【新元号令和、平成を振り返る】或る日のT2
関東では桜の見頃が過ぎ、だんだんと日が伸び、
吹く風もすがすがしい季節になってまいりました。
さて「平成を振り返る」をテーマに弊社スタッフがこのブログを書いております。
皆様にとってはどんな日々でしたでしょうか。
私は平成生まれなので、人生のすべてが平成の思い出ということになります。
先日久しぶりに父とじっくり話す機会がありました。
私が今、フィルムカメラにはまっている話をしたところ、
父がおもむろに昔使っていた【CONTAX T2】を引っ張り出してきました。
T2は1990年、平成2年に当時の京セラから発売されたコンパクトカメラです。
今回はそのT2で私が撮った新たな写真と、
父親の撮った過去の写真とで平成を振り返ってみます。
【父撮影】
父撮影の昔の写真です。
兄と私。
現在では一緒にいることが少なくなったふたり。
私はいつも兄の後を追いかけて、たびたび迷子になっていた覚えがあります。
この頃は目に写るものすべてが大きくて
世界が限りなく広いものだと信じていました。
今回オート機能(プログラムモード)付のコンパクトカメラを使うのは初めてです。
いつでも撮れるようにとポケットに詰めこんで、落としそうになりながら撮り回りました。
絞り優先オートにして、ただシャッターを切るだけ。
ピント合わせはすべてAFに任せました。
巻上げも自動、ピント合わせもシャッタースピードも考えなくていいことがこんなに快適であり、また不安なことでしょう。
家の物置に長い間眠っていたものですのでちゃんと動くか、しっかり写っているかも不安でした。
実際はコマとコマの間が狭く重なる部分がありましたが、問題なく写っています。
【父撮影】
弟が生まれた年の里帰りです。
生意気でマイペースでいつも回りを巻き込んでいる弟も昨年成人式を迎えました。
主に弟の面倒を見ていた私はその日の感慨深さに少し視界が滲みました。
そんな弟にもこんなにかわいい日があったとは。
こちらは私の通学路だった場所です。
レンズは38mmF2.8。
あまりなじみのない焦点距離ですが、
私の記憶が確かなら
人の視野角が約60度といわれ、35mmや50mmよりも人の視界に近い、
まさにその光景を写し出す。
目の前で起こるほんの一瞬をこの目にそのフィルムに焼き付けたい。
T2はそんなお方にぜひおすすめです。
【父撮影】
祖父、祖母、母。
親が結婚してすぐの頃の写真でしょうか。
覚えのない光景なのですがどことなく懐かしさを感じます。
父曰く意図して設定をしたことがないとのことですので、
フルオートでもその高い精度が窺い知れます。恐るべしT2。
実は私、生まれが島のためか海や波、水の音を聞くとすごく眠くなります。
これを撮った昼下がりもあまりの日差しの良さも相まってこのあたりでつい横になってしまい、翌日は鼻声になりました。
皆様もどうかお気を付けくださいませ。
さて、いかがでしたでしょうか。
先の家族写真数枚は私の父が撮影したものです。
相棒のT2は長らく眠っていたこともあって駆動系に始まりレンズ、ファインダもすべて寝ぼけた状態になってしまい、
本来あったはずの高級コンパクトカメラ代表たらしめるその性能を失っていました。
でも重なったコマ間も、レンズのくもりも時の流れをより一層実感させてくれる結果となり素敵だなと思っています。
足りないところは自分で補えば問題ございません。
また今回は20余年前のフィルムをスキャナーにて読み込みました。
色も上下も反転した思い出をひと手間かけてひも解く。
浮かび上がった淡い色合いのそれは、かつてあったほんの瞬間の出来事を呼び起こす写真本来の役割そのものなのかもしれません。
中にはピントが合わなかったり暗かったり、決して綺麗で完璧な画とはいえないものもたくさん見つけました。
フィルム自体が劣化しすぎていてまともに読み込めたのは片手で数えられるほどですが、
その数枚がある種の歴史や文化となって後の代にひっそりと繋ぎ紡がれていくのではないでしょうか。
そして我が家ではその語り部役が父から私に回ってきたということで。
時には古びた思い出の埃を払って、家族の軌跡を読み解く。
また新たに綴る日があっても良いのではないでしょうか。
存外相棒はあなたの近くで深い眠りについているやもしれません。
それではこの度はここまで。またいつか。
今回使用した機材はこちら。
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