【自機一体】マップカメラスタッフこだわりの逸品 Vol.29
今回ご紹介する私の逸品は
Voigtlander Ultra Wide Heliar 12mm F5.6 Asphericalです。
Voigtlanderのレンズでコンパクトな鏡筒とは裏腹に画角にして121°にもなる超広角レンズとなっており
更に超広角のレンズで発生しがちな歪みがほとんど見られないのもポイントで、縦と横の線を真っ直ぐと描きます。
今でこそ更に広角な11mmや、10mmといった画角のレンズも登場していますが、購入した当時は35mm判用レンズで魚眼のものを除くと世界で最も広い画角を持つレンズとして強い憧れを持って購入したものです。
しかしながら開放F5.6という暗さに加え
周辺減光が強く出るレンズとなっており少しクセの強いレンズにな事も語っておかねばなりません。
効果的に使うことは難しいですが、イメージ通りの1枚が出てくるとグッと心の中でガッツポーズをしたくなるレンズ。
このレンズにはライカスクリューマウント(L39)向けに作られた初代と
ライカMマウント向けに作られたII型、それを更に改良しデジタルカメラでの使用も考慮に入れたIII型が存在していますが
今回はII型という事で真ん中に当たるモデル。絞り羽根は9枚のためなかなか派手な光芒が現れます。
長秒露光で車が行き交う軌跡を収めてみました。
2枚立て続けに夜の写真ですが、両方とも三脚使用での写真。
暗いレンズですのでこちらの星空は30秒近く露光しており、写っているかなとワクワクしながらプレビューをしたのを覚えています。
超広角レンズという事で下から思い切りアオって横幅もめいっぱい使った1枚。
見事に咲き誇る枝垂桜の全景を収めることができました。空間をまるっと写してしまう感覚は一度味わうと病みつきになります。
最後はIII型で撮影した写真を。多少の周辺減光は残っていますが、II型よりも更にスッキリとした描写でありつつも歪みの無さは一級品。
12mmの単焦点という事でかなり思い切りが必要なレンズではありますが、コンパクトかつ軽量なおかげで鞄の中に忍ばせやすくここぞというタイミングでイメージを持ってから使ってやると威力を発揮するレンズです。
眼前に広がる光景を、大きな瞳が呑み込みます。
肉眼より遥かに広く捉えるその瞳は、かつての唯一無二でした。
今も色褪せない逸品を一度使ってみてはいかがでしょうか。