【Canon】あなたにだけは伝えたい。ーPowershot G1Xの魅力ー
時は2012年。
Canonが、1台のハイエンドコンパクトデジタルカメラを発売しました。
その名はPowerShot G1X。1.5型という大きなCMOSセンサーにバリアングル液晶、光学ファインダーを備えた妥協のないフラグシップ機でした。
しかし巷では最短撮影距離の長さが取り上げられる事が多く、「寄れないコンデジ」というイメージしかない方もいらっしゃるかもしれません。
残念ながら確かに近接撮影は苦手です。テーブルフォトはかなり苦しいし、ミニチュア品の撮影はトリミング前提にしないといけません。花に寄って背景をぼかすのも難しい。
しかしながら、それでもこのカメラを使う理由があります。
ぜひ、お話させてください。
まずは基本スペックから。
センサーサイズは1.5型。寸法にすると18.7×14mmです。これはマイクロフォーサーズ機より大きく、APS-Cに迫るサイズです。
画素数が約1430万と控えめな事もあり、2021年現在でも通用する高感度画質を実現しています。
ISO800
若干のザラザラ感はあるものの、赤青緑の色ノイズはほぼ出ません。そのおかげでとてもクリーンな印象です。
フィルム写真の粒子感を彷彿とさせる、品のあるノイズ感と言えるでしょう。
同時期のEOSシリーズも使用していますが、色ノイズはPowershot G1Xの方が少ない事に驚きました。
搭載レンズは15.1-60.4mm f2.8-5.8。35mm判換算で28-112mmとなります。
旅行でも安心のズームレンジであり、Canonの誇る標準ズームレンズEF24-105mm F4L IS II USMより望遠側に少しだけ余裕があります。(逆に広角側は4mm程狭いですが…)
28mm相当
バリアングル液晶を使用し地面からグワッと煽るのも良し
112mm相当
富士山をズームアップするのも良し
旅先のケーキやグルメ撮影はお手軽なスマホに任せ、景色や街並みをガンガン撮るスタイルがオススメです。
旅行と言えば気になる電池持ちについても一言。
特段減りが早いという事はありませんが、バッテリー残量表示が点滅(そろそろ切れそうのサイン)してから結構粘る感じなので、早めに充電するタイプの方だと「あれ?もう残量が1だ」と感じるかもしれません。
USB充電はできませんので、不安な方はチャージャーを持っていきましょう。
さて、次はこの機種最大の特徴ともいえる、「ズーム連動光学ファインダー」についてです。
小さな素通しファインダーの為、情報表示等は一切ありません。
シャッター半押しでピントが合っているかも、ファインダーの右側にある小さなランプが緑色に光るかどうかで判断します。
「ズームに応じて画角が変わり、写る範囲が何となくわかるくらいのもの」と思われがちですが、それがこのカメラに他にはない楽しみを与えてくれるのです。
それはレンジファインダー機の様な感覚で使えるという事。どういうことかと言いますと、
・レンズとファインダーが離れている為、パララックス視差があるところ。
・ブライトフレームこそ無いが、写る範囲が「何となくわかる」のは共通というところ。
これにより、普段自分が撮らない構図の写真に出会えるのです。
たとえばこの写真。(お墓ではありません)
左下の階段は、ファインダー内では見切れていました。しかしながら実際の写真ではバッチリ写っております。
この後ディスプレイを使用し、階段が入らない構図も撮りましたが、何かが違う。うまく言えませんが、整理され過ぎている様に感じたのです。
結局上の写真を残しました。
この門はもう少し左右に余裕をもたせ、空を入れようと思っていました。
しかしファインダーで撮った方が圧迫感があり、結果的に堂々とした威圧感のある写真となりました。中に住む民草を守る城門のイメージにぴったりです。
勿論全部が全部ではありませんが、かなりの確率で新鮮な感動が味わえます。
フィルムカメラの「現像するまでどう撮れているか解らないワクワク感」にも似ているかもしれません。
これもお気に入りの写真。巨大な道路と小さな車の対比が表現できました。
構えている時には上の街灯を端っこギリギリにフレーミングしたのですが、結果はご覧の通り。
上部に空間が生まれたため、逆に暑苦しくない雰囲気に撮れました。
ファインダーで撮影する時には、AFフレームを「アクティブ」にし位置を中央にしておきましょう。
そうすることで中央一点スポットAFのように使えます。
画面内のピントを合わせたいところを中央に捉え、合焦させてAFロック。緑色のランプが付いていることを確認し、カメラを振って構図を作る…。古き良き一眼レフを思い出す撮影手順ですが、これもまた面白いものです。
(まれにAFロックしているにもかかわらず再測距しだす事もありますが、それはご愛嬌!)
さて、いかがでしょうか。
ディスプレイの表示が荒い事や白トビのしやすさ等、年代なりの欠点もあります。
しかし後継機のPowerShot G1X Mark IIやPowerShot G1X Mark IIIとは違う、オンリーワンの魅力を備えた旅カメラであることは間違いありません。
至高のハイエンド、PowerShot G1Xは色褪せない。
程度の良い中古商品に出会えたら、是非検討してみてください。
↓こちらは後継機のPowerShot G1X Mark IIIです。センサーサイズはさらに大型化し、より高画質に。
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