【Canon】Image à la Sauvette #4
『Image à la Sauvette』とは、国際写真家集団『マグナム・フォト』の結成に携わったフランスの写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンが1952年に発表した写真集の題名です。
日本語訳はいくつかありますが、筆者はそのうちの一つ「決定的瞬間」に惹かれ連載のタイトルとしました。
(表紙にフランスの画家アンリ・マティスによるコラージュが用いられたことでも有名です。)
本連載では筆者の主戦場であるスポーツ撮影と動物撮影において、「決定的瞬間」を追いながら機材や撮影方法についてお伝えしていきます。
これから始めようと考えている方、すでに多くの修羅場をくぐり抜けてきた方、どなたにも気軽に気楽に立ち寄っていただければと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
外出自粛が叫ばれる昨今、
年始を近所の河原で過ごした筆者が追いかけていたのは飛ぶ宝石
『カワセミ(翡翠)』です。
【Nikon】Image à la Sauvette #1では夏のカワセミ撮影ということで子育ての様子を見守りました。
本記事では子育ての期間を終え単独で行動するカワセミの姿をお届けします。
撮影に使用した機材は、
「Canon EOS-1D X Mark II」・「Canon EF400mm F2.8L IS II USM」です。
最後までお付き合いください。
撮影場所までの道中、ジョウビタキとの出会い。
美しいオレンジ色は雄の特徴で雌は控えめなグレー、河原に向かう足取りは軽くなります。
定期的に野鳥を探すことで筆者もようやく名前と鳴き声が一致するようになってきました。
外出がはばかられる中、野鳥図鑑を熟読する日々を過ごしています。
いつものポイントに行くと獲物を探す1羽に遭遇。
前のめりで川面に目を凝らす姿が愛らしい。
それにしてもあの細いススキにどうやって止まっているのでしょうか。
カワセミのバランス感覚が秀でているのか、ススキの構造に何か理由があるのか、自然界は考えてもわからないことで溢れています。
身を翻して移動、美しい青い羽に目が行きがちですが赤い脚・オレンジ色の腹部も彩り豊かです。
この写真ではカワセミの身体に影ができてしまっています。
構図は勿論、太陽の位置や背景を考慮したポジショニングの必要性を感じました。
恥ずかしながら初めてカワセミのホバリングを撮影することができました。
距離も構図も足りないことばかりですが1人で小さくガッツポーズ、高い集中力が必要とされる野鳥撮影ならではの高揚感を感じる瞬間です。
あの小さな身体のどこにそんな力を潜めているのか、1/1600のスピードで撮影してもまだ若干羽がブレています。
カワセミの嘴の形状は工学的に非常に効率が良く、500系新幹線にその形が採用されているほどだそうです。
水面に反射する姿を活かそうと撮影したハクセキレイ、警戒心が薄く1mほどのところまで近づいてくることもある親しみのある鳥です。
追いかけるのではなくここに来たら素敵だと思うポジションで待つ。
撮りたい写真のイメージ作りから始めていくことが大切だと、写真家の方々の写真を見ていると強く感じます。
「羽を伸ばすことのできる」世界を取り戻すために、非常に大切な時期に差し掛かっているように思えます。
「戦争に反対する唯一の手段は、各自の生活を美しくしてそれに執着することである。」
これは英文学者・吉田健一の言葉です。
家の中を美しく保つこと、栄養バランスの整った食事を心がけること、規則正しい生活を送ること、そうしたことに意識を傾けることで不要不急な事柄から距離を置くことができるのではないかと筆者は考えています。
誰も予測することのできない未来を守るために、自身の生活を手の届く範囲から美しくしてみてはいかがでしょうか。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。