中秋の名月。
古くは平安時代から続く「観月の宴」、
そんな現代にも続く月見という風習のお供は専ら、
まんまるのレンズを観ながら、夜に酔うのもまたよし。カメラ好きの方々はレンズのことはしばしば「玉」と呼びます。
誰が言ったか中秋の名玉。
本記事では、後玉がお月様のようなレンズ「CONTAX Biogon T*21mm F2.8」を使用した写真をご紹介いたします。
こちらのレンズは、CONTAX Gシリーズにつけられるレンズです。
CONTAX Gシリーズは、オートフォーカスフィルムカメラ。カメラ自体は勿論、Zeissレンズの傑作が揃いに揃っている独特な存在感を放つCONTAX Gシリーズ。
今回はその中で「Biogon T*21mm F2.8」。21mmという超広角レンズでありながら、このコンパクトな作りが非常に魅力的です。
銘玉と呼ばれる本レンズを、ソニーミラーレスカメラにつけて、スナップ撮影をしてみました。
「SONY α7RⅡ」にマウントアダプター「TECHART TA-GA III」を使用しております。
「後玉が出ているからセンサーに触れてしまうのでは?」とひやひやしてしまいますが、本レンズはマウントアダプターで大部分が隠れてくれるので安心です。
ただし、シャッター幕が下りて、幕を傷つけないように「サイレント撮影」で撮影しました。
※今回のマウントアダプターを使用した撮影は、動作含め一切保証はできません。ボディを傷つける可能性が高いので、同じ組み合わせで撮影する場合は自己責任となります。ご注意ください。
f/2.8 1/60 ISO200
暑い夏の装いから、あっという間に秋の装いに変わった街の景色を散歩してみました。
まずは、秋の装いのショーウィンドウを撮影してみました。
使用したボディ「α7RⅡ」はフルサイズボディで「約4240万画素」。高画素機と呼ばれる機種で、どれだけ表現してくれるのかワクワクして撮影した写真です。
見事に服の質感を表現してくれ、非常に好みな描写です。
f/2.8 1/80 ISO1600
CONTAX Gシリーズは、基本AF。MFでピントを合わせたい場合は、ボディ側で操作します。レンズでピント合わせができません。
ですので、マウントアダプターを使用する場合は、ボディ側でピントの操作ができないため、MFは使えません。AFのみとなります。
なのでAFが合わない場面が高確率でありました。
フィルムカメラだと、AFが本当にあっているかどうか、現像しないとわかりませんが、デジタルですとすぐに写真を確認することが出来ます。
ですので、ピントが合っていないときは、何度か写真を撮り直し、撮影を楽しむことが出来ました。
f/2.8 1/80 ISO100
上記の写真は、中央の被写体から少しピントがずれてしまいました。(最短0.5mmですので、少し近づきすぎてしまいました。)
このように開放で撮ると、周辺減光がかなり見受けられます。若干周辺部が流れます。
ですが、これを生かして、味のある個性的な写真を撮影することができ、こちらも好みな1枚です。
f/2.8 1/60 ISO640
開放で撮影しても、上記の写真のように、中央部がかなり解像してくれていることがわかります。
ゴーストもいい感じに出ています。
f/4 1/80 ISO400
Biogon T*21mm F2.8を実際にGシリーズ(CONTAX G1・G2)で使用する際は、ファインダーが対応してくれない画角のため外付けファインダーを使わなければなりません。
マウントアダプターを使用し、ミラーレスカメラで使用するからこそ、そのままの画角で画面上・ファインダー上から撮影することができます。
今回は、散歩しながら気になる被写体を撮影しておりましたが、デジタルの画面上で被写体を見ながら構図を決められることはやはり良いことです。
f/4 1/100 ISO1000
フィルムカメラでしか使用できない銘玉を、マウントアダプターを使用してデジタルカメラで楽しむ遊び…。
お月様のような後玉レンズのため、マウントアダプターを使用するのは、抵抗がありましたが、収差とボケ感が唯一無二の存在で雰囲気のある写真の仕上がりに惚れ惚れしてしまいました。
SONY Eマウントレンズに「Biogon T*21mm F2.8」と似たような写りをするレンズは絶対にないと思います。
マウントの壁を越えることは、知らない世界や機材で自分らしさを出せ、とことんこだわれる奥深いカメラ楽しみ方のひとつだと改めて感じました。
中秋の名月の本日に合わせて、「お月様に見えなくもないレンズ」をご紹介いたしました全4記事。いかがだったでしょうか。
皆様もぜひ、真ん丸のお月様レンズと共に、お月見や秋を楽しんでみてください。