古くは平安時代から続く「観月の宴」、
そんな現代にも続く月見という風習のお供は専ら、
まんまるのレンズを観ながら、夜に酔うのもまたよし。カメラ好きの方々はレンズのことはしばしば「玉」と呼びます。
今回ご紹介するのは広角単焦点レンズ SIGMA Art 20mm F1.4 DG HSMです。
Artシリーズは2012年に発売された Art 35mm F1.4 DG HSMを皮切りに、圧倒的なクオリティを追い求めたレンズ群です。
本レンズは2015年11月20日に発売。
数少ない20mmという焦点距離でF1.4の大口径という尖ったレンズ性能を持ち、大口径広角レンズの代表的な一本となりました。
フードは固定型でデザインも統一感があります。光学設計だけでなく、外観まで高級感のある仕上がりです。
まるっとした出目金レンズは、今回のテーマである中秋の名月に決して劣らない存在感を醸し出しています。
フィルターを装着することはできませんが、角形フィルターを装着することでNDフィルターを始め様々なフィルターを楽しむことが出来ます。
大口径の広角レンズと言えば星空や夜景の撮影が鉄板ですが、今回は大口径F1.4ならではのボケを活かして彼岸花の撮影に挑戦してみました。
(*今回の写真はすべて昨年、巾着田にて撮影したものになります。)
広角ズームレンズだとパンフォーカスになりがちなカットも、絞り開放F1,4で撮影すると無限遠に向かってゆっくりボケていく写真を楽しむことが出来ます。
広角レンズは近接撮影が行えるレンズが多く、本レンズも最短撮影距離が約28cmと被写体に対して大きく寄ることが可能です。
広角レンズで撮影することで背景の情報を残しつつ、被写体にグッとフォーカスを集めることができ、マクロレンズとはまた違った世界観を演出することが出来ます。
玉ボケも非常に綺麗で、SIGMA Artレンズの名に恥じない非常にハイクオリティな映りを楽しむことができました。
差し込んでくる日差しをうまく活用できないかと、地面から見上げるように撮影してみました。
透き通るような鮮やかな発色と日差しがうまく合わさり、朝のすがすがしい雰囲気に仕上げることができました。
こちらも朝の陽ざしを取り入れた一枚です。
通常撮影でフレアやゴーストが気になったことはなく、上の写真のように強い光源を入れたときにゴーストが発生しますが、前玉が大きな広角レンズでは宿命ともいえるかもしれません。
あえてゴーストを取り入れることで強い日差しを表現するなど、デメリットのように感じる部分を生かしてみるのも、写真撮影の楽しみ方の一つです。
これからの季節、色とりどりの景色をぜひこの出目金レンズで楽しんでみてください。