【Canon】キヤノンの”本気”を味わえる、最上級ミラーレス。ー一本で何でも狙える、衝撃の800mmズームを添えてー
2024年3月時点で、キヤノンミラーレスのトップエンドに君臨するEOS R3。
その性能を確認すべく、RF200-800mm F6.3-9 IS USMを装着し野鳥の撮影に出てきました。
設定を煮詰めているとおもむろに遭遇したのはツグミ。
空を見上げてキョロキョロしています。かわいい!
早速被写体認識を動物にし、全域AFで撮影に試みました。
草むらの中とはいえ、鳥と草で大きく色が違うため難なく認識、この位の距離なら瞳認識も十分働きます。
何とこの写真、ISO2000で撮影しています。
R3はセンサーの素性が良くダイナミックレンジも広いため、アンダー目に撮れたものを持ち上げてもノイズが出ない上、色再現も崩れません。
次は水場にいるキセキレイを狙ってみます。
ブロックの上をピョコピョコと飛び跳ね、エサを探しているようです。
ブロックの端で体を下げると、隣へ飛び移る合図。
そのタイミングに合わせ、電子シャッターで連写をしてみます。
丁度着地の瞬間をおさめることができました。
流石高速読み出しの積層センサー、画に不自然な歪みが全くありません。
日向から日陰へとせわしなく動き回っても、追尾が途切れることは殆どありませんでした。
その甲斐あって、とうとうおいしいご飯を見つけた瞬間をゲット!
まれに水面へとピントが食いついてしまい、どうやっても復帰しない時がありますが、そういった時はMFで軽く合焦させてあげれば再び食いつきます。
流石にここまで同系色かつ明度の低いシーンでは、AFをロストするケースも増えてきます。
しかしここで声を大にして言いたいのは、「外し方が良い」ことです。
どういうことかと言いますと、「被写体を見失った後にせわしなくAFポイントが動き回り、様々なものを被写体と誤認する」ことがないのです。
先程の「水面にピントが食いつくケース」でも一緒ですが、鳥と誤認した場所をしっかり追尾し続けるタイプの外し方なので、一度MFで復帰させて「これが鳥だよ」と教えてあげれば、その後はしっかり食いつくのです。
むしろ、この写真で個人的に気になったのは玉ボケでした。
独特な舵輪の形が見られます。RF200-800mmは、ちょっと癖のある玉ボケと言えるでしょう。
お腹いっぱいになって、今度は水浴びを始めたキセキレイ君。
頭の毛がぼさぼさになり、ちょっとワルな雰囲気になりました。
水浴びに満足すると、日向で体を振って乾燥。
羽毛が爆発し、洗車機のブラシみたいになりました。
こうして見ると、彼らも人間と変わらない生活をしているのだと妙に納得。ご飯を食べて水浴び(お風呂)して乾燥、昨日の私の夜のルーティンと一緒です。
さて、この時既に1000枚以上撮影していますが、バッテリー残量は15%ほどしか減っていませんでした。
ファインダーの表示を滑らかさ優先に設定していたにもかかわらず、ここまで省電力設計だとは!
ディスプレイでの写真確認はせず、連写を続ける撮影スタイルなのでバッテリー消費が少ないとはいえ…これは素晴らしい数字。
(シャッターを切っていない時も、半押しでAF追従させ続けていたのに!)
常々思うのですが、ここがフラグシップとハイアマチュア機で一番違いを感じるところです。
これならば、撮影画像をモニターで逐一チェックするスタイルでも1000枚以上は撮れるかもしれません。
一通りキセキレイを撮り終え少し歩くと、今度はジョウビタキのオスに遭遇しました。
以前友人に「ジョウビタキのオスだからジョビオって言うんだよ」と教えてもらった時の事を思い出しながら連写。
(このカットではAFが苦戦しており、手前の枝に引っ張られることが多かったのでMFを併用しています)
シルバーアッシュのヘアスタイルが決まっています。
そしてまたツグミに遭遇。
その昔かすみ網で大量に捕獲され、焼き鳥にされた悲しい過去を持つ鳥なのですが、乱獲が過ぎたため禁猟鳥に指定されました。
数歩進んでは立ち止まり胸をそらす…という特徴のある動きの上、体も大きいので見つけやすく、野鳥観察の入門に最適。
最後は皆のアイドル、カワセミを。
この日は鳴き声が聞こえなかったため探すのに難儀しましたが、無事巡り合えてよかったです。
楽しい野鳥撮影がひと段落したころ、爆音に空を仰げば、頭上を横切るセスナ機に遭遇。
何度も来るのでAFで追いかけて遊んでみましたが、ここで新たな発見がありました。
飛行機が手前から奥へ飛んで行く場合は完璧に合焦しますが、奥から手前に来る場合は良く外すのです。
これは鳥を追尾していた時にも感じた症状ですが、それは不規則な動きをする「鳥」だからだと思っていました。
しかし比較的ゆっくりと動く飛行機でもこの挙動が再現されたことから、やはり苦手なシーンの様です。
一眼レフの頃から、カメラが最も苦手としたのがこの「奥行き方向へのAF追従」でした。当時と比べれば大きく進化しているのですが、まだ少し難しいようです。
しかし美点もあります。
飛行機をAFで追いかけている時に、鉄塔や木が手前に入り込んでもそちらに引っ張られることはありません。
これはかつてのフラグシップ機、EOS-1DXシリーズを思わせる挙動です。
最後はスナップで締め。
今回の写真は全て「ピクチャースタイル:オート」で撮影していますが、以前のRシリーズより重心の低い写真になったような印象を受けました。
Rシリーズ始動時は、それぞれのモデルで「新時代の階調の描き方」を模索しているような印象を受けましたが、R3はまとまりが良く実態感のある写真に仕上がる気がします。
抜けがよくクリアで、線は細め。品のある写りが魅力的です。
お目当ての野鳥も撮れ、R3を楽しむこともできたので大満足の一日となりました。
追伸
RF200-800mm F6.3-9 IS USMはとても良いレンズですが、可能であれば700mmまでの使用に抑えた方がシャープに撮れます。
800mmで撮影すると少し緩めの写りになり、等倍鑑賞しなくても「少し甘いかな?」と思うことが多いです。