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銀塩写真列伝 Kodak PORTRA 800編

銀塩写真列伝 Kodak PORTRA 800編

 

皆様、フィルムはお好きでしょうか。

筆者はフィルム写真を始めたとき、このフィルムはどんな写りをするのだろう。と雑誌やネット記事等いろんなものを読み漁りました。
好みのものを見つけては試写し、前回使ったものとここが違うと一喜一憂したりと大変楽しかった覚えがあります。
今回の「銀塩写真列伝」ではそんなフィルムに焦点を当て、各フィルムの特徴などを作例とともに紹介し、フィルム選びの助けとなることを目指しています。

世の中には期限の切れたフィルムを含めたくさんのフィルムがありますが、今回の連載ではマップカメラでお求めいただけるものに焦点を当てご紹介してゆきたいと思います。

例年はシルバーウィークでにぎわう頃ですが、今年は4連休となりました。
今年は一味違った過ごし方になるかと思いますが、フィルム入門の方も、すでにお使いの方も楽しんでいただければ幸いです。

 

・・・

 

さて、今回ご紹介するのは、Kodak PORTRA 800です。
PORTRAシリーズのなかでは最高感度を誇るISO800、夜のスナップ撮影や室内での撮影で大活躍するフィルムです。
高感度フィルム独特のざらざらとした粒状感も感じられ、ハマる人にはハマるフィルムです。
色味は落ち着いており、淡く、透明感のある写りを楽しむことができます。

京都を訪れた時のこと、天気はあいにくの曇りでした。
「大将軍さん」とも呼ばれている大将軍八神社です。
門から拝殿へのまっすぐな参道に惹かれ撮影しました。
やはり多少の粒状感は感じられますが、筆者にとってはそれも魅力に感じています。

大将軍八神社の付近には妖怪ストリートというのがあります。
その名の通り、店の軒先に妖怪が飾られているのですが、かなりリアルなものが多く大変興味深いストリートとなっています。
薬屋さんの軒先にも一つ目の妖怪や目がたくさんある妖怪、コーワのカエルちゃんなど多種の妖怪が並んでいます。ひさしが傾いているところも併せて素敵な商店街でした。

普段ISO400のフィルムを使用することが多い筆者にとって、今回はISOが800、いつもよりシャッタースピードに余裕を持たせることができました。
通常であれば、少し暗めのところでは呼吸を止め、自分は銅像であると言い聞かせながら必死で手ブレを抑えていましたが、今回は難なくサクサクと写真を撮ることができました。
少しぶれてはいますが、通常であれば手持ちで撮影をあきらめていたシチュエーションでした。やはり夜スナップの大きな味方です。

今回の写真は昨年度、Leica M4にズマロンM 35mm F2.8をつけて旅行をした際のものです。
ハイライトがふんわりと滲み、粒状感も併せて幻想的な雰囲気になりました。
室内の明かりのなかでも、かろうじて階調を保っています。デジタルとは違ったネガフィルムのラテチュードの広さに驚かされます。

筆者はフィルムカメラを持ち歩くと、限られた枚数の中、何を撮るか、どんなふうに撮ろうかと考え、デジタルカメラで撮影するときよりも脳が活性化しているような感覚になります。フィルムカメラはデジタルカメラに比べ本体、レンズに加えフィルム代、現像代などランニングコストがかかりますが、ひとつひとつ丁寧にシャッターを切ってゆく、その感触はコストに見合うものだと思っています。フィルムをマネジメントしながら旅行するのも大変楽しいです。

昼間の描写も落ち着いた色合いでお気に入りです。
雲のふわふわとした感触と空のさわやかな青に魅了されます。

夕暮れ時に一枚。
陽が沈むさまを、暗部から緩やかなグラデーションで表現してくれます。
スキャンしているときに中央部に何かゴミのようなものがあることを発見しましたが、よく見てみると飛んでいる飛行機でした。
撮影した際には夕焼けの中に写る飛行機がきれいでシャッターを切ったのだと思うのですが、現像から帰ってくる頃には忘れてしまっているのでした。すぐに見ることができないからこそ、タイムカプセルのような面白さがあると感じます。

高感度フィルムの選択肢も少なくなってしまった今、ひときわ存在感を放つPORTRA 800。
普段使いとはいきませんが、夜に出歩く際や旅行で一日を通して撮影したい時など、ピンポイントに刺さるフィルムです。
淡い思い出をそのまま残してくれるPORTRA 800、旅行鞄へ忍ばせたい1本です。

 

[ Category:etc. Leica | 掲載日時:20年09月21日 19時00分 ]

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