今回ブログでご紹介するカメラは、ブローニーフィルムを使用した中判カメラの中でも比較的新しいモデル、BRONICA RF645です。
レンジファインダータイプの中判カメラはマミヤやプラウベルのマキナ等が有名ですが、当モデルは645判サイズを採用した比較的珍しい機種になっています。
中判カメラは大きくて扱いにくいイメージがありますが、RF645などのレンジファインダータイプであれば35mmフィルムの一眼レフとさほどサイズも変わらないので、気軽に使用する事ができます。
型名RF645の刻印がキラリ
私が知る限りでは、中判サイズの同じ645判タイプのレンジファインダー機はフジのGA/GS645ぐらいしか思い浮かぶ機種がなく、希少な名機と言っても良いかもしれません。
BRONICA RF645は2000年にタムロンから発売されました。
これを聞いてブロニカなのにタムロン?と思われる方も多いと思います。
今ではレンズの生産で有名なタムロンですが、1998年にゼンザブロニカ法人を吸収合併しており、短期間ながらカメラを販売していた歴史があります。
タムロンの公式HPにはブロニカのカメラ一覧が掲載されているので、覗いてみると面白いかもしれません。
タムロン ブロニカ一覧
RF645の裏面にはTAMRONのロゴが光ります
RF645の発売から2年後の2002年にはデジタルカメラの販売台数がフィルムカメラを超え、デジタル黄金期へと突入します。
時代のあおりを受け、2005年にタムロンはカメラの製造を終了し、それに伴いRF645も姿を消すこととなりました。
タムロン印字入りのカメラはその後生産されることはなく、RF645はそのような意味でも特別な一台となっています。
現代カメラではおなじみの緑字Pモード
中判フィルム機としては比較的新しいRF645は、露出計内臓はもちろん、絞り優先モードに加えP(プログラムオート)に対応するなど、カメラ知識がない方でも簡単に使用する事が出来るようになっています。
中古価格も中判カメラの中では比較的安価であり、発売して間もない(とはいっても20年近くたちますが)状態の良い商品も手に入り易いため、中判フィルムデビューには最適な1台かもしれません。
ピント合わせはレンジファインダー機ではお馴染みの2重像を重ね合わせるタイプ。
“実像二重像合致式距離計連動型逆ガリレオファインダー”という長くて複雑な名前をしていますが、ピントが合わせやすい明るいファインダーだと思っていただければ分かり易いと思います。
RF645シリーズには3種類の交換レンズが存在するのですが(45mm,65mm,100mm)レンズを交換するとファインダー枠もしっかり切り替わる仕組みになっています。
MEは”Multiple exposure”=多重露光を指します
露出補正はダイヤルを回すだけのシンプルな仕様で、簡単に露出を調整する事が出来ます。
見た目も大きく分かり易いので、露出の確認も行いやすいです。
フィルム機に搭載されることが多い多重露光、なかなか使い方が分からないなんて事が多いですが、RF645は背面のMEボタンを押しこんでシャッターを切るだけなので、アーティスティックな写真を撮りたいときも迷わず使うことが出来ます。
(フィルムが入っていない空シャッターはMEボタンを押すことで可能です)
フィルムはもちろん120/220フィルム両対応 裏蓋のレバーを切り替えるシンプルな構造になっています。
先に上げた写真を見ると分かる通り、入っているフィルムのタイプもすぐに確認することが出来るので、どちらのフィルムを入れていたか分からなくなる心配もありません。
ちなみに120フィルムで15枚弱 220フィルムで30枚弱撮影する事が出来ます。撮影枚数が多いのも645判のメリットのひとつかもしれません。
35mmフィルム機はフィルムを装填すると自動で設定してくれる機種が多いですが、中判フィルムは基本的にISO感度の設定は手動で行う必要があります。
本機はISO感度ダイヤルが大きく設計されており、ロックボタンもついているので誤って変更してしまうこともありません。
このように簡単に設定が出来れば、手動で設定する煩わしさを感じることもありません。
私達が普段使用するカメラは横フレームが一般的ですが、本機は縦フレーム構造になっています。
他のカメラで縦フレームの物はあるかな…ハーフカメラなどは…と記事を書きながら考えていましたが、一番身近なデバイスであるiPhoneを筆頭としたスマートフォンや携帯電話は縦フレームだという事に気づきました。
普段カメラを使用している方はちょっとした違和感があるかもしれませんが、スマートフォンと同じ感覚と思うと馴染みやすいかもしれません。
レンズが装着されている場合は遮光幕が露出せず格納されています
レンズを本体から外すためにマウントを回すと遮光幕が現れます
レンズを取り外すと遮光幕が完全に露出し、フィルムの感光を防ぎます
レンズ交換式(レンズシャッター)の中判カメラはレンズを交換する際に遮光板を差し込むのが一般的ですが、本機はレンズを取り外す過程で内蔵されている遮光幕が出てくる仕組みになっています。
遮光板を抜き差ししたり、手動で操作しなければならない機種が多い中、レンズを着脱するだけで自動的に開閉してくれる機構は地味ではありますが大変助かる機能です。
BRONICA RF645は見た目はレトロで昔ながらの良いフォルムを採用しながらも、近代技術を取り入れた非常に使いやすい中判カメラに仕上がっています。
中判のフィルムカメラを使ってみたい…でも初めてだから不安…
と思っている方はもちろん、スナップ撮影にも最適なサイズ感ですので、フィルム撮影に慣れている方にもオススメできます。
機会があれば是非手に取って使ってみてはいかがでしょうか。