朝晩はめっきり冷えるようになりましたね。
さて、11月30日はカメラの日!!ということで
スタッフの初恋カメラをご紹介させていただいております。
本日、本館5Fニコンフロア担当から紹介させていただくのは、コチラです!
ニコン製品でもなければ、Fマウントでもなくてすみません(汗
こちらは「ФЭД(フェド、現地読みでフェト)」という旧ソ連のカメラで、私が所有しているのは「ФЭД-2」という第2世代のものです。
「ナニソレ?」って思われた方もいらっしゃることと思います。
このカメラの誕生の経緯は、
今から70年以上も前の1930年代に遡ります
当時――――――――
世界各国の軍隊は軍用カメラとしてドイツのライカを採用していました。
そんな1930年代も終わりに近づいた、1939年9月1日
世界中に激震が走ります。
突如アドルフ・ヒトラー率いるナチス・ドイツ軍が、隣国ポーランドに電撃侵攻。
これに対してポーランドと同盟関係にあったイギリス・フランスがドイツに宣戦布告し、第二次世界大戦が始まります。
この戦争によってライカの輸入が出来なくなったドイツと敵対している国や
軍事費が財政を圧迫している国では、ライカの特許を無視、あるいは回避して、
オリジナルの国産カメラ―――いわゆるコピーライカの製造に着手するのです。
世界史紛いの前置きが長くなってしまいましたが・・・
このフェドはそんな時代背景を礎にソビエトに誕生したコピーライカの先駆け的存在です。
スタートこそライカのコピーだったフェドですが、
この第2世代の「ФЭД-2」より、模造品の域を脱却し、見事な独自の進化を遂げていきます。
当時のバルナック型ライカには、
慣れた人でないとフィルム装填が難しいという特色がありました。
この「ФЭД-2」はその点に改良を加え、底蓋とボディの裏側が一体化し、
フィルムの装填が非常に軽快に行えるよう進化しています。
こちらの「ФЭД-2」は1958年に製造されたものです。
当時のソ連は、ニキータ・フルシチョフ政権の最中、
人工衛星の打ち上げに成功するなど国内産業の最盛期を向かえ、
アメリカと対を為す超大国になった時期と重なります。
こうした時代背景の中、初代「ФЭД」が完全なLeicaの模倣であったのに対して、
「ФЭД-2」になると機能も外観も独自のカラーをもち、
西側勢力に対抗する意気込みを感じることが出来ます。
その後、時代の変化とともに指導者や対外事情が大きく動いていく中で、
「ФЭД」シリーズも大きく様変わりしていき、
次第に独自路線の発展志向から、製造コスト削減志向へとシフトチェンジしていくこととなりました。
この為、後期型になると簡易設計の粗悪品が増え、
「ФЭД」に対する信用と権威は、祖国ソビエトの名前とともに次第に低下していくこととなります。
私はこのカメラの存在を友人宅にて発見して一目惚れし、
それがきっかけで自らも中古カメラ屋さんを何件も巡って気に入った一台の購入に漕ぎ着けました。
一般的にあまり有名なカメラではないこと、製造から長い時間が経っていること、
個体ごとの性能差が非常に大きいカメラであること、
などなど、様々な理由から購入時の捜索は困難を極めました。
やっと見つけた一台も、
購入時の状態は、軍幹部の黒ずみや、距離計の狂い、
ファインダーの劣化など、決してキレイとは言えない代物でした。
詳しい方に修理していただいたり、各部清掃したり、
アクセサリー類をそろえていくことで、
ボロボロで見る影もなかったカメラが次第に唯一無二の存在になっていきました。
また、レンズは、
Индустар(インダスター)50mm/F3.5
というものを使っています。
こちらもクモリなどの経年劣化はありますが、
使い勝手の良さには充分満足しています。
また、このレンズはライカLマウントを採用しており、
(稀有だとは思いますが)バルナックライカにそのまま使えるほか、
マウントアダプターを使えばこのような使い方もできるんです!
ボディとレンズの価格差あり過ぎですね(笑)
個人的にはこの組み合わせを初めて試したときは一人でニヤニヤが止まらなくなってしまいました(危
レンズとボディが安価だったこともあり、
いまでは購入価格より、アクセサリー類の合計額のほうが高くなってしまっています。(笑)
しかしながらこのカメラ、安価なだけではないんです――――――
親バカの贔屓目もありますが、レンズの性能も中々のものなんです。
もちろん、最新のデジイチには遠く及びませんが、
半世紀も昔、日本とはまるで環境の異なる異国のカメラ+レンズが、今この時代に使える――――――
このことに私は殊更、趣を感じています。
なんだかまとまりのない文章になってしまいましたが・・・・
皆様もご自宅に眠っている古いボディやレンズはございませんか?
もしお持ちでしたら、時折手にとってみてシャッターをきってみてはいかがでしょうか?
今まで気づかなかった発見があるかもしれません。
使い方の分からないカメラなどは、当店までお持ちくだされば各スタッフが丁寧に対応させて頂きます。
皆様のカメラライフがより一層充実したものとなりますよう、
お祈りしながら、本日はこの辺で失礼いたします。
御覧いただきありがとうございました。
До свидания…