75mmという画角は、35mmや50mmでスナップ撮影を始め、新たな画角を求めて真っ先に候補にあがる焦点距離ではないでしょうか。本日はそんな75mmレンズの中でも人気の高い、ズミルックスM75mmF1.4と、アポズミクロンM75mmF2.0 ASPH.を比較していきます。 価格が比較的近く、個性豊かなこの2本を比較することの意義は小さくないでしょう。
ズミルックスM75mm F1.4はライカの1.4クラスの中望遠レンズとして、唯一無二の存在として、発売から約40年が経った今でも人気のレンズです。 そのボケ量の多さは、数多く存在するライカレンズの中でも圧倒的で、最新レンズのボケ量を説明する際の比較対象としても用いられることがある程です。
アポズミクロンM75mm F2.0 ASPH.は、そのズミルックスM75mm F1.4の後を継ぐ形で2006年に発売されました。
2006年に発売されて以来、スタンダードなズマリットや究極のノクティルックスといったレンズが生み出される中、不変のロングセラーレンズとなっています。
今回は新旧共存ということで、Leica M10-Pで試しました。 2018年発売の最新型デジタルMとの組み合わせも必見です。
また、本記事の写真は全て開放・JPEG撮って出しでお届けいたします。
是非ご覧ください。
焦点距離:75mm / 絞り:F2/ シャッタースピード:1/250秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica M10-P + Apo-Summicron M75mm F2 ASPH.
こちらはアポズミクロンM75mm F2.0 ASPH.で撮影。柔らかくもしっかりとしたピント面、ボケ方も自然で眼前の光景を一層美しく再現することができます。
玉ボケも美しく、これで開放なのだから驚きです。また大口径レンズ特有のハイライト部分に現れる嫌な色にじみがありません。さすがAPOの名を冠するレンズと言えるでしょう。
焦点距離:75mm / 絞り:F1.4/ シャッタースピード:1/4000秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica M10-P + Summilux M75mm F1.4 2nd
続いてズミルックスM75mm F1.4を完全な逆光で1枚。今回使用したズミルックス75mmはフード組込タイプですので、1982年設計と40年近くの時を経ていますが、フレアと手前のゴーストが夕暮れ時の雰囲気を表現してくれています。
目で見た景色をそのまま写し撮ることの難しさは理解していただけると思いますが、何の補正も調整もなくここまで表現してくれるのはLeicaの真骨頂でしょう。こちらもピント面前後に広がるボケ味は大変滑らかで気持ちの良いものです。
焦点距離:75mm / 絞り:F2/ シャッタースピード:1/15秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica M10-P + Apo-Summicron M75mm F2
色のにじみが少ないという事は、猫の毛並みから樹皮、古びた椅子の質感まで、余すことなく質感を再現することができます。
開放ということもあり若干毛並みが柔らかな描写になっていますが、動物やポートレートの撮影にはうってつけの描き方かもしれません。
焦点距離:75mm / 絞り:F1.4/ シャッタースピード:1/400秒 / ISO:100 / 使用機材:Leica M10-P + Summilux M75mm F1.4 2nd
人工物はいかがでしょう。フロントの艶感、反射する空の雲、丁寧に描いてくれています。
ヘッドライトのハイライトには少しハロが見られますが、昨今のレンズで撮った時のようなガリガリと目の痛くなる描写ではなく、しっとりと表現しています。
また後方のボケが少し円を描いているように見えますが、年代を考えると許容範囲でなはいでしょうか。
さてこの写真はどちらで撮影したものでしょう。
あえて正解はお伝えしませんが、ボケの線の出方を見るとお判りいただけるかもしれません。
75㎜という焦点距離はポートレートの印象が強いですが、50mmから更に1~2歩踏み込んだ画角を50mmの立ち位置から狙う事が出来るためスナップ撮影にも持って行きたくなる画角です。
常にバッグに忍ばせておけば失敗したくない大切な瞬間も、急に訪れるシャッターチャンスも逃すことがありません。
どちらも自信を持ってお薦めできる銘玉、
皆様の今後のレンズ選びの一助となれば幸いです。
最後までお付き合いありがとうございました。