冷夏、酷暑に暴風雨と続いた今年も
いつの間にか身を撫ぜる風が
心地よい日柄に落ち着いてまいりました。
油断すると身体もすぐ冷えてしまいますので
衣替えのタイミングは計画的に。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、この度フィルム派の私は
ここにきて本格的にデジタル初挑戦。
Mの新鋭【M10-P】で華々しいデビューです。
無論RAW現像も初挑戦で正解が見えるはずもなく、
明るさ調節程度に済ませありのまま撮ってまいりました。
どうかお付き合いいただければ幸いです。
合わせて使うレンズは
初代【Summicron M35mmf2】通称8枚玉。
現行品を筆頭に優れた銘玉達の中から
伝説と謳われるレンズをアダプターなしで
選べる事もM型ならではの楽しみです。
フィルム時代のM型のサイズ感や
質感とほぼ同じこのボディは、
デジタルの機械が詰まっている分
ほんの少しだけずっしりきます。
ただ普段私が使っているモデルと
シャッタースピードダイアルが逆向きで、
フィルム機で例えるなら
MPの背面を液晶にしてM7の機械系を
搭載したような操作感となっています。
まさにM型の結晶、と言いましょうか。
機械音痴の私からすると、
「いつもどおり」と似た感覚で
撮れるのは非常に助かります。
M10系は直感的なマニュアル操作が多く、
撮影以前に機械をいじる事を
心より楽しめるカメラだと感じました。
メモリーカード次第では撮り放題、
ともなりますとシャッターを切る手も
非常に軽やかになり少しだけ冒険。
上の2枚はフィルム機だと
なかなか怖くて実践出来ない
ノーファインダーでの目測撮りです。
次いでこのレンズ、8枚玉ですが
ライツレンズらしい柔らかで豊かな階調で
世界を描く様もさることながら、
ピント部分の線のこまやかさも際立ちます。
安定した光源下での絞り解放は
目でみえる光景を超えるような
儚げな一枚が撮れるかもしれません。
今からおよそ半世紀前、M2の登場によって生まれた
ライカの代名詞のひとつとも呼べる
準広角レンズ、Summicronの35mm。
その初代である8枚玉を持ってしてこの発色です。
どうやらM10系の色づくりはコントラストが
かなり強く出る傾向にあるようです。
今回は使用しませんでしたが
現行のレンズを使った時には
絞り開放から更にくっきり、
すっきりと写る事でしょう。
目に写らないその場の”空気”すら描くガラス玉と、
持ち手に”撮る”という事を選択させる器。
どちらも原点にして傑作級の素晴らしい逸品である反面、
腕前や姿勢、経験によって撮れる写真が大きく変わる
M型はまさに”真実を写す道具”であると私は感じました。
相応に使いこなすには自身や機材と
大いに向き合う時間が必要かもしれません。
久遠の伝統と誇りを刻まれたその姿は、
使う人々にかつてM型を愛用していた
多くの写真家が携えていたであろう
自信や栄光、勇気にも似た何かを
わけてくれるような気がします。
いつか私にも使いこなせる日が来るのでしょうか。
この度はここまで。またいつか。
今回使用した機材はこちら。
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