JR新宿駅南口。
天気のいい午前は、ここに群れで日向ぼっこをしている印象があります。人通りも多い場所ですが、特に気にせず過ごしている鳩を見ていると人間らしささえ感じます。人と鳩、互いが存在を認知しつつも気にかけていないのが興味深いです。
周りに群れや仲間は見当たらず、一羽で散歩をする鳩。
ついばまれたであろう中指やあまり綺麗とは言えない羽毛の見た目に反して、立ち方に強さを感じます。コンクリートジャングルで生活するその強さに惹かれ、サムネイル画像にもこの鳩を選びました。こういった見た目の鳩は新宿でよく見ますので、新宿という個性の表れでもあると感じます。
木陰で休息する鳩。構図に入りませんでしたが、どちらの鳩もつがいで仲良く過ごしていました。人の営みとの関係性も表現したかったので、ボケに人のシルエットを取り入れました。鳴き声が聞こえずとも、大きな木があったら覗いてみてください。休息中の鳥は結構います。
朝、鳩を追ってみると、景観の悪い場所に辿りつきます。そして出会うのは、街を掃除をする大勢の方々です。新宿が日本屈指の観光地・繁華街としてあり続けられるのは、綺麗にリセットする方々のおかげであることを改めて実感しました。一日でも掃除をしない日があればどうなるのだろうか。都会の景観の危うさを、撮影後にも考えていました。
もともと鳩は、平和の象徴や神の使い等のモチーフであったりと様々な意味を持つ鳥でもあります。人と同じく二本足で重心をとり、無駄のないシルエットからデザインや彫刻のモチーフにもよく使用されます。
しかし、現代では、家に住み着かれる事や衛生面等からマイナスなイメージが増えました。これは、それだけ人と鳩の距離感が以前より近くなったことが理由ではないかと筆者は推測しています。
鳩はどこにでもいます。ですが、本来は崖や岩棚などに巣を作り、植物の種子や穀類を食べるそうです。
鳩たちにとって、この大都会に住み着いたことは本望ではないように思います。
それでも、鳩たちがつがいでとても仲良く過ごしている姿を見るに、住む場所より大切な相手が見つかる方が彼らにとっては重要なことだったのかもしれません。