『Image à la Sauvette』とは、国際写真家集団『マグナム・フォト』の結成に携わったフランスの写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンが1952年に発表した写真集の題名です。
日本語訳はいくつかありますが、筆者はそのうちの一つ「決定的瞬間」に惹かれ連載のタイトルとしました。
(表紙にフランスの画家アンリ・マティスによるコラージュが用いられたことでも有名です。)
本連載では筆者の主戦場であるスポーツ撮影と動物撮影において、「決定的瞬間」を追いながら機材や撮影方法についてお伝えしていきます。
これから始めようと考えている方、すでに多くの修羅場をくぐり抜けてきた方、どなたにも気軽に気楽に立ち寄っていただければと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
外出自粛が叫ばれる昨今、
年始を近所の河原で過ごした筆者が追いかけていたのは前回に引き続き飛ぶ宝石
『カワセミ(翡翠)』です。
機材は「Canon EOS-1D X MarkII」・「Canon EF400mm F2.8L IS II USM」
そして今回は「Canon エクステンダー EF 2x III」を併用し、画質やオートフォーカスの変化に注目しました。
エクステンダーの導入を検討されている方の参考になればと思います。
最初に出会ったのはシジュウカラ。
美しい緑の羽がチャームポイントの鳥で、目にする機会があったものの写真を撮ったことがありませんでした。
早速エクステンダーを試しましたが、ご覧いただいているように解像力の問題は見られません。
オートフォーカスについては、被写体が小さなときや背景に物が多くあるときに少し迷うことがわかりました。
気づかれないように文字通り靴の裏をじりじりと鳴らしながら接近します。
獲物を探す眼は真剣そのもの、800mmという焦点距離で覗くと400mmとは違う迫力を味わうことができるのです。
物音を立てないように近づいたり、動きを予測しながらポジションを決めたり、カワセミとの駆け引きは程良い緊張感を伴います。
青にも緑にも見える羽はまさに宝石。
この美しい羽の色は『構造色』と言われ、色素ではなく微細な構造が光の反射によって発色しているようです。
色素によることのない発色はエネルギーの節約に一役買っており、生きるための効率を良くしているとも言えます。
この日は河川敷の草木に留まるカワセミを背後から写し背中の美しさを捉えることを目標にしていました。
羽の一枚にとどまらず羽毛の一本一本まで写すことができています。
これまでエクステンダーの導入には二の足を踏んでいましたが、今回の撮影で一歩も二歩も購入に近づいてしまいました。
先の写真と同じカワセミですが羽の色が全く違うように見えます。
筆者はどちらかというとこのコバルトブルーが好みですが、皆さんはいかがでしょう。
長い時間観察を続けているとある程度好みの留まり木がわかってきます。
縄張り意識の強いカワセミは飛び回る範囲も限られているので、一度出会うことができれば声を頼りに簡単に居場所を特定することが可能です。
800mmという焦点距離を手に入れて唯一困ったこと、それは動く様子を写すことが格段に難しくなったことです。
この日は慣れない画角に四苦八苦、ホバリングも画面の端に写す始末。
オートフォーカスの若干の遅れもあるため動きをある程度予測できないとホバリングやダイブを撮ることは難しそうです。
次回はダイブや飛翔する姿を捉えることを目標に撮影しようと考えています。
最後は毛繕いならぬ羽繕いをする姿を動画でお届け。(音が出ます、ご注意ください。)
頭や嘴だけでなく羽同士を後ろでこすってみたり。
「EOS-1D X Mark II」で初めて動画撮影を行いましたが静止画にはない気づきが多く、生態をより深く理解するために非常に有効だと感じました。
最後までお付き合いいただきありがとうございました、また次回お会いしましょう。