ズミルックス。Summiluxと表記します。
ラテン語でそれぞれSumma「最高のもの」Lux「光」が由来だとされています。
つなげて訳すと最高の光となるのでしょうか。素晴らしいです。
その名もあってライカレンズの中ではいつかは手にしたい憧れの一本となっています。
一枚目の画像はズミルックスM50mm F1.4 フード組込みです。第三世代と呼ばれる一本です。
大きく分けてズミルックスは4種類あります。
まずは初期型 1stモデルと呼ばれるものです。No. 1844000までが初期型となっています。
その後に登場する後期型 2ndモデル(No.1844001~)と比較するとレンズ長が2mmほど長く、
レンズの銘板の黒リングの部分が狭くなっています。
(左から後期型 2nd、3rd、4th)
2ndモデルから3rdモデルへの変更点は大きくは二つ。
・フードが組込仕様になったこと
・最短撮影距離が1m→0.7mへと短くなったこと
です。
もともと「寄る」ことが苦手なレンジファインダーですが、1mから0.7mになるだけでかなり撮影の幅が広がります。
外観も大きく違います。
指の腹で掴みやすいローレットの2nd、それに対して3rdは現行のライカレンズ群に近いデザインになっています。
筆者にとっては少し武骨な2ndのローレットが大変魅力的に感じます。
(左から3rd、4th フード全長状態)
3rdから4thへの変更点は
・ピントノブが付いたこと
・ASPH.(非球面)仕様になったこと
・フローティング機構を搭載したこと
が主な面です。2017年に登場した4thは非球面レンズだけでなくフローティング機構というものも搭載しています。
このフローティング機構とはマクロレンズなどに採用されることの多い機構で、
ざっくりと言えば近接撮影時などの収差を減らすために使用されます。
コンパクトネスはそのままにどんな距離感でも被写体を正確に描写するのがこのレンズの凄い所です。
ズミルックス50mmでは初めて採用されたピントノブも人気の秘訣なのかもしれません。
…さて、少しではありますが比較画像を用意しましたのでご確認下さい。
M10と組み合わせ新旧共存いたしました。
設定は開放絞りSS 1/360 ISO400です。
ズミルックス M50mm F1.4 2nd
2ndの開放F1.4です。
中央部に入り込むフレアが特徴的です。このようなシーンですと、どうしてもフレアが派手に出てしまい作品の邪魔をしてしまいがちですが、
流石はライカレンズでしょうか、フレアすらも作品の一部のような印象がいたします。
また、ふわっとした開放の滲みの中にピント面の繊細さがあるように感じます。
続いてズミルックスM50mm F1.4 3rdです。
先ほどのようなフレアは消え、光が入るシーンでも安定した描写のようです。
ピント面も先ほどよりもシャープになったように感じます。
最後はズミルックスM50mm F1.4 ASPH.(4th)です。
非球面レンズのおかげでしょうか、先ほどの2枚にはあった電球の紫色の滲みが解消されています!
引き続き繊細な描写です…!
1Fブティック(2020年8月29日にリニューアルオープン致しました!)にて、頂いた胡蝶蘭を撮影してみました。
まずはズミルックス M50mm F1.4 2nd。
ハイライトの優しさが心に沁みます。
ピント面はしっかりと解像しそこからなだらかなボケが広がっていきます。
続きましてズミルックスM50mm F1.4 3rdです。
ピント面がよりキリっとしています。
ニュートラルでクセのない発色で勇名をはせるレンズでもある3rd。ポートレートなどでも活躍しそうです。
ズミルックスM50mm F1.4 ASPH.(4th)です。
ピントのキレ具合・発色の豊かさはさることながら、そこからボケへとつながっていく流れが非常になだらかで気品を感じます。
どれも甲乙つけがたいですが、筆者は3rdが気に入っています。
流通量がそこまで多くなく、中古相場の中でも高値を維持する一本ですが、
それだけに一度は手に入れたいという強い気持ちがあります。
少しストレートなボディですが、見れば見るほど癖になってく外観…。
う~ん、かっこいいです!
現行ボディでもマウントが同じでどんな時代のレンズも基本的には使用できるライカMマウント。
様々な時代を超えて存在し続けるボディやレンズたち。
その歴史に触れてみてはいかがでしょうか。