「AstrHori 28mm F13 Macro 2:1 ペリスコープレンズ」を初めて見た時はまず、その形状に驚きました。
こちらはメインユニットとペリスコープの2分割構造を採用し、レンズを組み立てることで一本のレンズとなります。
まず、このレンズはブラックのアタッシュケースに収められています。
レンズのサイズが長いため、カメラバッグでは持ち運びは困難になるためアタッシュケースで安心に持ち運べるのは嬉しく感じます。
また、自分の中の子ども心がくすぐられてアタッシュケース片手に撮影に出かけていくのは我ながらかっこよくわくわくしました。
ケースの中には、レンズが収まる長いレンズポーチも収納されていました。そのため、他のカメラバッグ等に入れる際も安心してレンズの保護を行い持ち運ぶことが出来ます。
レンズキットにはΦ29mm×460mmとΦ23mm×452mmの2つのレンズが付属しています。
それぞれ、レンズ部が90度直角になっている形のレンズ(90°レンズモジュール)とスタンダードのまっすぐな円柱型のレンズ(ダイレクトモジュール)です。
レンズの周りにはLED電気もついているため、F13では暗くなってしまうことが多いですがどんな撮影状況でも適正露出で撮影することが可能です。
カメラに装着した場合はこのようなサイズ感となります。
一般的な他のマクロレンズなどと比べるとどうしても全長は長くなっていますが、絞りやフィーカスがメインユニット側に装備されているためF値の調整やフォーカスを行う際にやりにくい、と感じることはありませんでした。
さらに、ペリスコープ部には先端25cmまで完全防水の防水機能も備えています。ユニークな長い円柱型のレンズは「昆虫の視点から世界を捉える」ための形状ですが、水中でも安心してレンズを入れて撮影できるため昆虫の世界だけでなく水生生物の世界もこのレンズで覗くことが出来てしまいます。
ペリスコープを装着しなくても、メインユニットのみでも90mmF13のマクロレンズとして撮影を楽しめます。
メインユニットのみで、「SONY FE 90mm F2.8 Macro G OSS」と大きさを比較してみました。長さはほとんど同等の様です。
AstrHori 28mm F13 Macro 2:1 ペリスコープレンズはMFレンズですが、フォーカスリングが比較してみると凸凹が大きくなっており歯車のような形をしているため、ファインダーや背面液晶を確認しながら感覚的にスムーズなピント合わせが可能でした。
ここからは、作例写真をご覧いただきます。
まず、ダイレクトモジュールを装着し見ごろを迎えていた紫陽花の撮影をしました。
この日は日中撮影ということもありLEDライトは点灯せず手持ち撮影で挑戦しました。
紫陽花のおしべにピントを合わせてみました。
マクロで拡大した紫陽花は、まるで桜の花のようだと感じました。
おしべ表面の少しブツブツしているような細部までしっかりと描写出来ており描写力は申し分ないように感じました。
細長いダイレクトモジュールの形を活かした写真を撮ろうと周りを見回します。
細く長く伸びたレンズのメリットは、やはり通常のレンズでは手の届かない生い茂った草木の間や、虫たちが普段歩いている土の上などを同じ視線で撮影することが容易である、という点だと思います。
そこで、紫陽花から視線を下に。生い茂る紫陽花の養分の源である土の表面をなぞるようにレンズを入れてみました。
いつもの上から見ると何の変哲もない通常の石だと思っていましたが草木の間を縫って真正面にレンズを向けると、鼻の穴のような2つの凹みがあることが分かりました。
穴の部分にピントを合わせてみます。私が蟻だったらこの凹みで毎日昼寝をすると思います。
このようなアングルでの写真はファインダーでの撮影は困難なため、バリアングル液晶を90度上に向けてしっかりピント合わせを行いました。
こちらはドクダミの花ですが、近くに寄ってみるとサボテンのように見えます。
いつもの視線で見ているドクダミの花の真ん中の部分はもっとぎゅっと密集していて硬いように感じられていましたが、2倍マクロでじっくり寄ってみるとふわふわと柔らかそうでした。マクロ撮影を行ったからこそ分かった面白い発見でした。
ドクダミは一本だけ咲いていたのではなく背景にもたくさんのドクダミの花が咲いていました。
ピントを合わせた花以外はしっかりとボケてくれました。
ボケはぐるぐるもせず素直なボケです。最小絞りがF13ということもありますが周辺減光もなく、使いやすいレンズです。
癖のあるボケや描写は個人的にはとても好きで、風景写真やスナップ撮影では味のある描写になるため嬉しいと思うことが多いです。
しかし、マクロレンズでは植物や小動物、装飾品の細かい部分をしっかり撮影することが求められます。
それは、趣味だけではなく仕事や観察等で撮影されることも多いように感じます。
そのため、この癖のない実直な描写は嬉しく思い、幅広い使用用途で活躍してくれるように感じました。
90°レンズモジュールは、ダイレクトモジュールと同様狭い隙間や手の届かない場所に入っていき正面ではなく上からみた写真を撮影する事が可能です。
花の中にあるおしべやめしべなどを撮影したい場合に活躍してくれそうです。
今回は、本の文章を撮影してみました。
レンズが90°直角になっている関係で撮影すると鏡文字のように左右反転の画像が撮影されます。
そのため、こちらの写真など文字を写した写真に関しては撮影後左右反転の編集を行っています。
撮影した本は洋書の古本だったため紙質が少しゴワゴワしていました。
90°モジュールでもダイレクトモジュール同様、紙が毛羽立っているような質感まではっきり描写出来ています。
今回使用したAstrHori 28mm F13 Macro 2:1 ペリスコープレンズは2倍マクロレンズです。
つまり、センサー上に写った2倍の大きさでマクロ撮影が出来るということです。
こちらの3枚の写真はそれぞれ同じ位置からカメラを構えて、最短撮影距離約50cm、等倍マクロ、2倍マクロで撮影したものです。
最短撮影距離での撮影ではバラの花だけではなく葉や茎も写り込んでいますが、等倍マクロでは花全体のみ、2倍マクロではより花の中心部にフォーカスして撮影をすることが可能です。
より中心部にフォーカスすることで花びらが右回りで花開いていくことが分かりました。また、葉脈のようなものは葉だけでなく花びらにも存在していることも分かりました。
また、色味もピンクのバラが自然な色合いで赤や青など何かの色が際立って強く出ていることはありませんでした。
このレンズを使用していて、一番便利だなと思ったことは写真のようなLEDライト電源スイッチが付属していることです。
実際に写真を撮ってみてLEDライトをつけてみたけれども不要だと思った時はスイッチ一つですぐに消灯可能です。
またスイッチの上下についている+と-で10段階明かりの調整も可能です。
撮影環境に応じて光量調整できることはとても便利だと感じました。
ライトを点灯させるためには、写真のようにレンズ脇にあるUSB-C端子を接続することで可能です。
コンセントなどに接続するのではなく、お手持ちのモバイルバッテリーなどをご用意いただく必要があります。
写真は最大光量で点灯させたものです。かなり明るいことが分かりますので、鬱蒼とした森などの撮影も可能ではないかと思います。
ライトを点灯させないで撮影したものと、点灯して撮影した写真です。
やはり、点灯させなかった場合ではレンズ自身の影が出来てしまうことで一部が暗くなってしまいます。
隅々まではっきりと見渡すにはLEDライトの点灯をおすすめします。
・・・
普段見ている視界ではなく、地面を歩く虫や小さな生き物と同じ視界で。
細長い形状に最初は驚きましたが、使用していくうちにそれは、普段は見ることの出来ない世界をのぞき見ることの出来る喜びと驚きに変わっていきました。
描写もボケも素直によく写る。AstrHori 28mm F13 Macro 2:1 ペリスコープレンズと共に、見たことのない世界へ。
▼マウントは6種類ございます!▼
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