低価格ながらパフォーマンスの良いレンズを数多く輩出している銘匠光学。
今回ミラーレス APS-C機向けに新しく「銘匠光学 TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」が加わりました。
マクロレンズといえば小さな被写体を大きく写す機能を有したレンズであり、花をはじめとしたネイチャー撮影、小さなアクセサリーやネイルなどのテーブルフォトなど、通常のレンズでは味わえない世界を覗きこむことが出来ます。
接写だけではなく通常の撮影でも明るい単焦点レンズとして運用ができる汎用性もあり、マクロレンズはどの時代でも人気の高いアイテムです。
しかし予算の都合で中々購入が出来なかったり、レンズを買うほどのことではないけど、マクロ撮影をしてみたい…という方も多いかと思います。
そんな方にオススメできるのが、今回ご紹介する「銘匠光学 TTArtisan 40mm f/2.8 MACRO C」です。
価格はなんと新品で14,000円を切り(2021年10月16日現在)、等倍撮影が出来るマクロレンズとしては破格の価格設定。
しかし、実際の写りはどうなのか?安かろう悪かろうではないのか?
そう考えてしまって中々手が出せないのではないでしょうか。
今回はそんな疑問にお答えすべく、本レンズを使用する機会に恵まれましたので接写撮影を中心に作例を交えたレビューをしていきたいと思います。
撮影に使用した機材はVLOGCAMとして登場したSONY ZV-E10。
SONYのAPS-C機最新モデルです。
それでは早速写真をご紹介していきたいと思います。
以後の写真はすべてjpg撮って出し、撮影後の調整は一切行っておりません。
草花の撮影を行うために近くの公園へ向かっている最中、日に照らされて透明感のある観葉植物を何気なく開放F2.8撮った一枚です。
あまり意識せず撮った一枚でしたが、価格に見合わない良い写りで驚きました。
自然な前ボケ、後ボケ、芯の通ったコントラストの高い描写力、これからの撮影に期待してしまいます。
日が落ち始めた太陽が木の枝から顔を出していたので、真正面に太陽をおいて撮影を行いました。
最大絞りにて光芒の出方と、フレア、ゴーストの出方を確認してみました。
折角のVLOGCAM ZV-E10、動画でもフレア/ゴーストの出方を撮影しています。
かなり意地悪な環境下での撮影でしたので、フレア、ゴーストが発生しています。
逆光耐性については1世代前のような、現行の一般的なレンズよりは弱い印象を持ちました。
オールドレンズのような味のある撮影が出来そうな反面、ゴーストを極力出さない写真を得たい場合は不向きかもしれません。
とはいえ、これもレンズの特徴と考えれば撮影に生かせる点でもあります。
今が見頃のコスモスを、先ほどと同じように大胆に太陽(光源)を背景において撮影してみました。
フレアとゴーストが絶妙な仕事をしていて、より幻想的に仕上がった1枚です。
コントラストの低下も大きくなく、ピントが合っているところは芯が残っています。
木漏れ日の玉ボケも綺麗に散りばめられ、お気に入りの一枚です。
マクロレンズなのでグッと寄って撮影も行ってみました。
通常のスナップ写真+マクロ撮影が行えるので、マクロレンズは同じ被写体でも二度楽しめるところも大きなメリットかもしれません。
玉ボケがより一層大きくなり、存在感が増しています。
強い逆光によってコントラストの低下や、ちょっとふわっとしたフレアのような描写が見受けられますが、花の撮影ではソフトフィルターの効果に似ており、効果的に使用することでより幻想的な一枚に仕上げることが出来ます。
マクロの作例ばかりではなく、無限遠での描写力も確認してみました。
開放F2.8から順々に絞り込んで撮影を行っています。
F2.8
F5.6
F11
ご覧いただくとわかりますが、中心部の解像力は開放から申し分ない反面、周辺の映りに関しては絞り込まないとふわっとした描写になってしまっています。
先に挙げた逆光耐性と同様に、価格を抑えているので全部が万能!というわけではありません。
ふわっとした描写はF11程度まで絞り込むことである程度解消されます。
マクロレンズやスナップ写真の撮影では、中心の近くにメインとなる被写体を置く構図が多く、端の部分の描写についてはここまで気になることはないかと思いますが、周辺部の映りについては留意する必要があるかもしれません。
しかしながら
ご覧頂いた写真の数々の通り、スナップやマクロ撮影では先ほどの欠点を感じさせない良い描写です。
MF専用レンズで電子接点もついていないので、利便性には欠ける反面、
葉や花弁に生えている産毛のような細かな繊維までしっかりと開放から描写され、低価格だから悪い!という訳ではないことが分かります。
この写真を撮影できるレンズが新品14,000円以下で手に入るのは、少し前の感覚だと衝撃です。
ミラーレス機になりMFレンズの扱いがしやすくなり、本レンズのようなコスパ重視のレンズが数多く輩出されていることはユーザーにとって喜ばしいことではないでしょうか。
本格的なマクロ撮影であれば、もちろんしっかりとした純正レンズや、SIGMA、タムロンを筆頭としたサードパーティ系レンズがオススメですが
ちょっとマクロを体験してみたい…!という軽い気持ちからスタートできる価格なのが本レンズの最大のメリット。
是非ともマクロの世界を本レンズで覗いてみてください。