ライツレンズはその端正な造りもあって
こういった空間にもうまく溶け込んでいます。
おわかりいただけるでしょうか。
閑話休題、お盆も明けて
そろそろ素麺や冷や麦に
飽きてきた頃合いかと思います。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
この度は【私のお気に入り】の続きを綴ります。
またお付き合いいただけると幸いです。
背中。
何も告げず帰ってきた私にも
ふたりは昔と変わらない
あたたかさで迎えてくれました。
祖母は明るく少し皮肉屋で、
私に笑いかけてくれます。
祖父は今年で90余歳。
口数はあまり多くありませんが、
この島の海と空のような
聡明で澄みきった眼をしています。
年輪、或いは年表。
今でも祖父母は自身や私の親兄弟方、
様々な家族写真を大切に持っています。
父共々、どうやら写真好きは
遺伝するようです。
この人たちがみた世界の色を、
私の眼も描けているのでしょうか。
ゆっくり落ちる夕日を背に
夕餉のお遣いへ。
いつの間にか来訪者になった
私を一瞥し、先住民の猫さんは
怪訝な顔をしています。
10年ぶりのいつもの道。
この道は小さい頃のままで
やっぱり少しだけ怖いです。
ついでに海をみにいこう。
兄弟や島の子と公園で遊んだ事、
顔が青くなるまで海で泳いだ事、
牛小屋にすいかを持って行った事。
墓前で花火をした事もあります。
中には喧嘩した事も、帰りたくなくて
泣きながら家出した事もありました。
この日が落ちて、また昇る頃には。
そう思った私が口を開くよりも先に、
潮風に乗った鐘の音と共に遠く黄昏が告げる。
碌な返事も出来ず、ただその声に耳を澄ませ
立ちつくす事しかできませんでした。
いかなるものにも刻まれる時は平等。
ひと粒、またひと粒と
砂時計の中で零れていくその瞬間の感情を
ほんの少しでもこの手、この眼に
捉えておきたい。焼き付けておきたい。
月並ですが、これが私の写真を始めた
きっかけなのかもしれません。
去りゆくものに継ぎ繋げるもの。
変わりゆくものに在り続けるもの。
若輩の私はまだそれぞれの
価値を見出せずにいます。
ただ今はここで撮った、みてきた
【私のお気に入り】たちもまた
やがて私の人生と題目がついた
長巻フイルムのひとこまになるんだと
深く、確信にも似た何かが
込み上げております。
さて、この度はここまで。
前篇、後篇と長きにわたるお目通し
まことにありがとうございました。
私からはこれをもちまして
暑中お見舞いの代わりと
させていただきます。
また大変恐縮ですが弊社も私自身も
今月で25周年目を迎えました。
皆様もどうか、この25周年祭を
目一杯お楽しみいただければと存じます。
暑い日は続きますが何卒。
心よりお待ちしております。
ではこれにて。またいつか。
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に入り”!お気に入りの写真は何枚でもご投稿いただければと思います。様々な豪華賞品をご用意しており
ますので奮ってご参加ください。