【マップカメラ情報】『マップタイムズ 週刊アスキー版 vol.1』の撮影後日談
– 浴衣美女vs最新デジカメの行方 –
「週刊アスキー」8月26日発売号から始まった連載広告、『マップタイムズ 週刊アスキー版』。その記念すべき第1回は「今月のスナップ研究室」。夏の日暮れの浴衣美人を撮影した。われらが撮影班の御意見番、写真家T・T氏のアドバイスは「思いきって、ぶらしてみよう」だ。泣く子も黙るライカM8、そして今夏デビューしたてのリコーGX 200と、機材ばかりは一流どころをひっさげて、いざシャッターチャンス!
馴染みのレンズの未知なる横顔。ライカM8の名玉再興。
噂には聞いていたけれど、実機を手にするのは初めてだった。
ライカM8。愛用しているM3よりボディが厚い。裏蓋はもとより軍艦部のすっきり感に一抹の寂しさをおぼえるが、思いをふりきるように撮影に赴いた。めざすは上野、不忍池。
木村伊兵衛が初期に文士のポートレートなどに使っていたことと、生産本数が少ないことで今も人気の高いライカレンズに、ヘクトール7.3cm/f1.9がある。今回の撮影は、記念すべき第一回であるし、ぜひともそれを使用しようと持参しており、M8に装着した。
重さといい、黒づくしの見た目といい、異和感ない。
浴衣姿の女性をファインダーに収めて、シャッターを切る。やや鈍い音の後、裏蓋の液晶に画像が浮かび上がった。
はたして、うつくしい。
認めざるを得ない魅力がM8にはあることが、この時体感された。
確かに、デジタルの描写が過ぎ去りし時代の名玉を現代によみがえらせる力になり得るのだ。
ヘクトールは開放近辺で、ほわほわとした光(ハロ)をあふれかえらせる。その光の味わいを捉えてさらに、M8が魅せたのは、色の鮮やかさだった。フィルムとは違う。が、これもまた、レンズの世界なんだ。
よく見知っていたはずのヘクトールの、知らざる横顔を垣間見せた、そんな印象が深く残るスナップだった。
高性能にも程がある。リコーGX 200の真価の片鱗。
意図的にぶらすということが、どういうことかまるで想像できていなかった。何よりもまず意外だったのは、こちらの予期せぬほどに、リコーGX200の手ブレ補正機能が優秀だったこと。
歩こうが、動こうが、ぶれやしない。撮影のお題が「思いきって、ぶらしてみよう。」だったにもかかわらず、これでは撮りようがない。そこでやむなく手ブレ補正機能をオフにするという愚挙(!?)に出てみた。本末転倒もはなはだしいが、これもすべては、マップタイムズ読者にコンパクトデジカメの新しい楽しみ方をご提案申し上げるためだ。がっ!!
まだぶれない。どういうことだ。連邦のデジカメは化け物か・・・!?
高性能に対抗するには、原始的なワザしかないとばかりに、シャッターを切る瞬間手首をひねってみた。これでどうだ。と、ようやくグルンと風景が回転して流れるような画が撮れたじゃないですか。やった。よかった。浴衣の女性のうなじを中心として世界が回り始めた。
今回再認識したことだけれど、リコーのコンパクトデジカメはいわば第三の眼とでも言いたくなるような存在として確立されている。GRシリーズにせよ、このGXシリーズにせよ、またR8の評判も非常に高いようだし、いまやコンパクトデジタル業界にひとつの王国を建立しつつあるのではないか。その片鱗を見せつけられた感が濃厚にある。
(2008年7月吉日、上野・不忍池周辺で 撮影・文 白井明大)