【マップカメラ情報】「父の日」~其の時代のカメラたち~
本日は父の日。日ごろお仕事やご家庭、趣味にと奮闘されている世のお父様方、お疲れ様です。
「父」と言っても早い方では10代から、またご長寿の方では100歳を超えるお父様もいらっしゃいますが、
もっとも多くのお父様がいらっしゃる団塊の世代(61~64歳)に代表して頂きまして、そのお父様方が
活躍した各時代のカメラをフィルムカメラ専門フロアの2号店2階の独自の視点からご紹介します。
我が2号店2階では主に国産のフィルムカメラを取り揃えておりますが、舶来品ももちろんございます。
例えば団塊のお父様方が幼稚園に通いだした頃(1950年)ドイツで発売されたのがこれ。
そう今は懐かしい蛇腹カメラ、ベッサⅡ
ご存知長野のコシナで「ベッサ」の名を冠して人気を博しているレンジファインダーカメラがありますが、
同シリーズはこの蛇腹ベッサに対する写真愛好家の熱い記憶に根ざしています。
また、団塊の年長組が小学校で九九を一生懸命暗記し、あるいは大玉を転がしていた頃(1953年)、
イギリスで発売されたのが先日も当店のブログで紹介したこれ。
そう、イルフォードのアドヴォケイト(このカメラにご興味のある方は→こちらもご覧下さい。)
団塊の世代の始まりは1947年生まれと言われますが、1947年はカメラ史においても非常に
重要な年です。世界初の一眼レフ35mmカメラが誕生した年だからです。
世界初の一眼レフ(35mm判あるいはライカ判)が何かについては諸説ありますが、イタリアの
レクタフレックスとする説が有力です。このレクタフレックスが発表されたのが1947年。
その後数年内に東ドイツのコンタックスSやスイスのアルパフレックスがこれに遅れまじと登場します。
そして、一眼レフと言えば外せないのがこちら。
そう泣く子も黙るニコンF。ニコンFの登場はレクタフレックスに遅れること12年の1959年です。
団塊のお父様方が小学生時代を謳歌し、年長組は小学校を卒業する頃です。ニコンFは登場こそ遅れる
もののSシリーズで築き上げた技術を結集し、満を持して完成されたカメラでしたので、その信頼性は
抜群。ニコンのブランドイメージを確たるものにしました。
国産一眼レフのもう一方の雄であるキャノンは更に遅れること12年の1971年、ニコンFに対抗しうる
名機F-1を発表します。
この時団塊のお父様方は21~24歳。学生運動や就職活動、あるいは
新社会人としていよいよ活躍の場を拡げていた時代です。もう既に「お父さん」になっていた方も
決して少なくないでしょう。
キャノンF-1も撮影現場の酷使にも耐えうる強靭さで、今日に続くキャノンの名声を
築く一端を担いました。
翌年の1972年に登場した名機がこちら。
そう、オリンパスのOM-1(正確には当初OM-1)。ペンタプリズムのせいで、大きく重くならざるを
えなかった一眼レフの宿命に抗い、様々な斬新な着想から小型化に成功したエポックメイキング的カメラ。
団塊のお父様方が社会人として研鑽を積み、また、家庭を育み社会の主役への階段を着実に登っていた
1975年に登場したのがこちら。
電磁レリーズを搭載し一瞬のシャッターチャンスも逃がさないカメラ、コンタックスRTS。
わが国のカメラ技術の躍進ぶりについに力尽きたカメラ大国ドイツのツァイス財団とヤシカが提携し、
名玉揃いのツァイスレンズが使えるということで人気を博した事実は周知の通りです。
団塊のお父様方が三十路も過ぎ、カメラ愛好家の方々を唸らせたのがこの2機。
そう、今更説明も不要なニコンF3とキャノンNewF-1。前者の登場が1980年、後者がその翌年の1981年。
いずれも自動露出の使用を可能にし、耐久性と利便性を兼ね備えた国産一眼レフの完成形。
お父様方の中ではお給料をこつこつ貯めて、あるいはローンを組んで手にされた方もいらっしゃる
ことでしょう。
いつの時代もカメラはその時々の光を記録してきました。上に紹介したカメラも撮影者の
思いを感じ、記憶を形にしてきた名機たちばかりです。そしてこれを読んで下さっているあなたも
きっと、その思いと記憶の中に収まったことでしょう。
今日は「父の日」、またカメラを通して父と子の記憶がたくさん刻まれてゆくことを願ってやみません。