【新元号令和、平成を振り返る】私のM9とSonnarと子供
あと数日で平成も終わり、新たな元号へと変わります。 今回のブログ企画の話が来て、所有しているカメラでちょうどいい話ができそうだと思いました。そのカメラは『Leica M9』。平成はフィルムからデジタルへ変わった時代。35mmフィルムカメラの歴史そのものとも言えるライカが作った、初のフルサイズセンサーを搭載したM型ライカになります。
M9の発売は今から10年前の2009年。1800万画素のコダック製ローパスレスCCDを搭載した伝統のMマウント・レンジファインダー機。
マップカメラに入社してからM8、M8.2、M9、M9-P、M(240、262)、M-P、Mモノクローム(CCD、246)、M10、M10-Pと歴代のMデジタルを使用する機会を得て、あえて選んだのがM9です。
動画もライブビューも出来ず、背面液晶は時代を感じる23万ドット。ISO感度は80~2500ですが、感覚的にカラーなら800、モノクロなら1600くらいまでかなと思う高感度耐性。見る人によっては「時代遅れ」と言われても仕方ない仕様かもしれません。
しかしM9はダメなカメラか?と聞かれたら、私は最高のカメラと答えます。爆速AFも高速連写も超高画素も今の自分には必要ない。操作も撮れる画もフィルムとデジタルの中間のようなM9は自分にピッタリ。なんと言うか、M9は自分とリズムが合うのです。
妙なレンズを付けていますが、これは『Carl Zeiss Jena Sonnar 5cm F2(戦前ニッケル)』に距離計連動のアダプターを付けたもの。普段はこれがメインです。他に『Carl Zeiss Sonnar 50mm F1.5(西ドイツ後期)』、たまに『Leica Summicron 5cm F2(トリウム)』。M9を使っている私ですが、ライカ派とツァイス派という話なら、明らかにツァイス派です。
ちょっとM9から脱線しますが、少しだけこのレンズの話を。 所有しているニッケルゾナーは1935年製のノンコートなのですが、本当によく写ります。やっぱり当時のツァイスは凄いなと。F1.5玉と比べると安定感があって、大人な印象の描写です。
そしてこのレンズが作られた1935年はドイツがベルサイユ条約を破棄し、ニュルンベルク法が可決された年です。激動する時代の大きな転換期に生まれたこのレンズは今まで何を見て、写し出してきたのかを想像すると非常に感慨深い。
これは自分の写真に対する考えになってしまいますが、 オールドレンズをついつい集めてしまうのは、描写や造りだけではなく歴史のロマンを感じるからなのかなと。レンズに閉じ込められた空気や当時のガラスが、現代の光を少しだけ違うものに変えてくれそうな気がするのです。
そんな私がM9で撮るのは、ほとんど子供の写真。子供が生まれてから休日に一人で写真を撮りに行くなんてできなくなりました。
本当は若い頃のように一人で海外を旅して写真を撮りたい。と思うこともありますが、それは子供達が独り立ちできるようになってからかな。
平成最後の桜も終わり、あと数日で令和元年。
平成に育ててもらった私ですが、令和は子供達の時代です。
変わりゆく世の流れと子供の成長をこれからもM9で撮っていきたいと思います。