を折りたたまずにそのまま持ち込むことができるとの事。

さて房総半島を外房から内房へ横断した後は、お目当ての113系を探します。
幸い駅の時刻表示板には「ありがとう113系」と表示されるので、そんなに苦労せず見つけることができました。

列車にも「ありがとう113系」のヘッドマークが取り付けられていました。
ヘッドマークが付いた列車を見ていると、本当に最後なんだなと実感させられます。
鉄道博物館などに保存された車両を見ることはあっても、独特の唸るような重いモーター音を聞くことができる
のはこれが最後。沿線に住み幼い頃から毎日見て聞いていた車両だけに本当に寂しい限りです。

何時か、いすみ鉄道のキハ52形のようにどこかで復活してくれることを祈って…。

使用機材：Nikon D700
　　　　　AF-S 24-70mmF2.8G ED
　　　　　AF-S 70-200mmF2.8G ED VR II