私には憧れのカメラがあります。
それがLeica M10-Pのシルバークロームです。
私がこのカメラを喉から手が出るほど欲しいと憧れた最初の理由は、
「私の好きなアーティストが持っているから」
でした。
真のLeica好きからはため息が出そうな理由だと思います。
最初はそんな理由でした。
しかし、実物を見てからはその所有欲をさらにかき立てる最高のカメラでした。
まずは、「私はLeicaのカメラを持っているんだ」というその左肩部分にあるロゴです。
手にした後からわかりましたが、Leicaの赤いロゴを敢えてつけていないことに驚きを感じました。
Leicaの筆記体が、「所有欲」、そして私の頭の中を満たしてくれます。
静かな主張という表現がよいのでしょうか。見た目からは感じなかったその重量感は左肩のロゴと併せて、手の上で「私はLeicaのカメラを持っているんだ」と実感することができます。
AF機能が強化され便利なカメラがある時代に生まれた私は、レンジファインダーでピントを合わせることが初めての経験でした。
さらに、ファインダーをのぞく部分と、レンズに写る部分が違う事にも新鮮味を感じました。カメラを持ち、ファインダーをのぞき、シャッターを切るという、写真を撮ることにおいてもっとも当たり前なことを一番楽しませてくれるカメラだと感じました。
ピント合わせに慣れないので、一瞬を切り取るのはではなく、そこにあるものを切り取ることに集中しました。
Leicaのモノクロというのも見てみたいということもあり、カラーとモノクロ両方で撮影をしてみたりもしました。撮影の段階からモノクロで撮ることはほとんどなかったので、とても新鮮な気持ちで撮影ができました。
ほとんどのレンズが70cmから寄ることを禁じられた私は、構図のイメージを悩ませ、新しい刺激を与えてくれました。
手前にピントが合わせられないので手前ボケに変えてみたり・・・と、みている構図の中で出来ることは他にあるか、など常に自分の撮影スタイルに疑問を投げかけてくれました。
しかしながら、ものによってはどのように撮ろうか迷った結果、アイデアの引き出しが少なく、引くことしかできなかったものもありました。
撮りたいと思ったものを切り取る。ほとんどの設定をM10-Pに任せ、シャッターを切りました。
私はカメラのシャッター音で写真を撮っていることに実感を感じ、比較的シャッター音が大きいカメラが好みでした。
M10-Pはそのシャッター音の大きさからは真逆を行くカメラですが、その厳かなシャッター音にはとても魅了されました。
最初はとても単純な理由から気になっていたM10-Pですが、今では私の中で「写真を撮る」ことを一番に楽しませてくれる最高のカメラでした。
いつか手に入れられる日が来たら・・・と思います。